いさ進一公式ブログ 衆議院議員 党国会対策副委員長 党青年委員会副委員長 党大阪府本部副代表 衆議院小選挙区大阪第6総支部長

良書との出会い⑩『21世紀の不平等』 アンソニー・アトキンソン

 不平等を取り扱った本で有名なのは、ピケティの「21世紀の資本」。世界をおどろかせた彼のシンプルな分析はこうです。格差の原因は r>gと言うたった一つの式で表される。つまり、株や土地といった資本から得られる収益「r」が、経済全体の成長率「g」を上回るから、資本を持っているお金持ちが相対的にどんどん裕福になる。だから、格差の解決策は、資本にグローバル累進課税して、r<gにすればよい。
 この本の著者のアトキンソンは、そのピケティの師匠です。彼は、格差不平等の原因は、多面的なので、一つの解決策にゆだねるべきではない、と言っています。つまり、「r」と「g」の関係だけでなく、多面的なアプローチが必要と主張しています。
 その解決策の中で、ひときわ強調されているのが、「子どもへの支援」でした。格差解消のためには、児童手当のような、子どもに一律の「現金給付」を行うべきだとのこと。もちろん、保育制度や幼児教育といったサービス、「現物給付」も大事なんだけど、結局は「現金給付」と一緒になってこそ効力があると主張しています。何といっても、まず子どもや家庭に対して、お金を渡さないといけない。これが、本書の核心の一つではなかったかと思います。
 日本は、子どもや家庭向きの公的支援(対GDP比)はOECD諸国の中で最低レベルです。教育機関への公的支出(対GDP比)なんて、「最低レベル」でなく「最低」、まさしく「最下位」です。こうした日本の状況を考えると、ピケティの「グローバル累進課税」という処方よりも、アトキンソンの「もっと子どもや家庭に現金給付を」と言う方が、しっくりきます。
 その他、格差に対するたくさんの処方が書かれていますが、どれも興味深いものばかり。イノベーションへの言及は、非常に納得させられました。すこし難しい本でしたが、一読の価値ありです。

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