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190-衆-厚生労働委員会-20号 平成28年05月25日

渡辺委員長

次に、伊佐進一君。

伊佐委員

公明党の伊佐進一です。

本日も質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。早速質問に入らせていただきます。

このノバルティスの事件をきっかけに、意図的なデータ操作あるいは改ざんがあって、今でも裁判で係争中だというふうに伺っておりますが、製薬会社と医師とあるいは医療機関のこのもたれ合いというのはやはり問題だろう、何らかの法的規制が要るだろう、こういうところで今回の法改正に至るいろいろな議論が始まってきたわけです。

とりわけ、人体を使って行う臨床研究、これはまず人の命がかかっている、そしてまた、社会的なリスク、つまり、データ改ざん、誤った情報で、例えば多くの薬が広まってしまうというようなリスク。

こうした人の命のリスク、社会のリスクと、一方で、先ほどからずっと議論になっております研究、学術、こういったものは本来自由であるべきだ、憲法の定める学問の自由。余り学問、研究の世界に規制をし過ぎると、今度は自由な発想であるとか自由な研究、こういうものが損なわれてしまうんじゃないかと。学術の世界では、よくピアレビューという言い方をしておりますが、つまり、学術の世界の中で研究倫理というものをお互いにチェックし合う、こういうものを伝統的にやってきた、これが大事だろうと。

この両者のバランスをどうとるかというのが、今回非常に大きい難しいテーマだったんじゃないかというふうに思っております。こうした学問の自由の観点と、とはいっても、人の命とか社会のリスクとか、こういったもののバランスをどうとっていくのか。

これは同僚議員の皆さんの質問を聞いておりましても、この発想、こういうようなところの問題意識からの質疑が多かったのではないかと思っておりますので、ここをもう一度、きちんと整理して答弁いただきたいと思います。

竹内副大臣

改めて整理をして申し上げたいと思います。

学問の自由は、憲法において保障される重要な権利でございますが、研究対象者の安全確保などの重要な利益を保護するためには、必要な範囲においてこれを制限することは許容されており、両者のバランスを図ることが重要と考えております。

このため、本法案は、臨床研究の内容の規制や行政による研究計画の事前審査を行うものではなく、臨床研究のプロセスを規制するものとしているところでございます。

本法案におきましては、研究対象者の保護のための措置として、まず最初に、研究の目的及び内容等について研究対象者に説明し、その同意を得ること、次に、研究に起因することが疑われる疾病等が発生した場合には厚生労働大臣等へ報告すること、三番目に、研究対象者に健康被害が発生した際の補償等について定めることなどを義務づけておりまして、学問の自由と研究対象者の保護の両立を図っているものでございます。

伊佐委員

副大臣の方から、内容について事前審査するものじゃない、プロセスについて規制するものだという御答弁をいただきました。

先ほど幾つか示していただいた例は、主に研究者の皆さんに対する義務というところをおっしゃっていただきましたが、では、まず、この二つの観点、具体的に質問させていただきたいと思います。

まず一つ目、先ほど申し上げたリスクの側。社会的リスク、命のリスク。

チェック体制とか不正への歯どめという観点でいろいろな措置が具体的にとられておりますが、研究者じゃない、例えば、今までも質疑でありました倫理審査委員会のあり方、今、全国で千六百カ所ある、審査にもばらつきがあった、ここのところを、大臣が認定する委員会として五十から百ぐらいに絞った新しい形の委員会にしましょう、こういう取り組みであったりとか、あるいは、製薬企業から研究機関、病院に対するお金の流れがある場合にはこれをしっかりと公表する、透明化するという点、研究者が守るべき基準の遵守を法的に義務化する、守らない場合には罰則、いろいろなことをこの法案で今回書いていただいておりますが、その上で、ちょっと一点、私、確認したいことがありまして。

それは、今回は、医薬品等の臨床研究について、とりわけ特定臨床研究というもの、つまり、未承認の薬を使った臨床研究であったりとか、あるいは企業から資金提供を受けている場合の臨床研究、こういうものは基準を守ることが義務化されている。それ以外の医薬品等の臨床研究は努力義務というふうに、ここは立て分けているわけです。

私が質問したいのは、医薬品等を使った臨床研究についてはこうして今回法案で明確に書かれておりますが、医薬品等じゃない臨床研究、例えば、手術の方法はどういうような方法がいいのかとか、あるいは手技、こういうようなものについての臨床研究は今回義務化の対象になっておりません。この手術・手技の臨床研究について、これも、どう書かれているかというと、検討規定を設けるにとどまっています。

先ほど申し上げた、社会のリスクとか命のリスクとかというのを考えれば、扱いは同じように規制する、検討しなきゃいけないんじゃないかと思うわけですが、結論として検討規定となった理由をお教えいただけますか。

神田政府参考人

お答えいたします。

今回の法律では、未承認薬、適応外薬等を用いた臨床研究と、製薬企業等から資金提供を受けて行う臨床研究を規制しているところでございます。

手術・手技についてもいろいろ御議論ございましたけれども、まず、医薬品のように大量生産で一度に多くの患者に影響を与えるものではなくて、個別性が高いということ、それから二点目としては、EUとか米国でも原則として規制はしていないこと、それから三点目としては、手術・手技の臨床研究だけを規制いたしますと、これは研究ではなくて医療そのものですといって通常の医療として実施される方に逃げるのではないか、そうするとバランスを失するのではないかということから、本法案では、具体的な規制対象とはしなかったところでございます。

したがいまして、この法律の附則におきまして、十分な科学的知見が得られていない医療の有効性及び安全性の検証のための措置について、法施行後二年以内に検討することとしておりまして、この中で一般の医療を含めて必要な措置を検討していきたいというふうに考えております。

伊佐委員

さまざま理由をおっしゃっていただきましたが、かといって、いろいろな理由はあったにしても、完全に、では、研究者、現場だけでいいのかというと、私、そうでもないと思っています。やはり人の命にかかわることでございますので、二年以内と今おっしゃいましたが、どういった対応をとるべきかということについて議論をしっかりと行っていただきたいというふうに思っております。

では、もう一つの、学問の自由。

研究者の負担、研究者の学問の自由が果たして阻害されるのかどうかという点について質問させていただきます。

今回の法案で研究の現場が萎縮するようなことはあっちゃいけないというふうに思います。

さっき、資金の話をさせていただきました。例えば、企業から病院とかあるいは臨床研究を行う機関に対しての資金の流れを透明化していくという話ですが、これは、企業からお金をもらっちゃいけないという意味では当然ないわけです。企業からお金をもらって研究をするのが悪だというようなイメージにもしなってしまうのであれば、それは非常に不幸なことで、また残念なことだというふうに思っております。

というのは、片や我々、研究開発の世界では産学連携というものをずっと推進してきたわけで、産業界と学術界と研究機関というのを連携していくことでイノベーションをどんどん生み出していく、こういうようなことをやってきたわけです。今、国の研究機関だって、何を財務省に言われているかというと、とにかく外部資金を調達してこい、企業からお金をもらってこい、こういうこともやいやい言われているわけです。

私は、そういうような連携というのは非常に大事だ、だから、こうした事件が産学連携に冷や水を浴びせるような事態になっちゃいけないというふうに思っておりますし、また、現場の研究者が萎縮するようなことにもなっちゃいけないというふうに思います。

では、今回の法案でどれぐらい研究の現場の皆さんの負担になるのかという観点で質問させていただきますが、まず実施基準、現場の研究者が遵守をしなきゃいけない、義務化されますが、この実施基準というのは、国際的な水準と比較してどうでしょうか。

神田政府参考人

お答えいたします。

この法案で規定いたします実施基準につきましては、ICH―GCPと先ほどから御答弁いたしておりますけれども、日本、アメリカ、EU、スイス、カナダの医薬品規制当局と日本、米国、EUの産業界代表で構成されました国際会議で策定された、医薬品の国際的な臨床研究の実施基準でございますこのICH―GCPに準拠したものとする予定でございます。

伊佐委員

国際的な実施基準に準拠すると。これまで同僚議員も同様の質問がありましたが、欧米と、こうした新しい薬であるとかあるいは新しい医療のさまざまな研究開発で今激しい競争を繰り広げているわけで、当然、命のリスクというものをしっかりと基準で担保した上で、その上で、今おっしゃったのは、海外と水準は同レベルですということでした。

再度確認をしますが、今回の法案で、研究者の立場からすれば、例えば事務作業がふえてしまうとか負担がふえてしまうというような、つまり現場を圧迫するようなことはないということでよろしいでしょうか。

神田政府参考人

お答えいたします。

今回の法制度の検討に当たりまして、制度について検討をいたしました検討会の報告書におきましては、従来の指針だけではなく、法律に基づく制度が必要であるということの一方で、過度な規制によって研究を萎縮させないことも重要であるというふうにされているところでございます。

これを受けまして、この法案に基づきます実施基準では、既に倫理指針において遵守を求めている内容とほぼ同等のICH―GCPに準拠しているものを定めることとしていることから、倫理指針をきちっと遵守している研究者には新たに大きな負担が生ずることはないものと考えております。

さらに、運用に当たりましては、例えばモニタリングの実施体制ですとか頻度につきましては、認定臨床研究審査委員会が研究のリスクに応じて研究ごとに判断するなど、研究に過度の負担を課すことのないものとする予定にいたしております。

伊佐委員

つまり、研究者一人一人から見れば基本的にやることは変わらない、ただ、その上で、そのやるべきことをしっかりと法的に位置づけることによって、例えば不正があれば、改善命令あるいは中止命令、最後は罰則まであるというようなものであるという理解をいたしました。

最後に、もうすぐ時間になりますので、一問だけ副大臣に質問させていただきたいと思います。

ちょっと具体的な話で、これは臨床研究、特に今、再生医療、各大学、研究機関、一生懸命進めておりますが、今まで、特にiPS細胞を含めた再生医療、基礎から臨床と実用化、今、この実現化ハイウェイというのを、省庁の垣根を越えて、特に内閣府が今旗振りをして一生懸命やっていただいております。

私の問題意識は、次の段階、何をしていくか。

基礎研究については、いろいろな拠点が今できています。例えば、国のやる再生医療実現拠点ネットワークプログラム、これは山中先生がいらっしゃる京都大学を中心に、各大学が連携している。問題は、次の一手は、臨床から実用化に至るところ、ここがまだまだ弱い。とりわけ、今、高齢化社会の疾病の特徴としてよく言われますのは、単一疾病というのはなかなかなくて、やはりいろいろな疾病が複合的に絡み合っている。例えば、認知症の患者さんが糖尿病も患っていて、あるいは足腰にも障害を抱えていらっしゃったりとか、こういうものが絡み合っているわけです。

今、現場、臨床研究はそれぞればらばらに行われていまして、例えば、心臓であれば大阪大学の澤先生のところ、脊髄だったら慶応大学、目、加齢黄斑変性は理研。

これは、臨床研究も、やはり今後の高齢化社会のことを考えると、総合的に臨床研究ができる基盤というのが要るんじゃないかというふうに思っておりますが、いかがでしょうか。

竹内副大臣

お答えいたします。

まず最初に、再生医療につきましては、iPS細胞を用いた世界初の移植手術が行われるなど、我が国は最先端の技術を有しているところでございます。

私も先日、iPS細胞研究所に久々に行ってまいりまして、山中先生から最新の状況についてもお伺いをしてきたところでございます。

厚生労働省といたしましては、一昨年施行された再生医療関連法などによりまして、安全性に十分配慮しつつ、再生医療の実用化を促進するための環境整備を図るとともに、iPS細胞技術を応用した医薬品心毒性評価法の国際標準化の提言に向けた取り組みを進めるなど、世界をリードすべく施策を進めているところでございます。

先生御指摘の拠点の問題でございますが、これまでの基礎研究の成果により得られたシーズをいかに実用化につなげるかがこれからの重要な課題であると思っておりまして、二十八年度から再生医療臨床研究促進基盤整備事業を実施し、実用化につなげるための臨床研究を積極的に支援してきているところでございます。

当事業では、学会を中心に、大学病院や臨床研究中核病院などによる再生医療の臨床研究基盤を構築し、臨床研究等のプロトコルに対する助言、医師や細胞培養加工を行う者に対する技術指導や教育カリキュラムの作成、さらに、臨床研究の実施状況を集積したデータベースの運用などの支援を行うこととしているところでございます。

当該事業を通じまして、再生医療の臨床研究の実施を支援して、再生医療の実用化の推進を図ってまいりたいと考えているところでございます。

伊佐委員

ありがとうございました。

今のは、バーチャルな取り組みのお話だったと思います。これは最初の一歩だと思いますので、いきなりどんとやるのは難しいと思いますが、ぜひ、そうした取り組みが幅を持ってくるのを見計らって、しっかりとした拠点づくりをお願いすることを申し上げて、質問を終わります。

ありがとうございました。

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