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190-衆-厚生労働委員会-5号 平成28年03月15日

渡辺委員長

次に、伊佐進一君。

伊佐委員

公明党の伊佐進一です。

本日は、参考人の皆様、貴重な御意見、示唆に富んだ御意見、まことにありがとうございます。

限られた時間でございますので、皆さんに質問できないこともあるかと思いますが、御理解いただければというふうに思っております。

まず冒頭、佐藤参考人、お伺いしたいと思います。

佐藤参考人には、月刊公明にも寄稿いただきまして、我が党の機関誌にも今回この案件について寄稿いただきまして、非常に勉強させていただいております。

まずお伺いしたいのは、介護と育児の違いという点でございます。

というのは、今回の法改正の中で、介護・育児休業法という改正、そもそもの趣旨は同じだと。つまり、雇用をしっかりと継続していただく、あるいは離職を防止するという観点、この共通した観点があって、具体的なそのたてつけを見てみましても、今回、例えば、介護休業の給付率を六七%にしよう、四〇から引き上げよう、これで育児と同じ高さに合わせるというようなこともございました。

ところが、本質的に育児と介護が違う、対応が違うところも多々あると理解をしておりまして、そもそも介護は、いつから始まるかというのもわからないし、またいつまでかというのもわからない。こういう状況の中で、制度設計をしていく上でも、それぞれに合った形というのを、同じ介護・育児休業法の中でもそれぞれの特徴に合った制度設計をしていくべきだと私は思っておりまして、今回のこの法改正、この観点からコメントをいただければと思います。

佐藤参考人

委員が御指摘のように、仕事と子育ての両立支援と、仕事と介護の両立支援、やはり相当考えるべき点が違うということが大事だと思います。

子育ての場合、例えば企業の中でいえば、父親も母親もやはり、男性も含めてという意味でありますけれども、子育てに積極的にかかわっていただく、それができるような形の制度をつくっていく。ですから、育児休業も男性もとってくださいということだと思いますけれども、介護の場合は、極端な言い方をすれば、直接介護を担わなくていいようになんです。もちろん、精神的な支援、これはやらなきゃいけないわけでありますけれども、家族が介護を担わなくてもいいような形で支援するということが大事だと思います。それが一番ポイントであります。

それともう一つ、委員が御指摘のように、突然起きるわけで、いつまで続くかわからないわけです。

そういう意味では、いろいろな、どうやって両立していいかという情報については、子育ての場合は、例えば妊娠がわかってから情報提供して間に合うんですね。うちにはこういう育児休業があります、短時間勤務もあります。でも介護の場合は、介護の方が直面してから情報提供しても遅いわけであります。そういう意味では、やはり事前に、働いている人たちがもし課題に直面したらどういうふうに両立していくかということを事前に知っておく、これが一つですね。

それと、やはり長く続くわけであります。平均でも四年前後、十年以上の方も一五%ぐらいいます。そういうふうに、いつ終わるかもわからない、かつ長い場合もある。こういう中でどうやって両立していくかというと、そういう意味ではかなり、休業というだけじゃなくて、いろいろな、働き方も含めて全体の両立の仕組みというのが特に大事で、そういう意味で、今回のような、休業を、準備のための体制整備、かつ三回に分けてとれる。あと、介護休暇も半日休、これは毎年毎年ですから。あるいは、短時間勤務の措置義務が、これは三年、かなり長い期間二回ですので。あとは、残業免除がずっと、介護が終わるまで。

そういう意味では、両立支援の仕組みを、かなり働き方、通常の働き方も両立できる仕組みに整備していくというような形に踏み込まれたということは、非常に仕事と介護の両立に合ったような法改正ではないかというふうに思っています。

伊佐委員

ありがとうございます。

さまざまな違いという観点で、実際のたてつけもこういう違いになっているという話でございました。恐らく、そういうところが、介護休業だと九十三日間だけれども育児休業だと一年間というような話になっているんだと思いますが。

では、その九十三日間、あるいはこの三分割というのも、この委員会においてもさまざま議論になっておりました。きょうも参考人の皆さんからもそのお話をいただいておりますが、いま一度ちょっと質問させていただきたいのは、介護における休業期間、介護休業期間というのは、介護休業・準備というふうにも佐藤参考人はおっしゃいましたが、まさしく仕事と介護を両立するための準備の期間なんだ、これが九十三日間なんだというお答えでした。

田島参考人にお伺いしたいのは、ただ、今回この委員会でも議論がありましたのは、九十三日間で本当に十分なのかと。つまり、準備といっても、実際に今施設は待機がたくさんあってなかなか入れない、いつの間にか九十日たってしまった、こういうようなケースもあるんじゃないか、こういうお話もありました。

きょういろいろ参考人の皆さんからお話を伺って私が理解したのは、これは、九十三日間だけあるわけじゃなくて、あくまでいろいろな制度を組み合わせてそれは対応していくんだ、柔軟性がポイントなんだというお話でした。もしそれであるなら、今回三分割、これは当然、柔軟性を持たせるのであれば、もっと分ければもっと分けるほど柔軟性はふえていくわけです。今回堀越参考人の方からも指摘がありました、もっと分けてもいいんじゃないか、もっと分割できるようにしてもいいんじゃないかと。

今回、田島参考人、分科会で会長も務められたわけですが、さまざまな意見があったと思います。最終的にこの報告書の中で三分割というふうにまとまった。その中で、なぜ、たくさん、柔軟にやるんじゃなくて、三分割ぐらいが適当だということになった議論について、もう少し詳しくお話しいただければと思います。

田島参考人

議員おっしゃいますように、九十三日間では足りないのではないか、いろいろなケースがあるのでもっと長い期間を設ける必要があるのではないかという御意見はございました。

ただ、九十三日を超えて介護休業の期間を設定するとなりますと、これは使用者側の方の労務管理上の問題も多々出てまいります。大企業であれば対応がしやすい面もあるかもしれませんけれども、中小零細企業となりますと、そういう形で不安定な期間が延びるということは労務管理上さまざまな困難な問題が発生するという御主張もあり、なかなかそれを延ばすことは難しいというように考えました。

他方、労働者みずからが介護に当たらなければならないということではなく、介護保険サービスを利用しながら介護を続けていくということが大前提ということで、介護に対応するための準備、あるいはその介護の準備が終わるとき、その中間の三回程度の休業のタイミングが整えば、先ほども申しましたように、一回の介護休業というのは大体二週間程度でとられているということもございますので、対応が可能ではなかろうかということで、現時点ではこの九十三日間の間に三回という数字に落ちついたというところでございました。

伊佐委員

大企業だけじゃなくて中小企業の皆さんへの配慮というのも検討されたと。当然、これは労使の合意という中でしっかりと物事を今前に進めているんだというお話と私は理解をさせていただきました。

きょうは介護の質問がずっと続きましたので、ちょっと育児についても質問を田島参考人にさせていただきたいと思います。

有期契約労働の皆さんの育児休業の要件緩和、今回、大分三つの要件が緩和されました。ただ、もっと緩和すべきじゃないかという声もございます。

これをどう考えるかということをお伺いしたいんですが、今まで三つの要件がありました。例えば、一年以上まず継続して雇用されていることという一つ。二つ目は、一年以降も雇用継続の見込みがあること。ただ、これはちょっと余りにわかりにくいので今回なくしましたという改正です。三点目は、二歳までの間に更新されないことが明らかな者を除く、二歳になったときには雇用されないということがわかっている場合はとれません。これも今回、一歳半まで緩和されたわけです。

つまり、残ったのは、第一要件と、第三要件を少し緩和したものということになりますが、今回この委員会でも意見があったのは、第一要件だけでいいんじゃないか、つまり、一年以上継続して雇用されているということで育児休業の取得が可能にするように制度設計すべきじゃないかという意見もございましたが、その点について、田島参考人の御意見を伺いたいと思います。

田島参考人

育児休業という制度は、雇用の継続を図ることが前提のものとなっております。したがいまして、雇用が継続されないことが明らかである方に育児休業をとっていただくというのは、そういった制度に矛盾するものだというふうに理解しております。

現状、原則では、子が一歳になるまでの期間、育児休業をとることができますので、それとのバランスで、少なくとも一年間は就業されて、その実績の上に休業される。それから、復帰されてすぐおやめになるというのでは制度にもとりますので、少なくとも、復帰後六カ月間は就業される見込みがあるということが要件である必要はあろう、そういう理解でございます。

ですから、一年ということではちょっと制度の趣旨に矛盾するので、やはり復帰後、二年という期間を、六カ月に短縮したという対応で御理解いただきたいと考えております。

伊佐委員

ありがとうございました。

第一要件であれば、そもそものこの制度設計の大前提に矛盾するんだというお話。つまり、雇用の継続であったりとか離職の防止という観点がこの制度のそもそものスタートなんだから、その前提と矛盾するというお話を伺いました。

次に、堀越参考人、そろそろ時間もなくなってまいりましたので、一点だけお伺いしたいと思います。

きょうのお話でも、事前教育の話をいただきました。例えば、二十代あるいは三十代の皆さんに対してしっかり介護というものを周知していくという話であったりとか、あるいはケアプランだけじゃなくて介護者の皆さんにとってのライフプランというものをつくっていくというお話。これは私は本当に大事な御提案だというふうに思っております。

つまり、介護に対する意識を広い世代に理解していただくということは、ひいては介護予防にもつながっていくという観点では非常に重要で、今まさしく求められているものじゃないかというふうに思っておりますが、具体的にどのように進めていくのか、学校でやるべきなのか、あるいは地域で進めていくべきなのか、ぜひアドバイスをいただければと思います。

堀越参考人

それぞれの対象別にやる必要があるかなというふうに思っているんです。

お配りした新聞の(三)というところに、高校生のときからお母さんと二人でお父さんの介護をしたという方の記事をお配りしてあるんです。彼は、そのとき介護保険について知らなくて、市役所に行ったらば、お母さんと一緒に来なさいと言われてしまった。それを、まだ役所に頼る状態じゃないというふうに誤解をして、介護保険を使うのに三年かかりましたというんですね。

だから、働くこととか、本当にこういう生きていくことに必要なことを授業の中で学ぶという、社会の中で学ぶのか家庭科で学ぶのかはあるんですけれども、そういう、生活をしていく上での自分と社会のかかわり、制度のかかわりをきちっと教えていくというのは一つ教育の中で必要だというふうに思います。

あとは、この彼は高校のときに自分はヤングケアラーだったんだと後で気づいたんですけれども、今、調査を南魚沼市というところでやっていまして、小学生、中学生でも、教員の方たちが、あっ、この子は介護者だと気づく子がいるんですね、そういうヤングケアラーという概念を提示すると。

そのとき、どんなふうに子供に、私も助けてもらっていいんだというふうに気づいてもらうかというと、それは、この間、イギリスの事例をちょっとおかりしたんですけれども、学校にヤングケアラーを支える人たちが行って、全部の生徒の前で、こんなことはありませんかというので、例えば、朝御飯をつくっていますとか、クラブに出ないで早く帰りますとか、妹の面倒を見ますとかという札をいっぱい持つと、それがあふれていっちゃうんですね。そうすると、これはやはり子供は無理ですね。そうすると、その子たちは、ああ、自分はあれに該当するなと思うと、お友達に知られないようにして、相談に乗ってほしいという札を何か箱に入れるとか。

だから、やり方はいろいろあると思うんですけれども、小学生、中学生、高校生、大学生、あるいは最低限四十歳からというそれぞれのやり方がいろいろ工夫はできるかなと思います。

佐藤先生たちの御研究でも、企業の中でセミナーを受ける、パンフレットをもらう人たちの方が不安は少ないというのも出ていますので、それぞれのライフステージに合って、相手の受けとめる能力に合ったやり方をすればいいのではないかなというふうに思っています。

伊佐委員

ありがとうございました。

本日お話しいただいた件、しっかりと受けとめて審議を続けてまいりたいと思います。ありがとうございました。

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