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189-衆-我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会-8号 平成27年07月01日

浜田委員長

次に、伊佐進一君。

伊佐委員

公明党の伊佐進一です。

本日は、五人の参考人の皆様、本当に貴重なお話をいただきまして、ありがとうございます。
限られた時間でありますので、皆様全員に質問させていただくことはできないかもしれませんが、御容赦をいただければと存じます。

まず、小川参考人に伺いたいと思います。日米同盟について。

東シナ海と南シナ海は違うんだと。非常に興味を持って聞かせていただきました。東シナ海は日米同盟の抑止力が非常にきいているんだというお話で、だから遠慮している、いろいろな周りの国も遠慮して、そして安定をしているというお話だったと思います。

つまり、そういう意味では、日米同盟というのは、単にアメリカに守ってもらっている、こういう片務的なものじゃなくて、だからアメリカに逆らえない、何も物が言えない、こういうことじゃなくて、もっと大きい、重いものがあるんだ、日本の貢献というのはもっと大きいんだ、こういうお話だったと伺っております。

その文脈の中で、日米同盟、日本というのは支店とか営業所じゃなくて本社機能という言葉を使われたと思いますが、私が理解したのは、日米同盟というのは、戦うためだけの同盟じゃないということじゃないかと思います。つまり、出撃機能と言われますが、駐留米軍がいて、兵隊がいてまた戦闘機がいて出撃していく、こういう機能だけじゃなくて、もっと多角的な、もっといろいろな側面があるのがこの日米同盟じゃないかというふうに私は理解いたしましたが、この日米同盟の特異性、多角的な観点という点で何か御所見をいただければと思います。

小川参考人

御質問ありがとうございます。

実は、日米同盟の実態を日本で最初に正式に調査したのは私なんです。一九八四年、アメリカ政府の許可のもとに、全部米軍基地を歩いて、基地司令官の聞き取りをやり、国防総省の資料を出させ、全部読んで分析したら、ほかの同盟国が本当に、会社に例えたら支店か営業所のレベルなのに、日本には本社機能が置いてあるということが明らかになった。そういう立場で来ていて、アメリカ政府と話をしても、それを否定したりされたことはありません。

例えば、基地を提供しているかわりに守ってもらっているという言い方がよくあるけれども、頭の中にみんなあるのは、兵隊がいて、飛行機がいて、船がいてという話なんです。これは出撃機能なんです、今おっしゃったように。

ただ、国家のレベルで考えると、兵隊の規模も何万人、何十万人を動かさなきゃいけない。それを前提にすると、あと二つ重要な機能が必要になってくる。一つが補給、兵たん、ロジスティクス、もう一つが情報、インテリジェンスなんです。日本列島に置かれた米軍の機能は、出撃機能、ロジスティクスの機能、インテリジェンスの機能、この三拍子そろって、アメリカ本国に近いんです。

例えば、ロジスティクスの機能。これは公表されているのに、なぜ当時の防衛庁や自衛隊や外務省は知らなかったのか不思議なんだけれども、国防総省管内で二番目の大きさの燃料貯蔵施設、横浜の鶴見を中心に展開している。三番目の大きさの燃料貯蔵施設は長崎県の佐世保を中心に展開している。そして、あと七万バレルが青森県の八戸にあるけれども、合わせて一千百七万バレル。海上自衛隊が二年もつだけの量ですよ。当時、外務省がフィリピンのスービックは海外最大の米軍基地でとか言っていたのは、あれはジャングルを切り開いているからで、面積が広いだけで、燃料の貯蔵能力だって佐世保の半分以下、二百四十万バレルしかなかった。公表されている資料を知らない日本政府、国会、マスコミ、学界、何だという話です。

だから、やはりそこをちゃんと押さえていく。それが日本の抑止力として非常に機能していて、やはり中国としても日本に対する手出しをためらわざるを得ない一番大もとにある。だから、領海侵犯を繰り返す、あるいはレーダー照射事件がある、異常接近を戦闘機がやる、あるいは防空識別圏を設定する、これを全部トータルで読むと、東シナ海において日米と摩擦を起こさないために、危機管理のメカニズムを話し合って、尖閣諸島の領有権については中国側からすると事実上の棚上げ状態に持っていきたい、そういう狙いがあるわけであります。

だから、とにかく、これは中国の立場で考えればわかるんですが、東シナ海でぶつかる相手は日米です。下手をすると世界的な紛争にエスカレートする可能性がある。そうなると、国際資本が中国から逃げ出す。天安門事件の二の舞なんです。その危機感はすごい。だから、とにかく東シナ海では紛争を起こさないように必死になっているということを我々は読まなきゃいけないんですね。

だから、レーダー照射事件のときも、当時の佐世保地方総監の吉田海将が沖縄県知事に対して説明をしたのは、とにかく緊張は国有化以来高まっているけれども、中国や日本のマスコミが言うように今にも戦争が始まりそうな状態は一切ありません、安定しております、これがプロの見方であります。

以上です。ありがとうございます。

伊佐委員

数字も言っていただいて、非常に精緻な御説明をいただきまして、ありがとうございます。

先ほど、陳述の中でも、在日米軍、第七艦隊というのが喜望峰までということもおっしゃいました。日付変更線からということを考えると、まさしく地球の半分ぐらいをカバーするぐらい、日本のアメリカに対する貢献、日米同盟への貢献というのは非常に大きいものであって、まさしく対等の日米同盟という中で今回の法案を議論しているというように私は理解をさせていただきました。

その上で、小川参考人にもう一つ伺いたいんですが、歯どめとして三つ挙げておられました。国連憲章と集団的自衛権、あと戦力投射能力なき軍事力ということをおっしゃっていただきました。

つまり、戦力投射能力なき軍事力、よく批判されるのは、これから戦争できる国になるんだというような批判もございます。そもそも、他国に行って戦争をする戦力がないんだ、これが歯どめになって戦力投射能力がないという意味だと思いますが、ただ、批判する方からすれば、いやいや、今回の法改正で、制度が先に、制度を整えればその後で後追いできるじゃないか、しっかりと軍備力を増強して、防衛力を増強して、そこから戦争できる国になっていくじゃないか、その一歩なんだという批判もございます。

そういう意味で、伺いたいのは、では、そもそも戦争できる国というのがどういう国で、その国と今の日本の現状の防衛力というのがどれぐらい乖離があるのかというところ。もし普通の国というふうに言うとすれば、その普通の国になるためにどれぐらいの実力が必要で、今の日本の防衛力とどれぐらいかけ離れているかということについて伺いたいと思います。

小川参考人

ありがとうございます。

普通の国というと、何か思い出す政治家の顔もありますけれども、ただ、日本は海に囲まれている国です。だから、満遍なく軍事力を備えて、どこかの国を軍事的に圧倒しよう、あるいは占領してしまおうと思ったら、海を渡らなきゃいけない。海を渡って向こうの国の軍隊と戦って、勝って首都を押さえてということまでいかないと、戦争目的を達成できない。

そうすると、日本の周り、海を渡ってどこの国に行くかというのは語弊があるから言いませんが、陸軍だけで五十万人ぐらいの規模の部隊を出撃させなきゃいけない。それを支えるだけの海軍と空軍が量的にも構造的にもなきゃいけない、こういうことなんです。

ところが、自衛隊というのは、とにかく自立できない構造だと申し上げましたが、世界的な水準にあるのは、海上自衛隊の潜水艦に対する能力が世界で二番目ぐらいのレベル、あと航空自衛隊の日本列島を空の脅威から守る防空能力が世界で三番目か四番目のレベル。このレベルにそこを持っていこうとすると大変高性能な兵器が必要で、一つ一つ高い、数もそろえないと機能しない、そこで防衛費のかなりの部分は食われる。だから、あとは平均的な能力か、最初から諦めている部分が多いんです。だから、満遍なく軍事力を持っている国と同じように最初から錯覚を持って語ってしまうと、おかしなことになるということなんですね。

ですから、それをきちんと押さえながら、やはり地球の裏側まで行くのか。それは、自衛官をアメリカの軍艦に乗せて、二十人ぐらい何かの任務で送るなんというのは、地球の裏側まで行けますよ。ただ、例えば陸上自衛隊の部隊を旅団規模、師団規模で地球の裏側まで持っていって米軍と一緒に戦闘行動をさせることができるかというのは、これは物理的にもできないし、そういったことをやろうとすると、どういう立場であろうとも、憲法改正が必要になるんです。

これは、国際平和協力活動などに自衛隊を出すときの線引きが、残念ながら日本の官僚機構は軍事に弱いから、知識がない結果、できていませんけれども、そういったこともやはり視野に入れながら、本当に、武力行使だと言われるような形じゃないものを国際平和協力活動に出す、あるいは米軍と一緒に行動する場合でも、こういったものしか出せないんだということを明確にしていくことがある程度重要になってくるかなという感じがいたします。

ありがとうございました。

伊佐委員

ありがとうございました。

次に、もう少し現場のお話を聞かせていただきたい。折木参考人に伺いたいと思います。

今回の法改正、ほかの批判を申し上げると、戦死者が必ず出るんだというような批判もあります。武器使用の基準が緩和されて、それによってリスクが高まるというような批判もございます。

折木参考人は現場に長くいらっしゃったと伺っております。きょうの陳述の中でゴラン高原の例を挙げられておりましたが、それ以外にも、ハイチとか南スーダンにも行かれたというふうに伺っております。

例えば駆けつけ警護、これは武器を使った任務なので非常に危ないんだ、リスクが高まるんだ、こういう御批判なわけですが、実際私が聞いている話は、相当現場で苦労をされている。

例えば、ザイールで展開中のPKOがあって、NGOで、医療のNGOも来ていた。そのNGOが車両を盗まれた。盗まれたときに、その医療NGOから展開中の日本のPKOに対して、ぜひ救援してくれ、助けてくれという依頼があった。ところが、駆けつけ警護ができないので自衛隊は動けない。結局どうしたかというと、輸送というような任務をわざわざつくり出して現場に行って邦人救出をした、こういう話を伺っております。あるいは、東ティモールでも同じようなことがあった。

いろいろな理由をつくり出して、何とか今の法制度に合うものを現場でひねくり出して、そこで邦人救出に向かっている、こういうような話を伺いました。

結局、駆けつけ警護は今現状できないんだけれども、それでも自衛官は現場で何とか知恵を絞ってやっているわけです。邦人が困っている、命が狙われているということになれば、自衛官の使命感とかあるいは責任感で、何とかして行こうとするわけです。

そのときに、今の法律が縛りになっていて、例えば武器使用権限だって、自己保存型しか使えませんから、あえて武器を使わずに丸腰で飛び込んでいって、撃たれて初めてやっと撃ち返して、そこで邦人を守っていく。これこそまさしく自衛隊をリスクにさらしていて、また自衛隊を危険にさらしているということじゃないかと思っております。

そういう意味で、今回の法整備というのをきちっとすることで現場の自衛官のリスクを減らすことになるんだというふうに私は思いますが、現場にいらっしゃった感触として、どのようにお感じになるでしょうか。

折木参考人

リスクに関してはいろいろな議論があるんですけれども、法全体を見てリスクが高まるとか低まるとかそういう話ではなくて、やはり一つ一つの、今度の法制でありますけれども、法の中身で、リスクには量と質の問題があると思うんですね。量の議論もよく出ていますけれども、質の議論も、今のお話ですと、私は多分質じゃないかと思っています。そういうお話だと。

だから、一つ一つの法の状況とかそういうことで判断をしていかなきゃいけないし、自衛官が何を苦労しているかというと、先ほどからお話がありました、毎日毎日、いろいろな現場に派遣された自衛隊というのは危険見積もりをし、どういうふうにしてこの任務に対応すればいいんだということを考えながらやっているんです。それでリスクを自分たちで軽減している部分というのもあるかもしれません。

駆けつけ警護に関して申し上げれば、確かに、先ほどのザイールというか、ルワンダの話かもしれませんけれども、そういう状況があって、やはり邦人がそばにいてそれを救出できないということは、人道的にも道義的にも、それは、任務上はもちろんですけれども、本当につらいものというか厳しいものがあると思うんですね。

そういう面で、自分たちが現在派遣をされ、任務を与えられている権限の中でひねくりというか、そういう話ではないと思いますけれども、とにかく適用できる部分を自分たちで理解して今までやってきたというふうに私は理解しています。

そういう中で、今回法整備を検討していただいて、今、駆けつけ警護の部分は、駆けつけ警護のための、要するに任務遂行といいますか安全確保のための武器使用ができるというふうになっています。ただ、危害防止の許容の範囲内というのは正当防衛、緊急避難ですから、むやみやたらにやっていいという話ではありませんけれども、それでも、使用できるということを法的に裏づけをやっていただけると現場というのは非常に対応しやすい、それからいろいろな見積もりもやりやすい。そういう面では、リスクが減る場合もあるというふうに私自身は考えています。

伊佐委員

ありがとうございます。現場のリスク、質の部分でのリスクを下げることにつながるんだというお話だったと思います。

もう一問、折木参考人に引き続き質問させていただきますが、平素からの備えについて伺います。

先ほど訓練について触れられたと思いますけれども、今回の法制度の中で、日ごろからの訓練、とりわけ今まで多国間の訓練というのがなかなか難しかったものが、これが充実されると我々は思っております。日本が今までオブザーバーとしてしか参加できなかったものが、本当に多国間の連携の中で訓練ができる、こういう備えが充実するというところもあると思いますし、あるいは、今回新法ができました。国際的な平和と安定にどう貢献していくかという中で、これはいろいろな議論があったんです。新法を特措法にしていくのか、特措法のままでいくのか、それとも恒久法をつくるのかという議論がございました。

その中で、最終的には恒久法にしようということになったわけですが、そこで議論があった。それは何かというと、恒久法にした方がまず迅速に対応できる。備えですね。これは当然、法を根拠とした訓練、平素からの訓練ができるという点もありました。また、国際社会の中で早く手を挙げることができる。そうすると、自衛隊に合った、自衛隊が得意なミッションというものを早目に選択できる。あるいは、これは余り政府の方は言わないかもしれませんが、早く手を挙げることで、より安全な地域を確保できるというようなメリットもあるというふうな理解をいたしまして、その上で恒久法というものを今回つくった。

ただ、当然、恒久法とするためには、いろいろな歯どめをかけて、発動するための要件をしっかりつくりましょう、これが今回の議論だったと私は思っております。

そういう意味で、現場をこれまで何度も預かられたわけですから、なかなかこれまでできなかった備えが、これからこういうことができるんだ、こう変わるんだ、その御感触について伺いたいと思います。

折木参考人

全体として、今度恒久法ができて何が一番メリット、部隊にとって大事になってくるかというと、今先生からお話がありました、訓練ができるということだと思うんですね。

それは何かというと、やはり自衛隊は、先ほどのリスクの話じゃないんですけれども、例えば災害派遣の場合は、起こったことに対する取り組みですから、そこにはリスクの変化というのは余りないんです。ところが、一般的な任務で、海外での任務もそうですし、いろいろな戦い、予想される戦いだったらそうですけれども、それは状況がどんどん変わっていくんですね。そのための最悪の見積もりをしながら対応していかなきゃいけない。

そうすると、恒久法そのものを全体の枠として整えていただいた場合に、今回の法制の場合は、多分、今までやってきたイラク特措法とか対テロのテロ特とか、私はそういうものもイメージ的には包括をした一般法だと思いますけれども、そういうものが、今までの経験も生かしながら、先の脅威も見積もりながら訓練ができる、それを繰り返し繰り返しやることができる、それは指揮官の判断も含めてですね。だから、そこに一番メリットがあるというふうに私は認識しています。

伊佐委員

もう時間になりましたので終わりたいと思いますが、今回、備えであるとか現場のリスクを下げるという点について質問させていただいたのは、よく集団的自衛権の話をすると、アメリカの若者が血を流すのに日本の若者が血を流さなくていいのか、こういう議論、こういうことを言われるわけですが、私が思うのは、いかに血を流さないかというのが今回の法制度だと思っております。そういう観点でしっかりこれからも国会で議論を進めていきたいと思います。

きょうは、ありがとうございました。

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