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189-衆-我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会-8号 平成27年06月10日

浜田委員長

次に、伊佐進一君。

伊佐委員

おはようございます。公明党の伊佐進一です。

本日議論させていただきたいのは、武力行使の一体化、憲法の要請であります武力行使の一体化のところと、そしてもう一つの柱の、リスク、自衛隊員の安全という点について、きょうも先ほどまで議論を聞いておりますと、この二つがどうも混同されているところがやはりあると思っておりますので、しっかりと整理をさせていただきたいと思っております。

まず、その前に、先立って、私、現場の自衛官、私と大体同じ世代の方ですが、お話を伺ってまいりました。この一体化の話であるとか、あるいは武器の使用と一体化、どういうふうな感覚を持っていらっしゃるかと聞いたところ、こういうふうに言われました。

例えば射撃訓練をする、そのときに教わるのはどうやって教わるかというと、自分の身が本当に危ないと思ったら撃て、その後は国がしっかりと守ってくれるから大丈夫だ、だから頑張って行ってこいと。国が守ってくれると思っているからリスクある任務ができるんだと私は思っております。

この場にいる我々の責務というのは、こうした自衛官の思いを裏切ることがあってはいけないと思っております。現場で汗を流す自衛官の皆さんの不安とか心配とか、そういうものをしっかりと取り除いていくような議論、議論を前に進めていくということが大事だと思っておりますので、その決意で質問させていただきます。

まず、武力行使の一体化、これは憲法上の要請であるところの一体化の話です。

これは資料を配らせていただいておりますが、四つの考慮事情というのがありました。当時の大森法制局長官が、この四つを考慮した上で一体化かどうかというものを考えるということであります。この四つの考慮事情というのは今も維持されているというふうに伺っております。

今回、この一体化で要件になっておりますところは、現に戦闘行為を行っている現場ではない場所というところに集約されているわけです。この四つもある考慮事情が一つになっている。これで憲法上の要請が十分に守られているのかどうかというところのまず議論をさせていただきたいんです。

では、まず、これまで。これまでも要件としてあったのは、例えば後方地域であるとかあるいは非戦闘地域、これが要件だったわけです。四つの考慮事情というのも同時にあった。これまでは、この要件、非戦闘地域というものが満たされれば一体化しないというふうな考え方になっていた。どういうふうに整理をされてきたのか、伺いたいと思います。

横畠政府特別補佐人

一体化の考え方というのは、一体化という言葉は国民の間でも聞かれた方も多いと思いますけれども、まず、どういうことなのかという、ちょっと前提から御説明させていただきたいと思います。

いわゆる他国の武力の行使との一体化の考え方といいますのは、まず前提といたしまして、我が国が武力の行使を行うことが許されない、そういう場合におきまして、自衛隊が、武力の行使を行う他国の軍隊に対して補給、輸送等の支援をすることは、それ自体は直接武力の行使を行う活動ではありませんが、他の者が行う武力の行使への関与の密接性等から、我が国も武力の行使をしたとの法的評価を受ける場合があり得るとするものでありまして、そのような武力の行使と評価される活動を我が国が行うことは、やはり憲法第九条により許されないという考え方でございます。これは、憲法上の判断に関する当然の事理を述べたものであると申し上げてきているところでございます。

そこで、我が国の活動が他国の武力の行使と一体化するかの判断につきましては、御指摘の当局の答弁等で申し上げているとおり、従来から、一戦闘活動が行われている、または行われようとしている地点と当該行動がなされる場所との地理的関係、二当該行動等の具体的内容、三他国の武力の行使の任に当たる者との関係の密接性、四協力しようとする相手の活動の現況等の諸般の事情を総合的に勘案して、個々的に判断するとしております。これが基本でございます。

その上で、自衛隊が支援活動を実施する都度一体化するか否かの判断をするということは実際的ではございません。そのようなことから、平成十一年の周辺事態安全確保法におきましては後方地域、平成十三年のテロ特措法及び平成十五年のイラク特措法におきましては、同様の非戦闘地域という要件を法律で定めまして、そこで実施する補給、輸送等の支援活動については、類型的に、他国の武力の行使と一体化するものではないと整理したところでございます。

その考え方は、戦闘行為が行われている場所と一線を画する場所で行うという一の地理的関係を中心といたしまして、二の支援活動の具体的内容につきましては、補給、輸送といった、戦闘行為と明確に区別することができる異質の活動であること、三の関係の密接性につきましては、自衛隊は、他国の軍隊の指揮命令を受けてそれに組み込まれるというものではなく、我が国の法令に従い、みずからの判断で活動するものであること、四の協力しようとする相手の活動の現況につきましては、現に戦闘行為を行っているものではないことという、これらを考慮した結果でございます。

伊佐委員

非常に大事な答弁であったと思います。

まず最初におっしゃったのは、実施する都度にこの四つの考慮事情を一個一個考えていく、これは実際的ではないというふうにおっしゃいました。だから要件として類型的に整理をしたんだ、それが非戦闘地域とかという要件だと。これは、よく大森四要件と言う方もいますが、これは要件じゃないという答弁でした。つまり、四つのこの要素を考慮した上で、要件として非戦闘地域というのを導き出したということだったと思います。

その上で、さっきおっしゃったのは、一を中心とするんだ、一線を画する場所だ、ここのところでたがをはめれば、非戦闘地域というこの一でたがをはめれば、二、三、四、こういうものを考慮したとしても、一体化しないというのが今までの整理でした。

逆に、今、一体化しないという前提の上で、この法の別表で、具体的な活動のリストというのをポジティブリストで具体的に列挙しているということだったと思います。だから、例えば発進準備中の戦闘機への給油というものについては、たとえ後方地域あるいは非戦闘地域であったとしても、密接性の観点から慎重に議論するという答弁もありましたが、だからこそ、ポジティブリストから、あえて明記して除いているということです。

つまり、私の理解では、この要件、非戦闘地域というものを満たせば何をやってもいいというものじゃない、あくまでこの四つの考慮事情から、この要件を満たしても慎重な議論が要るというもの、あるいはニーズがないというようなものはポジリストには載せていないわけです。逆に、さらに言えば、ポジリストに載っているものは、要件を満たせば安心してやってくださいというものがこの要件の理解、私の理解です。

では、一つ進んで今回。今回は、この四つの考慮事情を勘案した結果、結局、一つの要件は何が出てきたかというと、現に戦闘行為を行っている現場ではない場所、これだけが出てきた。では、この四つの考慮事情とこの要件の関係、今回はどういう整理をされたんでしょうか。

横畠政府特別補佐人

今般の法整備におきましては、その後の自衛隊の活動の実経験、国連の集団安全保障措置の実態、実務上のニーズの変化などを踏まえまして、支援活動の実施、運用の柔軟性を確保する観点から見直しを行ったところでございます。

すなわち、これまでの「活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる」地域という要件、一体化の回避と安全の確保の双方を満たす、兼ねることのできる仕組みでございますけれども、それを見直しまして、自衛隊の安全を確保するための仕組みとは区別いたしまして、純粋に憲法上の要請である一体化を回避するための類型としての要件を再整理したものでございます。

すなわち、我が国の支援対象となる他国軍隊が現に戦闘行為を行っている現場では支援活動は実施しない、仮に、状況変化により、我が国が支援活動を実施している場所で、現に戦闘行為を行っている現場となる場合には、直ちにそこで実施している活動を休止または中断するということでございます。

その考え方は、協力をしようとする相手方が現に戦闘行為を行っているものではないという、先ほどの四の相手方の活動の現況を中心といたしまして、そうであるならば、一の地理的関係においても、戦闘行為が行われている場所とは一線を画する場所で行うものであることには変わりはなく、また二の支援活動の具体的内容、ポジリストで列挙されているわけでございますけれども、さらに三の関係の密接性につきましてもこれまでと同様であるということであり、一体化を回避するための仕組み、担保としては十分であるということでございます。

伊佐委員

今も大事な点があったと思います。

これまでもさんざん議論になっております、先ほど冒頭申し上げたように、憲法上の要請である一体化論のところと、そしてまた自衛隊の安全の議論は別だ、ところが、これまでは混然一体と書かれていた。今回は、自衛隊の安全を確保するための仕組みとは区別してというふうにおっしゃいました。つまり、ここを切り離して、この一体化論のところだけを突き詰めたらどうなるかというのが今回のこの議論だと。

そして、では、この一から四の当てはめについては、四を中心にしてというふうに言われました。一じゃないんです、四。戦闘が行われていない現場、これはその現場、スポットですから、ここで何が行われているかというのが大事だと。つまり、相手の活動の現況がどうなのかという四にたがをはめてみたらどうなるか。

そうすると、当然、一、これは戦闘活動から一線を画されている。あるいは二、これは補給、輸送なので、そもそも戦闘行為じゃない。三は、関係の密接性。これは指揮命令系統を受けるかどうかという話でしたので、指揮命令系統を受けるものじゃない。そして、四の活動の現況は申し上げたとおり。だから、今回は、この一体化論の要件として、戦闘現場、現に戦闘行為を行っている現場ではない場所というものを要件としたということだと理解しました。

その上でいま一度申し上げると、私の理解では、戦闘現場でない場所であれば何でもできるということではないと思っております。ポジリストに載っているものというのは当然できるわけですが、戦闘現場ではないという要件を満たしていたとしても、できないものもあるわけです。例えば情報提供、これは与党の中でも議論がありましたが、戦闘現場ではない場所であっても、例えば偵察行動を伴うようなものというのはできない、だから、ポジリストにも載せていないということだと思います。だから、結局は、ポジリストに載っているものは、戦闘現場でない場所であれば安心してやってくださいということが今回の趣旨だと思います。

その上で、発進準備中はちょっと飛ばさせていただきます。

今まで憲法の要請の議論、一体化の議論をしてまいりました。では、そこから切り離されたところの、リスク、自衛隊の安全について少し議論させていただきたいと思うんです。

一昨日のNHKの調査を見ておりますと、自衛隊員のリスクがふえるかどうか、この世論調査の結果は、ふえると答えた人が七二%、ふえないと答えた人はわずか六%でした。そういう意味では、このリスクについて、自衛隊員の安全について、しっかりとわかりやすく議論する必要があると思っております。

そこで、この資料二枚目を見ていただければと思います。

上の、憲法との関係からの規定というものがまさしく憲法の要請、一体化論のところですが、今までの書きぶりは、「戦闘行為が行われておらず、」そして「活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがない」。ところが、今回の新法では、右の部分、「現に戦闘行為が行われている現場では実施しない」。つまり、「活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがない」という、ここのところがなくなっているわけです。

だから、ここの部分はどうなったんだということなんですが、先ほどの長官の答弁のとおり、一体化の部分だけ、憲法の要請だけを抽出したら右側になった。下の部分は、どちらかといえば、今まで自衛隊員の安全の部分で重要だったところなんです。

この安全の部分で重要だったところが、この下のところ、実施区域の指定に関する規定というものを見てみると、実は、今までは「実施する区域を指定する」しか書いてないんです。ところが、今回はどう書いてあるかというと、「円滑かつ安全に実施することができるよう」というふうに、新しくここが入っています。

だから、問題は、この実施区域、隊員の安全を考えたときに、大臣はこの実施区域をどう定めるかということがポイントになると思いますが、とりわけ、副大臣にお答えいただきたいのは、戦闘行為との関係において、この実施区域、この新しく入った文言に沿ってどういうふうな決め方をするか、お答えいただければと思います。

左藤副大臣

後方支援は、その性質上、そもそも、危険を回避して活動の安全を確保した上で実施するものでございます。安全な場所でなければ有効な後方支援を実施することはできないため、これは大前提でございます。

今回の法案において、法律上、防衛大臣は、自衛隊の部隊等が実際に円滑かつ安全に活動できるよう実施区域を指定する旨規定をしており、この規定を受け、今現在戦闘行為が行われていないということだけでなく、自衛隊の部隊等が現実に活動を行う期間について戦闘行為が発生しないと見込まれる場所を実施区域に指定することとなります。

伊佐委員

そうなんです。結局、同じだということです。

戦闘行為との関係において、結局、今までなかったこの部分、円滑かつ安全にという部分で、活動の期間を通じて戦闘行為が行われない、こういう場所をしっかりと実施区域として決めるんだということ、そういう意味では、このリスクとか危険性という点は変わらないと私は思っております。だから、戦闘現場により近づくんじゃないかという指摘があるわけですが、それは間違いだということです。

さらに言えば、活動のエリアが広がるからリスクが高まるんだというような質問もございました。

行くことができる範囲が広まったら、ではリスクが高まるのかということですが、これもしっかりと説明しなきゃいけないと思いますが、行くことができる範囲、エリアが広がったとしても、行くかどうかを決めるのは、それは政策判断なわけです。これは大臣が、あるいは総理が、このリスクとか安全性とか必要性、こういうものを考えて個別に判断していく。そういう意味では、この政策判断の仕方が変わるかどうかというところが、リスクが高まるかどうかに連動しているわけです。

そういう意味では、では今までの判断の仕方と変わるんでしょうか、お答えください。

左藤副大臣

お答え申し上げます。

これまでの特措法においては、自衛隊の活動が憲法との関係で問題が生じないよう、「現に戦闘行為が行われておらず、かつ、そこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる」地域で、いわゆる非戦闘地域ですが、活動する旨の規定を設けております。

これに対し、昨年の七月の閣議決定を受けて、国際平和支援法においては、憲法との関係では、現に戦闘行為が行われている現場では活動を実施しない旨の規定を設けております。

一方、繰り返して申し述べているとおり、新たな仕組みのもとで、法律上、防衛大臣は、自衛隊の部隊等が実際に円滑かつ安全に活動できるよう実施区域を指定する旨規定しており、この規定を受け、今現在戦闘行為が行われていないというだけではなく、自衛隊の部隊等が現実に活動を行う期間について戦闘行為が発生しないと見込まれる場所を実施区域に指定することとなります。

したがって、いわゆる非戦闘地域の仕組みのもとで実施区域が指定されるなどして安全が確保されていた従来と、安全面では変わらない、変わることはないと思います。

いずれにしても、実際に国際平和支援法が適用される状況において、具体的にどこでどういった活動を行うかは、活動の内容、派遣規模といったニーズを確定するための現地調査や、部隊等の安全確保のために収集した現地情報に関する情報等を踏まえ、個別具体的に決定するものです。この点は、特措法を制定して活動を実施していた従来と変わりはありません。

伊佐委員

ありがとうございました。

結局、今までの議論を合わせると、その実施区域の指定の仕方も変わらないわけですし、そしてまた、同じように、エリアは広がったとしても、では本当に行くかどうかという政策判断も変わらないということですので、そういった意味では、リスクが増大するのではないかということは、それは当たらないということだと思っております。

時間になりましたので、終わりたいと思います。引き続き、しっかりと丁寧な議論を行います。

以上です。

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