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189-衆-科学技術イノベーション推進特別委員会-3号 平成27年05月19日

坂本委員長

次に、伊佐進一君。

伊佐委員

公明党の伊佐進一です。

本日も質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

私が本日質問させていただきたいのは、科学技術基本計画、いよいよ四期が終わりまして五期に向かっていくところですが、その内容についてさまざま質問させていただきたいと思っております。

最初の第一期ができましたのが一九九六年でした。実は私、前職が科学技術庁の職員でおりました。まさしく、第一期ができた時期に私も科学技術庁に入りまして、その最初のポジションが基本計画というものを所管するところにおりました。

それ以来、一期、二期、三期、四期と変わっていく基本計画をずっと私自身で見てまいりました。見ていまして、私なりに思うのは、これはいい計画だなというものもあれば、まあまあかなというものもありました。

いろいろな基本計画がある中で、いよいよ今回、来年度から第五期が始まっていくわけですが、今回の第五期の基本計画は、本当にちゃんとした、きちんとしたすばらしいものをつくっていかなきゃいけないと思っております。それは、今、安倍政権が掲げております成長戦略の中で、科学技術・イノベーションというのがまさしく一つの大きな柱だというふうに思っております。そういった意味でも、第五期こそしっかりとしたものをぜひつくっていただきたいと思っております。

我々公明党では、科学技術委員会というものがございまして、この中で、伊藤渉委員長を中心に、公明党としての提言を今取りまとめております。本年に入りまして、いろいろな方々に来ていただいてヒアリングを重ねて、また、現場に行って視察をして、現場の声も聞いてまいりました。本日は、そういうものを踏まえて議論をさせていただきたいと思っております。

まず冒頭、政府の研究開発投資の総額の記載、先ほど小松委員からも話がありました。

これは毎回大きな議論になります。毎回、政府として研究開発投資の目標額、五年間で幾らにするかというもの、最後の最後までいつもブランクです。ずっとペンディングになっています。最後まで財務省とずっと交渉されているんだと思うのですが、でも、最後はどうなるかというと、結果として毎回数字が出てきました。一期は十七兆円、二期は二十四兆円、三期、四期は二十五兆円。

そもそも、政府の研究開発投資、日本の場合、各国と比較してどうかといいますと、かなり低いレベルであるわけです。アメリカ、ドイツ、フランス、イギリス、あるいはEU全体でもそうですが、研究開発投資の中で、政府は大体三割ぐらいしています。ところが、日本は一七%。

政府の投資が大事なのは、今、産学連携と言われている中で、政府の投資が民間の投資の呼び水になっていくという観点も非常に重要じゃないかと思っております。

先ほど、大臣の方の答弁でありましたのは、ふさわしい書きぶりをするという。今ぎりぎりの答えなのかなと思いますが、例えば、政府の研究開発投資をGDP比の一%にする、今までと同じ書きぶりですが、これは別に何ら野心的なものでもないわけです。先ほど各国との比較を申し上げましたが、政府としてこれくらいは明言すべきじゃないかと思います。つまり、今まで書いてきたものを書かないことによって、この政権の科学技術に対する姿勢、態度というものがどうなのかと誤解を与えるようなことがあっちゃいけないと思っております。

三本の矢の最後の一本、成長戦略、この成否、まさしく成長できるかどうか、今突きつけられているわけです。この中で、財政健全化というものもわかりますが、対外的にもまた、各国に対して明言しないことによってどれぐらい大きなインパクトがあるかということもしっかりと踏まえた上で、ぜひ頑張っていただきたいと思っております。

いま一度、ふさわしい表現というのはまさしくGDP比の少なくとも一%だというものも踏まえて、この研究開発投資の目標を早々に明記していただきたいと思います。大臣の御決意を伺いたいと思います。

山口国務大臣

大変ありがとうございます。財務省に聞かせてあげたいような御提言、御意見を賜りました。

おっしゃるとおりなんだろうと思うんですね。ただ、いろいろと交渉する中で、例えば宇宙基本計画も当初は非常に厳しかったんです、金額は相ならぬというふうな話で。今回、またとりわけ、御案内のとおりで、二〇一五年のプライマリーバランスというのは何とかああいう格好でクリアできた。二〇二〇年というのは至難のわざで、財政当局も非常にガードがかたいといいますか、焦りもあるんだろうと思います。

そういう中で、今一生懸命交渉しておりますが、事務方としては、投資総額の目標についても、検討を進め云々ぐらいで、全くなかったところを、私があえてふさわしいと申し上げたんですが、それこそ、他の国々と比べても、あるいは私もよく申し上げておるんですが、いわゆるアベノミクスの三本目の矢ですね、これは、若干時間がかかろうとも、科学技術というものが占める役割、果たす役割というのは物すごく大きいものがあるんだろう。これから人口減時代を迎える中で、やはり科学技術がしっかりしなければ、本当に日本という国はだめになっていくんだろうという思いもございますので、そこら辺は、あえて申し上げますが、恥ずかしくない書きぶりにしていただくように、懸命に頑張ってまいります。

伊佐委員

ありがとうございます。大臣の今言える中での、本当に決意のにじみ出るようなお言葉であったと思っております。

科学技術特別委員会に属しておる我々は、財務省とのいろいろな交渉もあると思いますが、少なくとも科学技術に対しての応援団だと思っておりますので、しっかりと引き続き応援してまいりたいと思っております。

次に、人材の話をさせていただきたいと思うんです。

若手研究者、きょうも議題になっておりましたが、今、若手研究者、何度も議論になっておりますが、特に博士課程の研究者の数というのがどんどん減っている。当然、少子高齢化の中で若者の数が減っていっているわけですが、それ以上のスピードで減っている。それはなぜかというと、進学率というものがどんどん減っている。母数がどうあれ、進学率が減っているわけです。これは、二〇〇〇年との比較で大体半分ぐらいというふうに言われております。

博士課程に行かない理由というのが、アンケートで一番多いのは、経済的支援がないというところです。博士課程、これは米国の場合、いつも比較されますが、アメリカの場合は博士課程の大体九割の方々が財政支援をもらっている。日本は逆なんです。逆というのは、一割しかもらっていない。しかも、一割というのは、これは多目に、生活費だけでも一応もらったということにしてカウントして一割なわけです。全く大きな差がある。

さらに言えば、博士課程の研究者の就職、なかなか企業に採用してもらえない。企業にアンケートをとると、大学で教育するよりも、社内で研究者としての能力を高める方がいいんだ、これが六割の企業の答えです。それだと何のための大学教育なのかわからないという状況だと思います。

こうした何重苦も背負っている博士課程の若い研究者ですが、政府もこの問題をしっかりと捉えて、今までいろいろ努力、さまざまな取り組みをしていただきました。

その中で、やってきて一つわかったことは何かというと、若手人材の流動性とかあるいは安定化というものをやる中で、結局、その流動していく先、つまりシニアのポストが動かないと、実は若手の行き場所がないということがわかってきた。

シニアが流動しない、若者は動いてシニアが動かないという流動性の世代間格差、こういうものをまず何とかしなきゃいけないんじゃないかという議論が今なされていると思いますが、では、この世代間格差の解消に政府はどのように取り組んでいくでしょうか。

村田政府参考人

お答え申し上げます。

現在、任期つき制度が若手研究者、大学教員に定着をし、流動性が増した一方で、シニア研究者、大学教員の流動性が低いこともございまして、今先生から御指摘がございましたように、いわば流動性の世代間格差ともいうべき状況が発生しているところでございます。

この解消のためには、特に若手研究者が挑戦できる安定的なポストをさらに拡充していくことが重要であると認識しております。

文部科学省といたしましては、若手研究者支援のため、テニュアトラック制の導入促進、あるいは、複数機関で安定性と流動性を担保した科学技術人材育成のコンソーシアムの構築、さらには、大学改革の一環として、若手ポスト確保の支援などに取り組んでいるところでございます。

今後、こうした支援、取り組みに加えまして、年俸制やクロスアポイントメント制度の導入を一層促進することなどによりまして、シニアを中心とした教員の流動性を高めつつ、卓越した研究者が産学官の機関や分野の枠を超えて独創的な研究活動を推進できるような制度の検討を行うなど、引き続き若手研究者の活躍の促進を図ってまいりたいと考えているところでございます。

伊佐委員

結局、若手の研究者の皆さんの環境を考えましたときに、若手だけで閉じる話じゃなくて、シニアも含めて日本全体の人材の流動性をどう確保していくかという大きな視点が必要だと思いますので、ぜひ引き続き努力をいただきたいと思っております。

もう一点、安倍政権の中で、若手と並んで重要なのが女性です。女性の研究者にどうやって活躍していただくか。

指導的地位にある女性を三割にふやすというのが安倍政権の現在の目標でありますが、研究者の世界、今、女性研究者はどうかといいますと、日本で女性研究者の割合は一五%です。これは各国と比べてもやはり見劣りしておりまして、イギリスは四割が女性、アメリカは三割。先ほど申し上げた社会進出という観点においても、例えば女性の学長、大学の学長の割合を比べてみますと、アメリカは二六%、日本は今八%です。

これを考えるに当たって、私が一つ重要なデータと思いますのは何かといいますと、博士課程の後期の女性比率。

博士課程にいらっしゃる女性の比率は、実は三分の一いらっしゃいます。三分の一いらっしゃるものが、教員になった途端にがくんと比率が落ちるわけです。一気に落ちる。研究者となる卵はいるのに、それがなかなか、それを将来の仕事として教員になっていかない、研究者になっていかない、こういう状況があるんじゃないかと思っております。

党内でヒアリングをしたときに、ある理科系大学の副学長、女性の方です、副学長に来ていただいて、この大学のいろいろな取り組み、実は、今まで女性教員が少なかったものを倍増させたんです。その取り組みをいろいろ伺ったんですが、幾つか示唆がありました。

一つは、まず、政府が今までも女性研究者の支援をやっていただいています。ところが、限られた年限、支援があって、それが終わったら、はい、それまでよということで、例えばこの人がいなくなってしまえば、意味がないわけです。

しっかりと政府が一度始めたこの支援を、今度は、外部資金で得た女性の活躍のための支援を内製化していく。大学の内部でも引き続きしっかりこの取り組みを続けられるような、こういうような制度、評価というものが必要なんじゃないかというのが一点です。

もう一点は、よく言われますライフイベント、これは女性に限りませんが、研究者全体の中でいろいろなライフイベント、子育てがあったりとかあるいは親の介護があったりとか、こういうライフイベントの中でどういうサポートを得られるかというのが大事だと思います。

この大学でしていたのは、研究をサポートしてくれる研究支援員。これは、例えば妊娠でいいますと、妊娠がわかってから週に一、二回、研究支援員が配置される、産休の前後六カ月は専属でポスドクを配置する、産休が終わって復帰した後も、子供が小学校六年生になるまで研究支援員を週に一、二回ずっと配置してくれるというような取り組み、あるいは再チャレンジの取り組みもあります。

こうして倍増をなし遂げたんですが、女性研究員の活躍というためには、大学とかあるいは研究機関のこうした取り組みを政府がしっかりと後押ししてあげることが必要じゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

村田政府参考人

女性研究者についてのお尋ねでございます。

我が国の女性研究者の割合は、年々増加傾向にはございますけれども、一方では、先生から数字を挙げて御指摘いただきましたとおり、諸外国と比較するとまだ低い水準にあるわけでございます。

これは、お話がございましたとおり、ライフイベントの時期と、研究成果を生み出していく、研究成果を創出するに当たっての重要な時期とがちょうど同じ時期であるというようなことも背景にあるわけでございます。こうしたことから、研究と出産、育児等との両立が課題であるというふうに私どもも認識しておるところでございます。

このような認識のもとで、文部科学省といたしましては、平成二十七年度においては、これも御指摘がございました研究支援員の配置支援、それから、研究と出産、育児等との両立や女性研究者の研究力向上を図るダイバーシティ研究環境実現イニシアティブ事業や、研究復帰の支援を行う特別研究員、RPDと申しておりますけれども、RPD事業を実施しているところでございます。

文部科学省としては、こうした取り組みを通じて、各機関の組織的な取り組みを促しつつ、今後とも女性研究者の一層の活躍促進を促してまいりたいと考えております。

伊佐委員

ありがとうございます。

これは決して、女性、若手もそうですが、一部署の努力で何とでもなるようなものでもありませんし、ましてや個人の努力でもありません。しっかりと組織全体あるいは国全体としてそういう雰囲気をつくっていくということが大事だと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

次に、産学連携です。

いわゆるオープンイノベーションと言われるものですが、今まで、よく、日本の科学技術研究開発は自前主義だと言われました。自分の世界で閉じてやっていましたが、いよいよ投入するリソースだって自前じゃできなくなってきた。資源もそうですし、アイデアもそうですし、あるいはシーズもそうです。やはり一緒になってやった方がいい。あるいは逆に、シーズじゃない、ニーズの方ですね、ニーズの把握力。これもなかなか一つの限られた機関では問題で、やはりオープンイノベーションで多くの人たちが一緒になっていろいろなニーズを入れていく、こういうのが大事だというふうに言われております。

産学官連携ですが、ノーベル賞を受賞しました青色発光ダイオードの名古屋大学の赤崎先生、これも、もともとは豊田合成との共同、まさしく産学官連携で、国が数十年前に補助金として産学官連携プロジェクトで助成したものがこうして大きな成果になったというものだと伺っております。

産学官連携は、今少しずつ着実にはふえているんですが、ただ、問題は、いずれも小規模だ、非常に小さい規模でしか育っていない。大学の共同研究を見てみますと、百万円未満というのが大体半分ぐらいで、三百万円未満というのが八割ぐらい。なかなか大規模に育っていないという状況です。

そこで、今取り組みを進めていただいていますのがCOI、センター・オブ・イノベーション、これはまさしく産学官連携をどうやってやっていくかという大きなプロジェクトですが、炭素繊維を研究しています金沢の方に、我々、党でも行ってまいりました。

炭素繊維といいますと、鉄の四倍軽い、そしてまた強度は鉄の十倍、次世代の材料として今航空機のボディーとかに使われております。

炭素繊維といえば日本だというふうに私は思っていたわけです。日本が引っ張っているんだというふうに思っておりました。しかし、現場で話を聞くと、全然違っていたんです。びっくりしたのは、確かに日本の炭素繊維のシェアというのは世界で六割か七割あります。ところが、日本がやっていることは何かというと、大手の海外メーカーの下請企業でしかないというのが現状だと伺いました。

つまり、海外メーカーというのは、炭素繊維を使っていろいろな市場をどんどんつくっていっているわけです。例えば、最近の再生可能エネルギー、風車の材料をつくったりとか、あるいはゴルフのシャフトをつくったりとか、いろいろな市場をどんどん展開していっている。結局は、製品化のノウハウとか、物づくりのノウハウとか、こういうものは実は海外に蓄積されているんです。日本発の材料が今そういう状況になっている。

日本はどうなっているかというと、海外に言われて単に素材を提供する、素材提供屋でしかないんだ。だから、日本は余りもうかっていないんです。こういうような状況だ。

炭素繊維のこれからの市場の可能性というのは物すごいものがあって、例えば、我が国でいえば、我が国は今メンテナンス元年と言われて、老朽化したいろいろなインフラを再整備し直そうと言われております。鉄はさびるんですが、炭素繊維はさびないわけですから。こういう材料を、例えば超高層ビル、まさしく高さ一キロを超えるような、こういうビルだってこの材料を使えば可能かもしれない。あるいは、日本の海洋資源、深海採掘、深いところを掘っても、結局、鉄のパイプでやると何が起こるかというと、自分の重さで切れてしまうわけです。これを炭素繊維でやると、日本の海洋資源の開発は進むかもしれないとか、いろいろな可能性がある。

だから、申し上げたいのは、単に技術がすごいんだというのじゃなくて、いかに技術を使って社会実装していくか、社会に生かしていくか、こういう産学連携を進めていかないと、材料だけ一生懸命頑張って、技術だけ高めても意味がないと思います。

そういった意味で、社会実装を目指して、こういう前提で産学連携をさらに強化していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

村田政府参考人

お答え申し上げます。

御指摘がございましたとおり、革新的なイノベーションの創出に向けては、大学等によります先端的な研究成果の社会実装を進めることが重要でございまして、そのためには、産業界のさまざまなニーズに対して大学等がより効果的、組織的に対応できるよう、大学と産業界との連携を一層強化していく必要があると認識しております。

このため、文部科学省では、それぞれ産業界や大学のみでは実現できない革新的なイノベーションを実現するためのさまざまな産学連携施策を進めてきたところでございます。

これまでの取り組みにより、産学官の連携は着実に活性化されてはおりますけれども、産学の共同研究については、総体として、これも御指摘ございましたとおり、まだ小規模で、初期段階の取り組みが多いといった指摘もなされているところでございます。

文部科学省としては、産と学が一つ屋根の下で研究開発に取り組む、これも御視察をいただきましたセンター・オブ・イノベーション、COIプログラムの充実など、オープンイノベーションを加速するための本格的な産学官の取り組みを拡大してまいりたいというふうに考えております。

伊佐委員

ありがとうございます。
次の話題に行きたいと思います。

社会と科学、社会における科学技術、あるいは社会のための科学技術という観点でもヒアリングを行いました。

東日本大震災の前後で社会と科学にどういうふうな変化があったかといいますと、こういうアンケートがありました。科学者は信用できるかどうか、あるいは科学者の話は信頼できるかどうか。これは、信頼できるという割合が震災前後で一割減少したというふうに言われています。

また、STAP細胞の一連のいろいろな騒動もございましたが、今、社会と科学、科学がどう社会にかかわるかというテーマを考えたときに、もちろん科学者のリテラシーというのは重要だと思いますが、同時にもう一つ重要なのは、社会の科学リテラシーをどうしていくか、これも重要な問題じゃないかと思っております。

梅棹忠夫さん、文化人類学の大家でいらっしゃいますが、生態学の観点、社会学の観点で文明論を論じられた方です。

この方がおっしゃっていたのは、人間にとって科学というのは業だ、カルマだというふうに言っておりました。知能は性欲だと。つまり、知的探求というのは人類の根底の欲求であって、文明はその結果なんだと。

これは、つまり、知的探求という本能、それを目的とする科学者にいろいろな物事をどんどん委ねてしまうと、結局、危険性がある、業に走ってしまうことが多々あるんじゃないか、こういう指摘なんです。では、それをとめられるのは誰か、誰がとめられるかというと、欲求に支配されていない、目的を持っていないアマチュア。アマチュアこそがこれをとめることができるんだというふうに指摘しております。

もう一点指摘があったのは、技術の進歩というのは累積的だ、つまり、積み上がっていく。ところが、人間の倫理的な水準というのは非累積的だ、つまり、積み上がらない、常に変動するものだという指摘です。

つまり、科学に向き合うときに、科学に内在する問題というのは、科学では解決できないものも多々ある、だから、人間のための科学というものにどう転換していくかが大事だ、こういう指摘をこの人類学者がされております。

午前中から議論があったのは、政治が科学技術にどう向き合っていくかという議論もございました。具体的に言えば、科学技術のリスクにどう向き合っていくかというふうに言えるかもしれません。

リスクがゼロだという技術は存在しないわけですから、当然、ゼロに向かって安全を徹底的に追求していくという姿勢、これは忘れちゃいけないと思います。リスクを最小化した上で、では、どういう合意形成を図っていくのかということが重要じゃないかと思います。

そこで、大臣に伺いたいのは、国のいろいろな重要な課題に対して科学者が果たしていくべき課題、役割、政治がどう向き合うかについて、どう考えられますでしょうか。

山口国務大臣

これも御指摘にもございましたが、近年、自然災害とか気候変動等、科学的な専門知識を必要とする政策課題が台頭してきておるということは事実であろうと思います。

そうしたことを背景に、科学者が政策形成にかかわる必要性、これは従来にも増してふえてきておる、大きくなってきておるということが一つ言えるんだろうと思います。

同時に、今、梅棹忠夫さんのお話もございました。私も、好きでSF映画等々をずっとよく見てきたんですが、概して政治家が悪者というストーリーが多いですよね。せっかく科学者が忠告しておるのに聞かなかったとか。だけれども、数少ない例として、やはり、科学者が暴走する、素人がそれをとめるというものもあるわけで、そこら辺はうまくバランスをとっていく必要があるんだろう。

ただ、さっきも申し上げましたように、やはり科学者が政策決定の過程に関与する機会がふえてくるということは一つあると思うので、そこら辺はしっかりとお互い意思疎通をしながら、どういうふうな役割分担にするか、あるいはどういうふうな組織、システムにしていくかというのも含めて、今後の課題だろうと思います。

伊佐委員

政治と科学のかかわり方について、一つだけ補足をさせていただきますと、午前中の審議でも大臣がおっしゃっておりました、私自身は専門家じゃないけれども、表面をなでているだけで、それで政策判断を行っていく、大分謙虚におっしゃっていただいたんだと思いますが、政策決定を行っていく中でどういう科学的な助言を得るのか。決めるのは最終的には政治の世界だと思いますが、例えば総理に対する助言をどうするのかというのは、非常にこれは重要だというふうに思っております。

例えば、午前中議論のあったUK、イギリスの場合、東日本大震災のときに、科学技術顧問というのがいて、しっかりと今あるべき状況というものを助言したから、各国と違う動きをしたとか、あるいは、アメリカだって科学技術顧問、ホルドレンさんという方がずっと大統領の科学技術の顧問としていらっしゃる。こういったものは我が国でも私は必要だというふうに思っておりますので、ぜひまた引き続き御検討いただきたいと思います。

最後に一問、どうしても聞きたいことを大臣に伺いたいと思います。何かといいますと、関西特許庁の構想なんです。

これは、地方創生の中で、私は非常に大事だと思っています。国会質疑の中でも、機会あるごとにいろいろなところで私は申し上げてきました。経産大臣にも質問させていただきました。本日は、知財担当大臣たる山口大臣に、この関西特許庁について伺いたいと思います。

昨年の十二月に、まち・ひと・しごと創生長期ビジョン、また総合戦略、これが閣議決定されました。この中で書かれていますことは、企業に対して、本社機能を地方に移していきなさいよ、移してくださいということが書いてあるわけです。でも、当然、隗より始めよ、政府の機関、行政機関をまず地方に移転するということも大事だというのがここに書かれているわけです。

その中で、関西特許庁、関西に知財のブランチをぜひつくっていただきたいと思っております。

関西は、今、イノベーション国際戦略総合特区に指定されて、イノベーションの中核拠点を目指しているところです。知財の観点からいいますと、日本全国の特許数のうち、三割が関西なんです。関西から出てきている。

関西にぜひブランチをという話をすると、特許庁の方は何を言うかというと、例えば、審査の過程で面接があるんですが、この面接も今テレビ電話でできますということを言われるんです。

でも、実際は、私が地元で中小企業の皆さんと話をすると、いやいや、やはり目の前に行かぬとだめだと。例えば、我々がアピールしたいのは、この部材のこの角度を見てくださいとか、ここのこの肌ざわり、これが新しくて、こういう機能なんです、こういうことを目の前で見てもらわないと、幾らテレビカメラを通じても伝わらぬということを皆さんおっしゃいます。結局、物を持って東京に行くんですと。これは中小企業の皆さんにとっても負担になっているわけです。

こういう要請もあって、特許庁が最近始められたのは、出張面接というのもやりますよということ、ちょっと流れが変わってきました。でも、これもなかなか難しくて、では、何月何日に来てくださいというふうにわざわざアポイントをとるわけですよ。わざわざ出張費を出して来てもらう。

そうじゃなくて、地元の中小企業の皆さん、物づくりの皆さんが求めているのは、いつでも気軽に相談に行きたい、今ここを悩んでいて、これをちょっと見てくれといって審査官に相談に行きたい、こういうような関西の拠点をぜひ置いてほしいというお声があります。

これは地方創生という観点もあるんですが、国家の知財戦略としても、関西特許庁、ぜひ実現に向けて一歩踏み出していただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

山口国務大臣

御指摘がございましたように、地方創生の中で、まず隗より始めよというふうなことで、国の機関の地方移転というのが掲げられておるということは承知をいたしておりますし、同時に、まち・ひと・しごと本部の方で、こんなものが考えられるという例示も出ておりました。

特許庁に関してですが、ただ、同様の機能を持つような地方支部をふやすということは、行政改革等々の考えの中で、なかなか難しいのかなというふうに思っておりますが、現在、全国の経済産業局の特許室に計六十名程度ですか、職員を配置して、とりわけ、さっきもお話がありました、関西圏は非常に多いというふうなこともございますので、知財セミナーなどを行って、さらには、知財関連の相談をワンストップで行う相談体制を整備、強化するなど、いわゆる関西の知財活動支援をできるだけ強化しておるというふうに聞いております。

また、これもお話があったんですが、出張面接審査とかあるいはテレビ面接審査等も行っておるというふうに理解をしております。また、これもお話があったんですが、出張面接審査とかあるいはテレビ面接審査等も行っておるというふうに理解をしております。

まことに宮沢大臣みたいな答弁になって申しわけないんですが、そういったことで、当面、皆さん方がお困りにならないように、いろいろな手だては考えていきたいと思っております。

伊佐委員

これは、厚労省は一歩踏み出したんですね。PMDA―WESTというのをつくって、創薬の世界はやりましたので、ぜひ知財の観点でもよろしくお願いしたいと思います。

以上、終わります。ありがとうございました。

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