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189-衆-本会議-22号 平成27年05月12日

議長(大島理森君)

伊佐進一君。

〔伊佐進一君登壇〕

伊佐進一君

公明党の伊佐進一です。

公明党を代表いたしまして、ただいま議題となりました労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律等の一部を改正する法律案について質問いたします。(拍手)

派遣労働者の方々が、正社員を望むなら、キャリアアップ支援などの措置によって正社員への道を開き、また、もし派遣という形態を選択するのであれば、労働者としてその権利が十分に守られるようにする、これが重要なポイントです。また、そのためには派遣業界の健全化も求められており、本法案においては、派遣事業を全て許可制にし、許可取り消しを含めた厳格な制度に変わります。

こうした点において、今回の法改正は、派遣労働者の雇用安定と正社員化に向けた大きな一歩であると思います。まず、改めて、本法案の目的と意義について総理に伺います。

一方で、本法案が一生涯派遣となる生涯派遣法だとの批判もあります。

正社員を望む派遣労働者にとって最も不安定な状況の一つは、有期の雇用が繰り返される状況です。契約期限が近づくたびに、次は契約が更新されるのか、さらに次は大丈夫かと、常に不安の中で働いています。この不安定な状態に固定される有期雇用への固定化では、全く将来が見えません。こうした現状こそが、生涯派遣という批判に当たるものと思われます。

正社員を目指す派遣労働者においては、まずは、少なくとも、この有期雇用の反復という状態から抜け出すための支援が必要です。

労働契約法においては、有期契約から無期契約への転換が規定されています。また、我々公明党も、有期労働契約から、より雇用の安定した、期間の定めのない労働契約に転換していくことを目指しています。

そこで、厚生労働大臣に伺います。

生涯派遣という批判もありますが、今回の法改正は、正社員を希望する人にとっては、有期から無期への転換というステップも含めて、ゴールとしての正社員化を目指すものと理解していますが、いかがでしょうか。

次に、派遣期間について伺います。

現行制度においては、派遣として同じ仕事に携われるのは、原則一年、最長でも三年です。しかし、これまでは、係さえかえれば、同じ職場、同じ個人でも、派遣を繰り返すことが認められておりました。しかも、その場合、過半数組合等への意見の聴取すら必要ありませんでした。また、三年の派遣期間の途中で交代した場合、新たに雇われた派遣労働者は、その残りの期間しか働けないという制度になっておりました。

しかし、今回の法改正では、初めて派遣労働者個人に焦点が当たり、個人単位の期間制限が設けられることになりました。同じ個人が同じ課の中で異動しても、延長は認められません。事業所内で課を超えて大きく異動したとしても、過半数労働組合等への意見聴取の義務が課されています。

このように、派遣労働者個人に着目し、個人単位の期間制限など、派遣労働者個人の固定化を避けるために一歩進んだものとなっていると思われますが、厚生労働大臣の明快な答弁を求めます。

現在、専門的業務である二十六業務には、派遣の期間制限が設けられておりません。改正案においては、専門的業務という判断基準が曖昧であったため、この二十六業務を廃して、全ての業種に一律に期間制限を設けることとしています。これに対して、安定的な二十六業務の雇用を不安定にするものだという批判がございます。

しかし、そもそも、この二十六業務の見直しについては、平成二十四年、派遣法改正時における附帯決議に基づいて行われるものであり、その附帯決議は、当時の与党民主党を初め、自民党、公明党ほか、多くの会派の賛成を得て、衆参両院で付されたものです。

派遣労働者の観点からいえば、現在の二十六業務に該当し、派遣の期間制限を受けない労働者は、全体の四割です。しかし、制限がないからといって、実際に無期雇用されている労働者は一七%しかおりません。期間制限がないにもかかわらず有期雇用が繰り返されている方々に対して、きちんとした措置を設けることが求められています。

そこで、厚生労働大臣に伺います。

今回の二十六業務の撤廃は、企業にとってわかりやすいだけではなく、こうした派遣労働者にとってもメリットがあるものと言えるのか、見解を伺います。

派遣労働が臨時的かつ一時的な働き方だということは、これまでの派遣法の原則でもありました。今回の法改正でもその原則は変わるものではなく、むしろ、前回提出の法案に書き加えられる形で、派遣就業が臨時的かつ一時的なものであるとの規定が初めて法文上に明記されました。

改めて、派遣労働が臨時的かつ一時的なものであることを原則として初めて明記した趣旨について、厚生労働大臣に所見を伺います。

均等待遇、均衡待遇について伺います。

均等待遇への考え方については、これまでの法案審議において、政府側から累次示されてきております。総理の答弁においては、同一労働同一賃金が保障される仕組みをつくることは重要な考え方とした上で、均等待遇の実現には、我が国の労働市場においては乗り越えていくべき課題があると述べられ、まずは均衡待遇を目指すとしています。

今回の法案の附則においては、前回から修正が加えられ、均等・均衡待遇について検討するため、調査研究その他の必要な措置を講ずると明記されました。

均等待遇、すなわち同一価値労働において同一賃金が保障されるとの考え方は、派遣労働者かどうかだけではなく、正規か非正規かも含めて、雇用形態によって左右されないことが重要であり、これが目指すべき雇用の形であると考えます。

今後、均等・均衡待遇についてもしっかりと調査研究を進めていただき、我が国が目指すべき労働市場、雇用制度を議論していただきたいと思いますが、総理にその決意を伺います。

公明党青年委員会は、これまでも、現場を走り、働く若者の声に耳を傾けてまいりました。二十八万六千人へのアンケート調査をもとにしたワーク・ライフ・バランスに関する提言、また、全国で青年市民相談会を五十回以上開催し、多くの若者の声を聞いて青年政策アクションプランを作成するなど、現場の声を予算編成や制度の拡充、法改正につなげています。

これからも、地域社会の中で働く一人一人の声を大切にしながら、そこに寄り添い、着実に雇用環境の改善に取り組んでいく決意を申し述べ、私の質問を終わります。

ありがとうございました。(拍手)

〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕

内閣総理大臣(安倍晋三君)

伊佐進一議員にお答えをいたします。

法案の目的と意義についてお尋ねがありました。

一般に、派遣という働き方は、賃金水準が正社員に比べ低い傾向にあり、雇用の安定やキャリア形成が図られにくい面があります。

このため、今回の改正案では、正社員を希望する派遣労働者について、その道が開けるようにするため、派遣元の責任を強化し、派遣期間が満了した場合、正社員になったり、別の会社等で働き続けることができるようにする措置や、派遣期間を通じた計画的な教育訓練を新たに義務づけるなど、派遣就労への固定化を防ぐ措置を強化することとしています。

また、みずからの働き方として派遣を積極的に選択している方については、賃金等の面で派遣先の責任を強化するなど、待遇の改善を図っていきます。

安倍内閣としては、こうした仕組みを通じ、働く方それぞれの選択がしっかり実現できるような環境を整備してまいります。

均等・均衡待遇についてお尋ねがありました。

同一労働に対し同じ賃金が支払われるという仕組みは、一つの重要な考え方と認識しています。

しかし、ある時点で仕事が同じであったとしても、さまざまな仕事を経験し責任を負っている労働者と経験の浅い労働者との間で賃金を同一にすることについて、直ちに広い理解を得ることは難しいものと考えています。

このため、今回の改正案では、賃金、教育訓練及び福利厚生の面で派遣先の責任を強化するなど、まずは派遣先の労働者との均衡待遇を進めることとしており、これらを通じ、派遣で働く方の待遇改善を図ってまいります。

また、均等・均衡待遇の確保のあり方について検討するため、均等待遇の原則が適用されている諸外国の制度や運用状況等に関し、調査研究に取り組んでいくこととしており、この旨を法案に規定しています。

残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)

〔国務大臣塩崎恭久君登壇〕

国務大臣(塩崎恭久君)

伊佐進一議員から、四点質問を頂戴いたしました。

今回の法改正の目的についてが第一番目でございます。

今回の法改正は、派遣で働く方の一層の雇用の安定、保護等を図り、正社員を希望する方にはその道を開いていくものでございます。

具体的には、派遣会社に対して計画的な教育訓練やキャリアコンサルティングの実施を、派遣先に対して正社員の募集情報の提供をそれぞれ義務づけ、正社員を希望する方が正社員となれるような環境を整備してまいります。

また、委員御指摘のとおり、正社員化へのステップの一つとして、派遣で働く方の無期雇用化を進めるため、無期雇用派遣を期間制限の例外とすることで、そのインセンティブを高めることとしております。

労働者派遣法改正案における期間制限等についてのお尋ねがございました。

今回の改正案では、派遣労働への固定化を防ぐため、派遣で働く方について、同じ職場への派遣は三年を上限とする個人単位の期間制限を新たに課すこととしております。

このため、同じ派遣先において引き続き同じ派遣で働く方を受け入れるためには、少なくとも、派遣で働く方の所属する課を変更しなければならなくなることから、現行より厳しいものとなっております。

さらに、派遣元には、希望に応じたキャリアコンサルティングや、計画的な教育訓練の実施が義務づけられているほか、派遣先も正社員化推進措置を講ずることとされており、こうした取り組みを通じて、派遣労働への固定化を防ぎ、正社員を希望する派遣労働者について、その道を開いてまいります。

いわゆる二十六業務の撤廃についてのお尋ねがございました。

現行の労働者派遣法では、派遣先での受け入れについて、専門的な業務であるいわゆる二十六業務を除き、最長三年という期間制限を設けていますが、いわゆる二十六業務の専門性が時代により変化する、対象業務に該当するかどうかわかりにくいといった課題が指摘をされております。

このため、今回の改正案では、業務による期間制限の区分を見直し、派遣労働者個人単位と派遣先事業所単位の二つの期間制限に見直し、労使双方にとってわかりやすい制度としております。

こうした見直しにより、派遣で働く方についても、節目節目で自身のキャリアを見詰め直していただき、キャリアアップの契機としていただくとともに、派遣労働への固定化を防止していくこととしております。

派遣労働を臨時的かつ一時的と明記したことについてのお尋ねがございました。

平成二十六年一月の労働政策審議会の建議では、派遣労働を臨時的、一時的な働き方と位置づけることを原則とするとともに、派遣労働の利用を臨時的、一時的なものに限ることを原則とすることが適当とされました。

法律上の規定の有無によらず、建議を踏まえた改正後の法律の運用に当たっては、派遣は臨時的、一時的という考え方を踏まえた運用を行うことが求められているものと理解をしておりますが、今回、法律に派遣は臨時的、一時的という文言を規定することにより、その趣旨がより明確になるものと考えております。

以上でございます。(拍手)

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