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189-衆-安全保障委員会-8号 平成27年04月23日

北村委員長

次に、伊佐進一君。

伊佐委員

公明党の伊佐進一です。

本日、お忙しい中で参考人の先生方皆様にはお越しいただきまして、また貴重なお話を聞かせていただきまして、本当にありがとうございます。
早速、質問に入らせていただきたいと思います。

まず、白石参考人にお話を伺いたいんですけれども、白石参考人は、アジア、とりわけ東南アジアのずっと、専門でいらっしゃいますが、今回、防衛省の所掌事務の中に「国際協力に関すること。」というのが法案で盛り込まれるということになりました。これは、もともと中央省庁の行革の際には、どの省庁にも、所掌事務に関する国際協力に関することというのは全部入った。ところが、防衛省と外務省だけ入らなかった。

その際、防衛省は海外との協力にどういうものがあるかと、いろいろな議論があったとは思うんですが、今は状況も大分変わりまして、海外との協力は、今までの日米安保という世界だけからどんどん拡大していっている。防衛装備移転三原則、これによる海外との協力というのも今後拡大していくでしょうし、あるいは、開発途上国の能力の構築、能力構築支援というのも二〇一二年から防衛省は行っておりますが、こういうような状況を見て、国際協力の根拠の規定を置こうというのが今回の改正だと思っております。

とりわけ東南アジア諸国、では、防衛省がどういう協力をしていくか。東南アジア諸国を初めいろいろなその他の地域に対して、防衛省の国際協力としてどういうような協力を今後行っていくべきかというものについて伺いたいと思います。

白石参考人

どうもありがとうございます。

特に東南アジアさらには南アジアあたりを考えますと、二つ、直ちに思い浮かぶことがございます。

一つは、これは最近日本語でも使われるようになってまいりましたけれども、太平洋からインド洋にかけての極めて広大な地域をインド・太平洋という言葉でつかまえて、この地域を一つのシアター、舞台として、日本の安全保障、あるいは非常に大きな地域の安定ということを考えよう、そういう考え方が非常に強くなってまいっております。

これは、日本の場合には、シーレーン一つとりましても死活的な重要性を持つ問題でございますが、この分野で、特にアメリカといわば協力しながら、この地域の安全保障において、例えば海の安全保障において協力していく。特に、例えば合同演習のようなものを実施するということによって協力していくというのは、これは極めて重要なことだろうというふうに思います。

それからもう一つ、これは日本の自衛隊の戦後の歴史を考えれば直ちにわかることですけれども、実は、防衛ということ以上に、実際には、例えば災害復旧支援のようなものであるとか、ほかの役割が極めて重要になっているということも間違いございません。ですから、その意味で、安全保障協力ということの一環として、例えば災害支援のようなところでの協力、あるいは、この前の三・一一以降のアメリカの協力によってトモダチ作戦等が行われましたけれども、こういうものを踏まえた、ある意味では地域的な演習、こういうことがこれからは東南アジアにおきましても非常に重要になるのではないだろうかというふうに考えております。

それで、最後に一つ、これは必ずしも防衛ということではございませんで、もう少し広い安全保障ということから申しますと、やはり現在、ASEANの国々さらにはインドのような国にとりましては、この地域の力のバランスをどう維持して、これが突然がらがらっと壊れないようにするか。新興国が台頭することによって力のバランスが徐々に変わっていくのはいいけれども、そういう中で秩序をどう維持していくか。そのために、やはり日本に非常に大きな期待が今かかっている。そういうメッセージを送る意味でも、日本としてはいろいろなことがまだできるんだろうというふうに私は考えております。

伊佐委員

ありがとうございます。

白石先生は総合科学技術会議の議員もされていらっしゃいましたので、その観点でも少しお伺いしたいと思うんです。

防衛装備庁の話で、これまで研究開発をずっとやっていた技術研究本部というのを廃止する、防衛装備庁の中に取り込むということなんですが、研究開発の段階から取得、廃棄、このライフサイクルというものをしっかりと管理していこう、プロジェクトマネジャーというのを置いて、そのもとにプロジェクト管理をしっかりやって、研究開発の段階から考えていこうというような取り組みだと思います。

白石参考人の資料の中にも書いてありますとおり、考えるべきこととして産官学の協働と書いてありますが、これは、意味するところを逆に言えば、今この産官学の協働というのはなかなか進んでいないということをおっしゃっているんじゃないかと思います。また、防衛部門の技術開発、民生部門技術開発の連携、うまくつなげるというのもなかなか進んでいないというのも以前おっしゃっていただいておりました。

そういう意味では、今回の装備庁というものができることによって、こうした観点が改善されていくことを期待されているかどうか、お伺いしたいと思います。

白石参考人

どうもありがとうございます。

これは非常に重要な点でございまして、私自身、内閣府の総合科学技術会議の議員をしておりましたときに、正直申しまして、なかなかうまく進まないということで非常に悩んだ点でございます。

一つ、これについてまず申し上げておくべきことは、両用技術、デュアルテクノロジーという言葉がございますが、この言葉が受けとめられる、その受けとめられ方でございます。

デュアルテクノロジーといいますと、例えばアメリカでは、研究開発投資というのはかなりの額が国防省によって行われているために、意味としては、軍事的な目的のために投資されている研究開発投資というのは実は民生にも非常に重要です、そういう意味でデュアルテクノロジーという言葉が使われるわけですけれども、日本の場合には、デュアルテクノロジーと言った途端に、これは軍用技術に対する研究開発投資だと受けとめられて、そうすると、大学あるいは国の研究機関ではそういうことをやろうという意思がなかなか生まれてこない、これが現実でございます。

だけれども、もう既に御承知のとおり、科学技術、イノベーションの世界というのは、オープンサイエンス、オープンデータ、オープンイノベーションの時代でございまして、何か最初から軍用でつくるなんということではございません。技術というのは、そんな、軍用も民用もないんですね。これを、オープンにいろいろなところでつくられていくのを見ながら、防衛にとって役に立つものは、そういうことを担当にする人たち、つまり防衛装備庁にこれから配置される人たちが考える、そういうことになっていくのであります。

ですから、その意味では、これは一つの非常に重要なきっかけになるというふうに期待しておりますが、ただ、一つ申し上げておきますと、まだそのための予算配分というのは、私の知る限り三億円程度でございます。例えば、文部科学省が大学等の研究機関あるいは大学研究所に自由な研究のために配分しております科学研究費、これは二千億を超えております。そういうことからいいますと、実は、私がかつて京都大学におりましたときにいただきました特別研究費、京大で、ある一つの大きいプロジェクトをやるために五年いただいたお金の、これは半分にも至らない、その程度の極めて小さいもので、これは数桁上げないと、なかなか実際には意味はないのではないだろうかと考えております。

伊佐委員

ありがとうございました。

では次に、細谷参考人に文民統制の件を伺いたいと思います。

文民統制のまず定義が何なのかというところだと思うんですが、もちろん、歴史的な経緯がさまざまあって、もしかするとその中で変遷もしているのかもしれませんが、三月、中谷大臣の統一見解として示されたのは、文民統制というのは「民主主義国家における軍事に対する政治の優先を意味する」と。国会における統制、内閣における統制、防衛省における統制という見解が示されました。

きょうのお話、細谷参考人のお話では、もうちょっと広いのかなと思いました。というのは、民主的統制というものを強調されていらっしゃった。

確かに、シビリアンコントロールといったときに、では、シビリアンとは一体誰なんだ、もしシビリアンというものが政治だというのであれば、政治が絶対に暴走しないということは言い切れないわけですから、そうしたときに、では、そういう事態を避けるためには最終的な歯どめは何になるかというと、主権者たる国民ということになるわけです。

恐らく、そういった意味で民主的統制というのが大事だということをおっしゃったのかなと思っておりますが、そういう意味では、では、民主的統制というのは一体何なのか。例えば国民の皆さんに防衛関係の情報を公開することなのか。どういうふうな具体的なことをお考えになっておりますでしょうか。

細谷参考人

ありがとうございます。

シビリアンコントロールといいましても、これはやはり国によって政治体制が異なりますので、アメリカの場合、イギリスの場合、日本の場合、それぞれがまず異なってくるんだろうと思います。したがって、政府見解で出ております、先生に御紹介いただきました定義というのは、これはやはり日本の政治体制の中でシビリアンコントロールを考えたときのシステムということだろうと思います。

これをもう少し広く捉えますと、シビリアンとミリタリー、これは戦時国際法でも、一般的に、軍人、ミリタリーと、民間人、非軍人ということでシビリアンというふうに分けるわけでございますが、このように、軍のコントロール、誰が軍をコントロールするのか。

軍自体が軍をコントロールする。これは、例えば、私の専門のヨーロッパ外交史でいけば、十八世紀、十九世紀、二十世紀半ばに至るまでのドイツが、軍が統帥権を持つということになります。そして、このプロイセンの国家体制を模倣したのが日本でございますから、当然ながら、民主的なコントロールというものが軍にはきかないわけですね。これは統帥権の話で、戦前あったことであることは言うまでもございませんが。

したがって、このように、もともとをたどってみれば、軍を誰がコントロールするのかということで、そのコントロールする主体が日本の場合には総理大臣です。自衛隊の最高司令官である総理大臣が最高指揮権を持っている。そしてさらには、日本の場合、議院内閣制ですから、これはあくまでも国会のもとに総理大臣が行動する、そしてさらには内閣というものがある。このようにして何重にも、政治の中で軍をコントロールするシステムが、行政レベルでも立法レベルでも当然あるわけでございます。

そのような形で、日本の民主主義というものがどのように政治を行っているかということを考えた上で、民意を反映した日本の民主主義のシステムの中で、立法的、行政的、さらには防衛省の中でもさまざまな形で、軍、日本の場合は自衛隊をコントロールするシステムが確立している。これが日本で言うところのシビリアンコントロールであり、また民主主義国である日本が行うシビリアンコントロールということで、民主的統制ということになるんだろうと思います。

伊佐委員

ありがとうございます。

このテーマをもう少し掘り下げて議論させていただきたいと思うんですが、武蔵参考人に伺いたいと思います。

では、シビリアンコントロールというもの自体が、時代とともにと私先ほど言いましたが、変遷もあるんじゃないか。つまり、昔であれば、どちらかといえば消極的なシビリアンコントロール、つまり、軍事が暴走しないようにしっかりと政治が抑えなきゃいけない、こういうような消極的なシビリアンコントロールから、今ずっと語られていますのは、どちらかといえば積極的なシビリアンコントロール、つまり、政治がしっかりと自衛隊、防衛力を使っていこう、政治の意思のもとで国益に合致した形でしっかりと活用していこう、こういうような積極的なシビリアンコントロールに変わっていっているんじゃないかと思います。これは、安倍政権の今、積極的平和主義という文脈においては、まさしく呼応しているものかなというふうに思っております。

では、いわゆる文官統制というものについて、これもどんどん実は変遷してきているんじゃないか。武蔵先生が以前書かれたものを読ませていただいたんですが、そこに書かれていることの趣旨を申し上げると、冷戦の前後で、内局による文官統制というのがどんどん薄まっていった、今は、防衛大臣みずから統制の主体となる直接的な統制の傾向がふえてきた、直接的に大臣が統制するようになってきた。これは当然、本来の文民統制なわけです。国民の代表として選ばれた大臣が直接統制するというふうに変わってきたんだということをちょっと述べられておりましたが、少し事例を踏まえて御説明いただければと思います。

武蔵参考人

ありがとうございます。

文官統制にかわり、防衛庁長官や防衛大臣が、いわゆる間接統制ではなくて直接統制という要素がふえたということは、私も著書で書かせていただきました。

これはやはり、自衛隊の積極的活用が国際情勢の変化から必要になったということが一点。もう一点は、そうした自衛隊に対する世論の評価というものが、災害派遣やPKOなどの結果、肯定的な評価に変わってきた。

そういったことから、従来、防衛庁長官や防衛大臣というポストは、自民党の中では余り人気がないポストだったわけですね。そういう意味では、ハト派の方が長官につかれたりということもございました。ところが、私の研究では、二〇〇〇年代以降、防衛庁長官、防衛大臣になられる方は、自民党の中でも国防部会長経験者がふえておりまして、いわゆる国防族の方がなられているんです。

そういった意味で、余り大臣が自衛隊を活用、運用することに積極的でなかった冷戦期から、冷戦後は、むしろ、自衛隊というものの存在意義を認め、それを有効に活用したいという大臣の意識が変わった。それが、大臣が直接的に自衛隊を統制しよう、そういう傾向が増してきたのではないか。すなわち、自衛隊を統制する側の主体である大臣の、安全保障や防衛問題に関する取り組みの意欲が増した、そういうふうに考えております。

以上です。

伊佐委員

ありがとうございます。

これは、私、難しいのはやはりバランスだと思っておりまして、どういうバランスをとるのか、つまり、文官統制というのか、あるいは文民統制の一つのツールとしての内局の調整というのか、言い方はいろいろあると思いますが、こういったものと軍事的適合性のバランスをどうとっていくかということかなと思っております。

武蔵参考人もこの資料の中で触れられておりますとおり、文官というのは、政策とか法制とか予算とか、こういう、制服組が必ずしも得意ではない分野というのは、内局としてはこれから担っていくわけですから、十二条がどういう形であったとしても。そういう意味では、文官としてのこういう調整の仕方というのは当然残っているわけですし、また、さっき発言の中でもいただいたように、八条というものが残っている。つまり、自衛隊の行動の基本に関するところというのは維持しているということですので。

こうした文民統制の一つのツールとしてのいわゆる文官統制というものはやはりある程度残しながらも、逆に、余り出過ぎると、軍事的な専門家でない文官によって、軍事面での計画であったりとかあるいは教育訓練であったりとか、こういうようなところによくない影響を与えるかもしれない。

このバランスをとるのが一番難しくて、このバランスの変遷がこれまでの歴史の変遷だったとも言えるのではないかと私は思っているんですが、いかがでしょうか。

武蔵参考人

ありがとうございます。

確かに、内局の文官が軍事専門的知識を欠くことによって、例えば、防衛力の整備において従来内局がやってきたのは、三自衛隊、三幕僚監部のそれぞれの意見の違いの調整といったようなことが主であって、いわゆる統合運用という観点からの、戦略的な観点からの内局の関与が不十分であったのではないか。そういう点では、現在、三自衛隊を統合運用するということも進んでいますし、それは何も運用だけではなく、今後は、防衛力の整備に関しても統合運用というのは一層進めていかなければならないと思います。

そうした点で、やはり、内局の中にもしそうした軍事的な観点からの不足があるならば、それは、内局の文官自身が統合幕僚監部での運用の経験等を積むことによってスキルを身につける必要もあるし、また、制服組の方が、ラインではありませんけれども、内局のスタッフの中で働くことによって、UCが協働しながらやるということで、従来そごがあったような問題は今後改善されていくのではないのかなというふうに思っております。

ですから、文官が制服組を統制するというのではなくて、統合幕僚監部や制服組だけが物事を決めるではなくて、それを、大臣を補佐する中央部局としての内局もやはりチェックできる要素というのを残していかなきゃならない。その内局というのは何も文官である必要はないわけであって、文官を主体としながらも制服組も関与した組織でいわゆるチェック・アンド・バランスの関係をつくっていく。

最初の言葉で申し上げますと、諸外国におきましても、国防大臣の下に、例えばアメリカでいえば国防長官府というのがあり、統合参謀本部というものがある、均衡した組織なんですね。その均衡した組織があることによって、参謀本部だけの意見で国防長官が決定しない、それは、国防長官府のスタッフのいろいろな意見を聞きながら決定するわけです。その中には、何も行政的な内容だけではなく、例えば作戦運用に関することも、実は国防長官府の文官スタッフが大臣に意見具申をしているわけなんですよ。

そういった車の両輪として働かせていくという意味で、運用や計画にわたって従来のような内局の役割というのは十二条でしっかり維持していくべきであるというのが私の意見であります。

伊佐委員

ありがとうございました。

時間の都合上、西川参考人、質問をお伺いできずに申しわけありませんでした。

以上、本当に貴重な御意見をありがとうございました。終わります。

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