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187-衆-科学技術イノベーション推進特別委員会-4号 平成26年11月12日

清水委員長

次に、伊佐進一君。

伊佐委員

おはようございます。公明党の伊佐進一です。
本日は質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

きょう私が取り上げたいのは、日本の若手研究者に対する支援、あるいは現状がどうなっているかということについて質疑をさせていただきたいと思います。

このたび、青色LEDということで、中村修二先生初め赤崎先生、天野先生、日本のこの三人がノーベル物理学賞を受賞されました。

非常におめでたいことではありますが、決してこれは手放しでは喜んでいられない、そう思っております。といいますのは、このノーベル賞というのは、もう御案内のとおりで、日本の過去の成果に対する評価ということだと思います。

お配りさせていただきました資料を見ていただきますと、これは日本がこれまでノーベル賞を受賞してきた実績をリスト化しておりますが、研究発表した年と受賞の年とでどれぐらいタイムラグがあるのか。近年の動きを見ていると、大体三十年から四十年ぐらいの差がある。山中先生、iPS細胞だけは六年後という非常に短い期間なんですが、通常は三十年、四十年前の研究成果に対して評価がなされる。例えば南部先生なんかは、二〇〇八年に受賞されておりますが、四十八年後、半世紀たって評価されるというような状況です。

こういうことを考えますと、では今後、日本の未来を推しはかると、どういうような科学技術の分野で日本が発展をしていくか。これは、今の若手研究者を見れば将来の日本がわかる、そう思います。

では、ちょっと幾つか資料を用意させていただきましたので、現在の若手研究者が置かれましたさまざまな状況というものを、次の二枚目の資料から説明をさせていただきます。

まず、二枚目、資料二の左側、これは教員です。若手のポジション、赤色ですが、二十五歳から三十九歳、これがどんどんどんどん減ってきている、若手のポジションが減っている。

次のページ、資料三を見ていただきますと、これはその年に博士号を取られた取得者の数です。これも平成十九年をピークに今どんどんどんどん減っているという傾向にあります。

こうして研究者の数が減っている、若手が減っているというと、もちろん、少子化の影響があるんじゃないか、そういうような御意見もあるわけですが、資料四を見ていただきますと、左側、折れ線グラフになっていますのが進学率です。つまり、進学率ですので、人口当たりでどれぐらい博士課程に皆さんが進んでいるかというグラフですが、これを見ていただいても、少子化とは関係ない。人口当たりで見てみても、どんどんどんどん理系で博士課程に進んでいく人が減っているんです。これが今の日本の状況だ。

もう一つ、最後、資料五を見ていただきますと、これは各国と比較してどうかというのが資料五です。見ていただいたら歴然でして、人口百万人当たりで博士号を取得する数というのは、米国よりも、ドイツ、フランス、イギリスよりも低い、韓国よりも低いというのが現在の日本の若手研究者の状況ということです。

そこで、まず冒頭、質問です。

こうした今の若手研究者の置かれた現状、これを政府は今どうごらんになっているか、まず伺いたいと思います。

松本大臣政務官

御質問にお答えをいたしたいと思います。

図を使いまして大変わかりやすく現状の御説明をいただき、御指摘をいただきまして、ありがとうございます。

我が国においては、御指摘のとおり、博士号の取得者及び博士課程進学者数が減少していることに加えまして、国際的にも博士号取得者数が少ないとの現状にあることは、我々国といたしましても承知をしているところであります。

さらに、大学における本務教員のうち若手教員の割合が低下傾向にあるなど、将来の我が国の科学技術・イノベーションの担い手である若手研究者にとって大変厳しい状況にある、そういった認識をしているところであります。

伊佐委員

政務官も認識していただいているとおり、非常に厳しい状況だ。

もちろん、一つは、先ほど私の中でお話しさせていただいたとおり、まずポスト、教員、若手の研究者がつくポジションというのが非常に少ない。

ちなみに、資料二の右側を見ていただくと、常勤で任期なし、いわゆる安定したポジションです。研究者で常勤、任期なしでどれぐらい若手がいるかというと、平成十九年、二二・五%、二十二年、さらに減って一七・九%。より不安定な状況になっているというのが現状です。

こうした雇用への不安、博士課程に進んだとしても、果たしてポジションがあるのかどうか、働き口があるのかどうか、こういう不安がまず一つあるわけです。

若手研究者の声を聞くと、もう一つ不安がある。

先日、私、博士課程あるいは修士課程の学生、また若手研究者の皆さんと意見交換をさせていただきました。そこでいろいろな声がありました。

少し紹介をさせていただきますと、生活が苦しい、アルバイトで勉強時間が余りとれない、あるいは、就職が年々困難となっていて、就職活動で研究に時間がとれない、あるいは、学部一年から博士まで九年間奨学金を借り続けたら、物すごい借金となってびっくりした、あるいは、三十代の博士課程の女性の方は、妊娠された、妊娠したけれども、本当に研究職で就職先が見つかるのか不安、保育園の入園でも、学生という身分が不利に働くんじゃないかと心配だ、そういうさまざまな不安の声をいただきました。

これは大きく分けると二つだと思います。一つは、先ほど議論になりました、雇用、ポジションがない、もう一つは、経済的に苦しい、生活できないというのが今の若手研究者の状況だと思います。

次の資料六、最後につけさせていただきましたが、この資料六を見ていただいてもわかりますとおり、これは何かというと、博士課程進学を考えたけれども結局就職したという人が、進学するときに何を考えたのか、何が重要だと思ったのか。結局、就職して、博士課程へ行かなかったわけですが、その理由が並んでおりますが、一番トップに挙がっているのは、経済的支援、生活が苦しいんだというところなんです。

そこで、質問させていただきますと、日本の状況は非常に大変だ、では、ほかの国じゃどうなんだ。欧米の博士課程の学生はどうなっているか。例えば米国の大学院生に対してどういう経済的支援、どういう制度になっているか、わかる範囲で教えていただければと思います。

義本政府参考人

お答えいたします。

アメリカにおきます博士課程の学生に対する経済的な支援に対する御質問でございますけれども、特に理工系分野を中心にしまして、例えば、研究分野に専念できるよう奨学金を給付いたしますフェローシップ、それから、特定の研究分野の研究者を養成するために大学自身が支給しますトレーニーシップ、あるいは、研究の補助者として雇用しますリサーチアシスタントというふうな形で授業料あるいは生活費相当額を支援するというふうな制度がございまして、博士課程全体の学生の大体四割ぐらいをカバーしているということでございます。

それから、あわせまして、教育の補助者として雇用いたしますティーチングアシスタントという学生が大体二割程度ございまして、授業料を支援しているというような状況でございます。

伊佐委員

ありがとうございます。

今おっしゃっていただいたとおりで、欧米の場合、まあアメリカの場合は、基本的に、学生といえども研究者扱いなわけですね。つまり、一人前の研究者としてラボの中で働いてもらっている、ティーチングアシスタントだったりリサーチアシスタントだったり。雇用契約の中できちんと給料が払われて、その中でみずからの研究もやっている、これが今のアメリカの状況だったと思います。

日本はどうか。日本の博士課程の学生だって、ラボの中で一生懸命働いているわけですよ。さまざまな研究支援をやっている、活動をやっている。ところが、日本の場合は、よく言われますのは、雑用ばかりに使われて、ただ働きをさせられている、こういうような声も伺います。

また、まさしくTAをされて、ティーチングアシスタントとして、労働の対価として払われている場合もあると聞いていますが、その場合でも、お給料をいただいているのは一年間で十万円というような状況だと伺っております。生活費には全くほど遠いわけです。

もちろん、教授にしっかりついて、いろいろな雑用をしながら、その中でいろいろなものを学んでいく、こういう側面はあると思いますが、ただ、現実はなかなか自分のやりたい研究に打ち込めない、また生活が苦しいというのが今の学生の、若手研究者の状況です。

先日、党内の、公明党の会議の中で、LEDで今回ノーベル賞受賞が決まりました天野先生に来ていただきました。そこで御講演いただきました。天野先生が御講演の中で一番強くおっしゃっていたのも、まさしくそこなんです。経済的支援をどうするんだという点でした。

天野先生がおっしゃっていたのは、イノベーションの担い手になるのは若手人材だ、研究課題が行き詰まったときに、それを乗り越えていったのは若手の突破力なんだということをおっしゃっておりました。だからこそ、若手研究者、とりわけ博士課程の学生に経済的支援をお願いしたいということを強調されておりました。

そこで、伺いますが、博士課程の学生向けに、今貸与は多少あると聞いていますが、給付という形、新たな給付金制度というものも検討すべきじゃないかと思います。もちろん、いきなり全員にというのは難しいかもしれませんが、少なくとも、例えば優秀な博士課程の学生には何らかの支援の充実ということを図るべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

丹羽副大臣

先生おっしゃるように、研究開発における若手の人材の確保と育成というのは非常に重要なことだと考えております。そこの中で、優秀な学生が特に安心して大学院の博士課程を目指すことができるように、学生に対する給付型支援をさらに充実させていくことが重要かなというふうに思います。

現在の科学技術基本計画においても、博士課程の学生の約二割が生活費相当程度の経済的支援を受給できることを目指しておりますが、しかしながら、現在、そのような支援を受けている学生はまだ約一割にとどまっております。

これらもまだ改善しなきゃならない点があると思いますが、ここの中で、文部科学省は、優秀な博士課程の学生が研究に専念するため、特別研究員事業等による経済的支援、さらには、博士課程学生に生活費相当額の奨励金を給付できる博士課程教育リーディングプログラム事業を実施いたしております。

今後とも、科学技術基本計画の目標値を目指して、意欲と能力のある学生が安心して大学院博士課程を目指すことができるように、経済的支援、やはり研究か生活かというと非常に難しいところでもございますので、そういったところをしっかり議論しながら進めていきたいと思います。

伊佐委員

今後、しっかり、まず二割を目指してやっていただけるという決意を伺いました。ありがとうございます。

今、若手のポジションの話と、そして経済的な支援の話をさせていただきました。もう一つ、若手を育てる、未来に向けて若手を育てていくという点で、研究資金について少し議論させていただきたいと思うんです。

若手を育てていくときに、私、一つ大事なことは何かというと、若手の研究者が自立して研究を進めていく中で、その分野の先達、大先輩の方々から適時適切なアドバイス、指導を受けていくということも非常に大事なことだろうと思っております。

先ほど申し上げた天野先生も、師匠の赤崎先生とともにノーベル賞を受賞されたということで、まさしく子弟で、二人三脚で成果を出されてノーベル賞に輝いたわけですが、赤崎先生の研究室に弟子である天野先生が入ったのは実は二十三歳、ノーベル賞受賞の理由になった論文を発表されたのは一九八六年、つまり天野先生はまだ二十六歳のときなんです。さらに、これでノーベル賞受賞になったわけですが、その論文で書かれたLEDを実際に実現したのは一九八九年ですので、天野先生は二十九歳です。つまり、受賞された天野先生、全部二十代の成果なんですよ。二十代でこれだけ結果を出されている。

これだけ若いときに成果を上げられた天野先生に来ていただいたときにお話を伺うと、どうおっしゃっていたかというと、師匠である赤崎先生は好きなことをやらせてくれた、そして折々の大事なところで適切なアドバイスがあったんだ、こういう趣旨のことをおっしゃっておりました。

そこで、若手の研究者が自立して研究をやっていくという中で、しっかりと先達の方々からアドバイスを受けられる、こういう制度が非常に重要だと思いますが、いかがでしょうか。

村田政府参考人

お答え申し上げます。

ただいまお話がございましたとおり、若手研究者の育成のためには、すぐれた指導者から適切なアドバイスを受けられる、大切なことだと認識してございます。

文部科学省では、若手研究者が自立して研究に専念できる環境を整備しつつ、シニアの研究者のメンターから助言を得ることができるテニュアトラック普及・定着事業を推進してきたところでございます。

また、若手研究者が自立してイノベーション志向の研究を行うさきがけ制度におきましては、研究総括を初めとしたシニアの研究者や同じ研究領域に参画する若手研究者が一堂に会し、研究成果や今後の方向性について議論を行うなど、研究実施過程で触発を受けることができる仕組みとなっているところでございます。

文部科学省といたしましては、引き続き、こうした取り組みを通じ、若手研究者がその能力を発揮できる環境の整備に努めてまいりたいと考えております。

伊佐委員

テニュアトラック制度であるとか、さきがけについて触れていただきました。

まさしく若手研究者のための研究資金の提供という例で今さきがけを挙げていただいたと思いますが、このさきがけも、非常に、これは若手研究者にとって物すごく評価が高かった、あれは本当にいい制度だという声をたくさん聞いていました。非常によかったと聞いていたと過去形で申し上げるのは、また後で理由は申し上げたいと思うんです。

このさきがけというのは、一九九一年に創設をされて、三十人に三年間、毎年一千万円の研究費を渡して、さらに別途給与も渡す。これは、特に若手の研究者に対する資金、さきがけです。受けられている方の平均は三十五歳。一千万円は決して大きなお金ではないんですが、まとまった資金を受けて、自立して、自分の中でしっかりと研究を進めていくことができた。

さらには、メンター制度というものがあって、きちんとそれを全部取りまとめるメンター、領域を取りまとめるメンター、三十人を取りまとめる相談役みたいな方がいて、この方が適時適切に全員を集めていろいろなアドバイスをしていくというものでした。このメンターは、本当に若手からも信望があるような方が選ばれておりまして、若手研究者が暴れ馬のようにいろいろなところを飛び回っているのを取りまとめる牧場主という言われ方をずっと若手の間ではされておりました。このメンター、牧場主、先達のアドバイスが非常にうまく回った例です。

では、このさきがけ、九一年に創設されましたが、これまでの成果について伺いたいと思います。

山脇政府参考人

さきがけの研究につきまして、研究面の成果といたしましては、世界に先駆けた光合成のたんぱくの構造解析の成功など、我が国発のイノベーションにつながる成果を上げているところでございます。

また、このさきがけにつきましては、若手研究者の育成の観点からも成果を上げております。例えば、採択時には任期つきの職にあった研究者が、三年半の研究期間終了時には、任期のない、いわゆるテニュア職についた割合が約六〇%、それから、さきがけの研究者が研究期間の終了時までに助教から准教授のように昇進をした割合が約四〇%となっておりまして、若手研究者のキャリアアップにとっても大きく貢献をしているものと考えております。

伊佐委員

御紹介いただいたとおりで、このさきがけの成果というのは、実は、具体的な、このプロジェクト、三年間でこういう成果が出たというものじゃないんです。これは、あくまで若手の育成。若手がこれまでずっと、先ほどあったように、任期つきであったものが、やっと安定した職を得た、六割いる、こういうような制度。目的は若手の育成なんです。つまり、こういう成果を出さなきゃいけない、こういうような目標を達成しなきゃいけないと、出口を厳しくして、それに向かって工程管理をしていく、そういう性質のものじゃなかったわけです。

先ほど、若手の育成という話でおっしゃっていただきましたが、これは実は、長期的には非常に、研究の蓄積、知見の蓄積、土壌を耕すことにつながっていた。この三年間では確かに目に見える成果はなかったとしても、この研究者が後々、十年たって振り返って、ああ、あのときのあの研究が使えるといって、いろいろその研究が生かされる例が非常にたくさんありました。

例えば、初音ミクというのがあるんですが、オリコンチャートでずっとナンバーワンをとっていた歌手なんです。実は、歌手なんですけれども人じゃない。歌声音声入力ソフトというのを開発して、あくまで疑似的に人の歌声をつくり出す、これがずっとオリコンチャートナンバーワンだったんですね。初音ミクもこの成果だと聞いています。また、今言われているビッグデータ。ビッグデータという議論だって、実はこのさきがけで研究者が新しい学問領域をつくったんですよ。これがこのスタートなんです。三年間の成果じゃないんです。長い間たって出てくる。

そういう意味では、目標を厳しく、三年間、五年間で管理してやっていくタイプのものじゃなくて、研究の土壌を耕していくというか、そういうところで、意外なところで花開いていく、これがまさしくイノベーションだと私は思います。

ところが、先ほど過去形になったと申し上げましたが、このさきがけのいいところが失われていったんです。なぜかというと、さきがけのというか、これは実は日本の科学技術政策全体の問題です。日本の今の科学技術政策全体がそう流れている。

それを少し、このさきがけを例にして申し上げますと、戦略目標、こういう目標を達成しなさいよと。これは、さきがけは当初どうだったかというと、物すごく広かったんです。ばくっとしていたんです。例えば、光と物質、これだけだったんです、研究領域は。だから、何でもできたんですよ。光と物質であったり、あるいは、例えば情報と知とか、テーマが非常に広いがために、いろいろな若手研究者がそこにチャレンジをして、非常に学際的な、多彩な人材がけんけんがくがく議論する、こういうような場になっていました。

私が例で伺ったのは、例えば脳という研究分野であったとしても、ライフサイエンスは当然いるんですが、遺伝子工学もいれば、哲学の研究者もいたりとか、あるいは猿学、猿の研究をやっている研究者もいたり、こういう人たちが集まっていろいろな議論をするから、いろいろな土壌が耕される。まさしくこれは、今日本の求めているオープンイノベーションの世界なんです。これを今までやっていた。

ところが、残念ながら、この研究領域、最近どうなっているかというと、情報と知とか、こんなばくっとしたものが、今は、例えば、読み上げると、こう書いています。二酸化炭素資源化を目指した植物の物質生産力強化と生産物活用のための基盤技術の創出、物すごく細かいんです。あるいは、微生物の機能解明と制御によるバイオエネルギー創成のための基盤技術の創出とか、物すごく細かく領域が指定されてしまっているんです。

さらに、領域もそうなんですけれども、その下に戦略目標というのがあって、この戦略目標に至ってはもっともっと細かいわけです。がんじがらめにされているんです。目標もがんじがらめになって、しかも、この研究期間中は非常に厳しい毎年の評価を受ける。ちゃんと言うとおり、思いどおりになっているかどうか、厳しくチェックされるんです。

三年後、五年後がはっきりと見通せるような研究開発なんというのは、ろくなものじゃないと思います。それはイノベーションだとは思いません。そうじゃなくて、本当に、先ほどの青色LEDもそうです、iPS細胞もそうですが、先が見えないところから出てくる、これがイノベーションじゃないかなと思っております。

そこで、ぜひお願いしたいのは、今の科学技術政策というのは余りに出口志向に寄り過ぎているんじゃないかなと思います。トップダウンで、細かく目標を設定して、また工程管理もやって、言われるとおりにやれ、こういうのでは、なかなか予想外のイノベーションというのができないんじゃないかな、若者の斬新なアイデア、発想が生かされないんじゃないかなと思いますが、いかがでしょうか。

松本大臣政務官

お答えをいたしたいと思います。

伊佐委員、東大工学部で航空宇宙工学を専攻されて、また、惑星探査機の「はやぶさ」プロジェクトにも大変御尽力をされたということもありまして、大変重要な御指摘をいただいたというふうに受けとめているところでもあります。

御指摘はもちろんでありますけれども、しかしながら、一方で、イノベーションの実現のためには、やはり出口というものをしっかりと見据えて、実用化、事業化を意識した問題解決型の基礎研究も重要であると思っております。

しかしながら、委員が御指摘いただきましたように、持続的なイノベーション創出の基盤となる根本原理を追求する基礎研究もまた同時に重要だというふうに認識をしているところでもあります。

我が国のイノベーションシステムが効果的に機能するよう、基礎から応用、実用段階に至るまで、シームレスに研究を展開できることが重要であることを踏まえ、総合科学技術・イノベーション会議として、その実現に向けまして、競争的資金の使い勝手の改善、また制度の再構築に取り組んでまいりたいと思います。

今、委員から御指摘をいただいたこともしっかりと受けとめてまいりたいと思います。

伊佐委員

ありがとうございます。

しっかりと受けとめていただけるということで、もちろん、両面のバランスだと思うんです。国家として、戦略として、きちんと目指すべき方向性を示していくという点もあれば、ボトムアップで本当に自由な発想を生かしていく、このバランスをどうとるかというのが本当に大事なことだと思います。

ただ、私が指摘させていただいたのは、ちょっと余りにも、出口志向、トップダウン、かなり管理を厳しくする方向に寄り過ぎているんじゃないかなと思いますので、ぜひ御支援をお願いしたいと思っております。

若手研究者を育てていくということで、もう一つだけ観点を申し上げると、リーダーシップを養う、マネジメントの能力をどうやって養っていくのか。つまり、一つの研究プロジェクトを、自立して、研究資金、自分で研究費の管理を含めてデザインしていく、研究補助者とか技術員を雇用して、あるいはほかの研究者も雇ってチームをマネジメントしていく、こういう能力を、若いうちから経験するというのは非常に重要なことだと思います。

先ほど申し上げた天野先生がおっしゃっている中で、印象的な言葉がございました。それは、レーバーからリーダーへという言葉でした。いわゆる研究者の中で労働者のようにして使われているレーバーというもの、若手研究者をそこから解放してリーダーになってもらわなきゃいけないんだ、こういう御示唆のある言葉でございました。

小さいプロジェクトでも構わないと思うんです。マネジメントできるような資金というか、人を雇って自分で資金管理をして、こういう研究費の助成が若手に必要だと思います。いかがでしょうか。

山脇政府参考人

お答え申し上げます。

先生御指摘のとおり、若手研究者がチームを率いてリーダーシップ、マネジメントの経験を積んでいくということは極めて重要であるというふうに考えております。

先ほどのさきがけ研究におきましても、若手の研究者が独立して研究をしていくという研究制度でもございますし、その研究者のもとで研究支援者も雇用して研究を遂行するというような、マネジメント経験も積むことができる研究制度にしているところでございます。

また、チーム型で実施する研究制度におきましても、年齢にとらわれず、実力本位で若手の研究者も採択、選定をしているというところでございます。

例えば、世界トップレベル研究拠点プログラムというのがございますが、直近の採択では、大きな研究チームなんですが、採択された拠点長、センター長の平均年齢は四十六歳であったということもあります。また、戦略的創造研究推進事業におきましても、三十代や四十代の研究者が研究チームをマネジメントする研究代表者として多数採択されているところでございます。

このような研究環境を今後も充実してまいりたいと考えているところでございます。

伊佐委員

若手でも、こうして研究マネジメント、研究チームを率いている例もあるという御答弁だったと思います。

確かに、あるのはあるんです。ただ、先ほど示していただいたのは、CRESTであったりとか、大規模な、大きなチームを率いていくというもので、当然それはたくさんの若手が使えるものではない。私が申し上げているのは、本当に小さなプロジェクトでもいいので、若手がリーダーシップをとれるような、そういう資金というのがもう少しあってもいいのではないかなということを申し上げたいと思います。

最後になりますが、これまで、若手研究者の置かれた現在の状況、雇用、ポジションがないとか、経済的に生活が大変だとか、さまざま申し上げてまいりました。前向きな御答弁もいただいたと思いますが、最後に大臣から、若手研究者に対して、また博士課程の学生に対しての支援の拡充について御意見を伺いたいと思います。

山口国務大臣

いろいろとお話を聞かせていただきました。全くそのとおりだと私も実は思っておりまして、とりわけ若手研究者につきましては、流動的な環境のもとで多様な研究経験を積み重ね、かつ能力の向上を図っていくということが重要であります。しかし同時に、こうした環境というのは、将来を安定して見通すことが難しいということがまたあるわけでございます。

そういったことを受けまして、若手の役割といいますか、科学技術・イノベーションの重要性が非常に高くなってきておる中で、高度な研究経験を有する人材というのは重要な役割を果たすということが期待をされておりますので、優秀な若手研究者の活躍の場の確保、多様なキャリアパスの構築、そしてまた人事給与制度等々の改革等を促進してまいりたい。

とりわけ文科省の方もいろいろやっていただいておりますので、協力をしながら、しっかりと頑張って努めていきたいと思います。

伊佐委員

大臣の強い御決意を伺いました。ありがとうございます。

科学技術立国日本という中で、日本の未来がどうなるかというのを決するのは、まさしく今の若手研究者がどうなのかというところが本当に大事な一つの課題だと思いますので、何とぞ御支援をよろしくお願いして、私の質問とさせていただきます。

ありがとうございました。

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