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186-衆-国土交通委員会-21号 平成26年06月11日

梶山委員長

次に、伊佐進一君。

伊佐委員

おはようございます。公明党の伊佐進一です。
本日は機会をいただきまして、ありがとうございます。

きょうは、トラックの運送事業者、とりわけ現場でハンドルを握っていらっしゃるドライバーの方々の置かれた状況について議論させていただきたいと思っております。

物流あるいは運送の世界というのは、まさしく日本経済の血管でありまして、日本経済のかなめだと。その中で、トラック産業というのは、国内の物流の中での約六割を占めている。百二十万人の方々が働いている。これはほとんどが、九九%が中小企業です。このトラック運送事業者の皆さん、ドライバーの皆さんは、今、本当に大変な中で仕事をされていらっしゃる。

例えば、まず交通事故、この推移、統計データを見てみましても、トラック業界が一番多いです。例えば、バスも大変、タクシー業界も大変と言われております。でも、トラック業界が一番多い。しかも、事故を起こした場合には死亡事故につながりやすい。事故一件当たりの死亡、トラックは〇・四一、バスが〇・一六、ハイヤー、タクシーが〇・一三。つまり、事故を一番起こしやすいのがトラック業界で、また、重大事故にもつながりやすいのがトラック業界だと言われています。

では、このドライバーの皆さんの置かれた環境はどうかといいますと、過労死のデータ、労災認定のデータを見てみますと、脳と心臓疾患、データがあります。これは十万人当たり、トラックがまた断トツです、ほかの全職種と比べて。全職種の平均データが〇・七三、ところがトラックは四・四八。平均が〇・七三で、トラックが四・四八ですから、これは異常な数字になっています。こうしたドライバーの皆さん、本当に事故も多くて、また過労死も多い、過酷な中で仕事をされているわけです。

そこで伺いますが、こうした状況、国土交通省はどのように認識されていらっしゃるんでしょうか。

田端政府参考人

お答え申し上げます。

ただいま御指摘ございました、トラック業界におきます労災あるいは交通事故の発生でございます。

死亡災害につきましては、厚生労働省の統計によりますと、二十五年におきまして百七件ということ、あと、脳、心臓疾患あるいは精神障害の労災認定も二十四年においては百三件発生しておりまして、他業種と比べて依然として高い水準にございます。

国交省といたしましては、過労運転防止の基準としまして、厚生労働省のいわゆる改善基準告示を準用しております。きちっとした乗務記録の管理、運行記録計の義務づけなど、この基準の遵守の徹底を図っているというところであります。

また、脳、心臓疾患などについての、こういう体調の急変に伴う事故が懸念されますので、本年四月、健康マニュアルの改定を行って、対策の強化を進めているところでございます。

交通事故について、二十五年には二万二千四百六十二件という大きな数が発生をしております。これにつきましても、スピードリミッターあるいはアルコールチェッカーなどの義務づけなど、こういう対策を実施してきております。発生件数は順調に減少傾向にございますが、引き続き、対策を講じていきたいと考えております。

伊佐委員

たしか今、国交省でもさまざま対策はしようとしていただいている。マニュアルをつくったりとか、さまざまされていますが、そもそもこの根本的な原因は何か。一番大きな原因の一つは、トラック業界の抱える多層構造というものにあると思います。

どういうことかと申しますと、まず、平成二年に物流二法というものが施行されました。その中でさまざまな規制緩和がなされて、トラック運送事業に参入する基準が大分引き下げられた。参入が簡単になりました。運賃も許可制から届け出制に変わった。結局どうなったかというと、たくさんの事業者が出てきて、過当競争が始まってきた。

平成二年、この物流二法施行当時は、三万六千の事業者がありました。三万六千が現在は六万三千です。倍近くにふえています。でも、実は、トラックの台数というのはほとんどふえていないんです。当時九十万台だったのが今は百七万台。一割近くしかふえていない。つまり、事業者は倍になったのにトラックはほとんどふえていない。

これはどういうことかというと、物すごく小さい事業者がたくさん出てきた、たくさん分かれていったということになります。この結果として起こってきたのが多層化構造です。つまり、元請、そこからさらに一次請、二次請、三次請、どんどん下に流れていくというような状況です。

これは、建設業でも多層化構造と言われていますが、実は、トラックの世界は建設業よりひどいです。なぜかというと、私が地元で聞く限りでは、七次請とか八次請ぐらいまであるというような状況を伺っています。本人自身も自分が何次請かわかっていないというような状況なんです。

この多層化構造の中での鍵は何かというと、水屋という言葉があります。水屋というのはどういうことかというと、自分は何も運ばないんです。仕事を受けて、それをほかに振る。電話一本で仕事を委託する、丸投げするという事業者がいる。ここで一部ピンはねして中抜け構造というのをつくっているんです。これが水屋です。この水屋の存在が挟まれば挟まるほど、下請で、最後ハンドルを握るドライバーの皆さんは、当然、一番賃金をたたかれていくわけです。これをどうするか。

それで、水屋、つまり丸投げのことですけれども、これは実は建設業では禁止されているんです。丸投げは禁止されている。ところが、トラック業界では禁止されていないんです。この理由は、なぜでしょうか。

田端政府参考人

お答えいたします。

建設業におきましては、建設業法の第二十二条におきまして、一括下請負の禁止がなされております。この趣旨でございますけれども、注文者の建設業者の選択にかかわる重要な要素として、工事の施工の全般にわたる信頼性がございますが、一括下請負はこの注文者の信頼に反するものであること、また、一括下請負を容認いたしますと、商業ブローカー的な不良建設事業者の輩出を招くことにもなりまして、健全な建設業の発展が阻害される懸念があることとされております。

建設業におきまして注文者の信頼が重視される理由といたしましては、建設工事においては、施工された建築物が将来にわたって存在するため、引き渡しを受けた時点では、将来の劣化など、その品質を完全には判断できない場合があることが考えられます。

これに対しまして、トラック運送業におきましては、輸送サービスは、運送が終了した時点でその品質が判断できるものであるため、一括下請負の禁止により発注者を保護せずとも、発注者が運送の結果によりまして品質を判断し、トラック運送事業者を選択することが可能であるという点が建設業と異なる点であると考えられます。

伊佐委員

私は、今の答弁、余り納得ができません。なぜかというと、今の答弁というのは、建設業というのは信頼性が大事だと。でも、トラックだって私は一緒だと思うんですね。ちゃんと時間どおりに運ぶか、事故はないか、同じだと思います。

建設業界も、なぜ丸投げを禁止したかというと、多層化構造になることをできるだけ避けようとしたはずなんです。ところが、トラックも同じようなことが起こっているんです。だから、今、トラック業界の多層化構造を改善するためには、水屋の存在、丸投げの存在というものに何らかの対応が必要だと私は思っておりますので、引き続き求めてまいりたいと思います。

次に、ではドライバーの皆さんの賃金はどうなっているかということです。

トラック事業者の皆さんは、運賃を届け出をしています。これはあくまで事後届け出。この届け出の運賃というのは何かといいますと、本来受け取るべき妥当な賃金というものを届け出をしている。これは、例えば、車両維持費に幾らかかるかとか、あるいはドライバーの給与は幾ら必要かとか、こういうものを積み上げる。積み上げて、これぐらいの賃金が必要です、これを届けているわけです。

そうすると、当然妥当な賃金のはずなんですが、今現場で起こっているのは、この届け出の運賃と実勢の運賃、本当にもらっている運賃、ここに乖離が出てきているわけです。この乖離は、当然、自由競争の中ですので、ある程度の乖離は確かにあるかもしれません。ただ、これは実際どれぐらい差があるのかというのが問題だと思います。

私がいろいろなデータを調べてみますと、ある研究では平均二〇%ぐらい差があるというデータがあったりとか、地元で聞くのは、実勢運賃と届け出運賃は半分ぐらい違いますというんです。七次請、八次請までいくと全く違いますと。

この実勢運賃、届け出じゃなくて、実際どれぐらいかということを把握のために、国交省はこれまで調査を行ったことはあるんでしょうか。

田端政府参考人

お答え申し上げます。

国土交通省といたしましては、全日本トラック協会と協力いたしまして、トラック運送事業の運賃・原価に関する調査を行い、平成二十三年九月に報告書をまとめております。

この調査報告書においては、運送原価や運送収入が車両ごとに多様であること、ただいま御指摘のとおりでございまして、一方、トラック運送業の営業収支率は平均で九九・五%と〇・五%の赤字でございますが、経常収支率では平均一〇〇・九%と〇・九%の黒字となっていること、こういうことの結果が示されております。

伊佐委員

先ほど局長から答弁いただいたのは、この報告書だと思います。この報告書に、国交省が行った調査の結果、今おっしゃっていただいたのは、いや、実はそんな大したことないじゃないかという結果になっているんですね。赤字になったとしても〇・五%ぐらいですよねと。

現場で私が聞いていることと何でこんなに違うのかといいますと、実は理由は簡単なんです。この報告書の調査の対象になった人たちのデータもここに入っています。それを見ると、ほとんどが、まず荷主から直接受けている元請、これが六〇%、さらにその下の一次請、ここまでで九三・五%。つまり、ほとんど、この調査対象の人たちは、九割以上が一次請、川上の人たちなんです。四次請以下の人というのは、実はほとんどここのデータに反映されていません。

でも、実際は、私が申し上げたように、ほとんどが七次請、八次請まであるというのが、今のトラック運送事業者の状況なんですよ。だから、本当に現場で何が起こっているのか、実際何次請まであって、中抜き構造がどうなっていて、川下では一体何が起こっているのか、ここをしっかりと、きちんと調査していただきたい。

これは以前から国交省にお願いをしておりますが、現状について、お答えいただければと思います。

土井大臣政務官

先生御指摘いただきましたように、国土交通省といたしましても、この多層構造の適正化に向けて実態把握を進めるという形で、現在、全日本トラック協会と連携しつつ、実態を的確に把握できるような調査方法の検討を行っているところでございまして、今後速やかに調査を実施してまいりたいと考えております。

伊佐委員

ありがとうございます。

今、調査に着手、新たに再度着手していただいているということですので、ぜひ実態を把握していただきたいと思います。

本当に今、現場で何が起こっているかといいますと、先ほど申し上げた過当競争の中で、しわ寄せが全部現場に来ているんです。

例えば、長距離を寝ずに運んで、最後に現場で荷物を引き渡すときにも、荷受けさんから、では棚卸しまでやってくださいと言われて、必死で現場で荷物を運んでいるとか、あるいは、荷主の都合で積み荷の準備ができていなかった、出発の時間がおくれる、ところが、到着の時間というのは変更されないんです。そうすると、超過速度で、かなりのスピードで飛ばさなきゃいけないとか、休憩時間もほとんどとれないとか、こういうような状況になっています。

一番弱い立場であるドライバーの皆さんにいろいろなしわ寄せが行っている現状、これを何とかしなきゃいけないと私は思っております。国交省もさまざま手は尽くしていただいていると思いますが、ぜひ前向きな検討、この御決意を最後にお伺いしたいと思います。

土井大臣政務官

御指摘いただきましたように、契約にない附帯サービスを荷主から求められたり、トラックドライバーの労働時間にしわ寄せが来ているという状況を改善していくということは大変大切だというふうに認識をいたしております

このため、先ほどから先生御指摘いただいておりますように、まず、多層構造の弊害の解消に向けて、適正な取引の確保や安全阻害行為の防止のための、取引の書面化等を推進しているところでもございます。

また、今後、多層構造の実態把握を行った上でさらなる検討をいたしてまいりまして、このようなことで、トラックドライバーの労働環境の改善に向けて、一層取り組んでまいりたいと考えております。

伊佐委員

ありがとうございました。以上、終わります。

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