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186-衆-安全保障委員会外務委員会連合審査会-1号 平成26年06月02日

江渡委員長

次に、伊佐進一君。

伊佐委員

おはようございます。公明党の伊佐進一でございます。

本日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。早速質問に入らせていただきたいと思います。

集団的自衛権につきまして、今回総理は、改憲のことで二点おっしゃいました。

まず一点目は、芦田修正論、これは今回はとらないと。なぜならば、芦田修正の考え方というのはこれまでの政府の憲法解釈とは論理的に整合しないということをおっしゃいました。

一方で、もう一点、限定的に集団的自衛権を行使すると。これは、さらに研究を進めていきたいというふうにおっしゃいました。いわゆるこの限定容認論というのは、総理いわく、従来の政府の基本的な立場を踏まえた考え方だからだということをおっしゃいました。

本日質問させていただきたいのは、この限定容認論を採用した場合に、政府のおっしゃる従来のこの政府の基本的立場にどれほど沿うことができるのか、限定容認論であれば、多少の変更で対応できるものなのかどうかという点について議論させていただきたいと思います。

まず、安保法制懇の報告書、これで集団的自衛権について、二つ目の限定容認論についてどう書かれているか。念のため、配られた資料の一番上に参考で載せさせていただきました。必要最小限度の中に集団的自衛権の行使も含まれるというふうに解釈をして、集団的自衛権の行使を認めるべきであるというふうに書かれております。

こう書かれますと、もしかすると、単に、自衛権発動の三要件、三つ目の必要最小限度の範囲、この中で、このままここを変更せずに集団的自衛権というのも読み込んだらどうか、入れ込んだらどうか、こういうふうに思われる方もいらっしゃるかもしれませんので、少し確認をさせていただきたいと思います。

まず、自衛権発動の三要件。一つ目の、急迫不正の侵害。二つ目の、ほかに適当な手段がない。そして三つ目の要件の、必要最小限度。この一つ目、二つ目と、三つ目の要件というのは、そもそも質的に異なると思っておりますが、法制局、いかがでしょうか。

近藤政府参考人

お答えをいたします。

いわゆる自衛権発動の三要件の第一要件、第二要件と第三要件の関係でございますけれども、御指摘のように、第一要件及び第二要件は、いわばどのような場合に自衛権を発動して武力の行使をすることができるかということについての要件でございますし、第三要件は、その行使する武力の程度あるいは態様等についての要件であるというふうに理解しております。

伊佐委員

ありがとうございます。

今の御説明のとおり、三つ目、つまり第三要件、必要最小限度というのは、行使することになった後の話なんです。行使することができるようになった後の段階でどれぐらいの程度まで行使できるのかという、行使の限界について書かれたのが第三要件だと。つまり、集団的自衛権が行使できる、できないというその理由は、必要最小限度の中に入っていないからという話じゃない、第三要件の話じゃない。

では、何が一体問題なのかというと、ここをはっきりと示している国会答弁があります。それは、平成十六年の一月、予算委員会で安倍総理が、当時幹事長だった時代に、同じ質問をしています。必要最小限度の範囲、その範囲の中に入る集団的自衛権というものを考えたらどうかという質問があります。つまり、必要最小限度の中に入る集団的自衛権もあるんじゃないかという質問ですが、それに対して当時法制局がどう答えたかについて、もう一度御紹介いただければと思います。

近藤政府参考人

お答えいたします。

お尋ねは、平成十六年一月二十六日の衆議院予算委員会における当時の安倍議員と秋山内閣法制局長官の質疑の中での長官の答弁ということでございますけれども、次のように答弁をしております。

お尋ねの集団的自衛権と申しますのは、先ほど述べましたように、我が国に対する武力攻撃が発生していないにもかかわらず外国のために実力を行使するものでありまして、ただいま申し上げました自衛権行使の第一要件、すなわち、我が国に対する武力攻撃が発生したことを満たしていないものでございます。

したがいまして、従来、集団的自衛権について、自衛のための必要最小限度の範囲を超えるものという説明をしている局面がございますが、それはこの第一要件を満たしていないという趣旨で申し上げているものでございまして、お尋ねのような意味で、数量的な概念として申し上げているものではございません。

以上でございます。

伊佐委員

ありがとうございます。

集団的自衛権が行使できないのは、必要最小限度という中に入っているかどうかという、この話というのは、そもそも、第一要件を満たしていないからだということだと思います。つまり、急迫不正の侵害、我が国に対する侵害じゃないといけない、だから行使できないんだと。つまり、この入り口のところで振り落とされてしまっている。

つまり、そういう意味では、集団的自衛権は、限定であれ、あるいは全面的に容認するのであれ、必要最小限度という行使の限界の話の前に、そもそも第一要件というものを変えていく必要があるということです。

つまり、私が申し上げたいのは、総理が、限定容認論であれば従来の基本的な考え方を踏まえることができるということをおっしゃいました。しかし、実のところは、一番のこの基本的な、自衛権発動の三要件、ここすら変更しないと、そもそも限定といえども許容されないということだと思いますが、その認識で正しいでしょうか。

武藤政府参考人

お答えいたします。

五月十五日の記者会見で総理から、我が国の安全に重大な影響を及ぼす可能性があるという限定的な場合に集団的自衛権を行使することは許されるという安保法制懇の報告書にある考え方について、さらに研究するように指示が出されたところでございます。これは、我が国の平和と安全を維持し、自国の存立を全うするために必要最小限度の武力の行使は許されるという従来の政府の基本的な立場を踏まえた考え方でございます。

いずれにいたしましても、現在、与党協議が進められているところでございまして、その結果に基づき、御指摘のいわゆる自衛権発動の三要件を含め、政府としての対応を検討し、憲法解釈の変更が必要と判断されれば、閣議決定を行うこととなると考えております。

伊佐委員

ちょっと少しかみ合っていないと思うんですが、私が申し上げたかったのは、総理は、芦田修正論というのはこれまでの政府の憲法解釈とは合わないというような発言、また同時に、しかし、限定容認論については、基本的な立場は変更しない、従来の立場を踏まえることができると。実はそこのところも、これまでの解釈とは限定容認論もそもそも基本的なところを変えなければ整合をとれないんだということを申し上げたいと思います。

少し前後しますが、先に防衛大臣に質問させていただきたいと思います。歯どめについての議論をさせていただきたいと思います。

集団的自衛権の議論の中でこれを認める、たとえ一部を認めたとしても、恐らく国民の皆様が一番心配されていることは何かというと、きちんと歯どめがかかるかどうかということだと思います。この歯どめをきちっとかけることができるかどうか、これが集団的自衛権の議論の中で主要なポイントの一つだと私は思います。限定的と言ったとしても、この限定がどんどんどんどん膨らんで膨張していくようなことがあれば、それはなかなか皆さんに理解していただくのは難しいんじゃないかと思っております。

例えば、総理が記者会見で示された、資料でも配りました例、日本人が第三国から避難してくる、その日本人を輸送するアメリカの船、この船を守るかどうかという話でした。この例というのは記者会見で総理が取り上げられて、そして、今与党間で協議をされています十五事例の一つとして示されている。ここに示されたのは、まさしく米艦の輸送艦についてどういう対応ができるかという議論でした。

ところが、総理は先週の予算委員会でこうおっしゃいました。私は一言も、米国の船以外はだめだと言ったことはない、また、船籍が他国ということも当然あり得るというふうにおっしゃいました。さらには、日本人が乗っている、ところが、日本人が乗っているからこれは守る、でも乗っていないからだめですよ、これはあり得ないんだという発言もされました。

つまり、これは、申し上げると、この図において、米国の船だろうが他国の船だろうが、そこは重要じゃないんだと。そしてまた、日本人が乗っていようが日本人が乗っていまいが、そこも実は余り重要じゃないんだと。

さらに、報告書では、地理的要件、条件は課さないというようなことになっています。

そうすれば、限定的と言ったところで、では、果たして何をもって限定というふうに言えるのかということだと思います。

安倍総理のおっしゃることも一部理解はできます。つまり、いざ避難するということになったときに、では、どの国の船に日本人を何人乗せて、これを計画的に、もともと決めることができるか、それは難しいでしょうということだと思います。しかし、それは何を言っているかというと、そもそも、結局、限定というのは難しいんですよねということになるんじゃないか、歯どめというのはなかなかかけられないんじゃないかというふうに捉えられても仕方ない、こう心配になる方もいらっしゃると思います。

このお配りした資料の三枚目、では、報告書がどのように限定をしているか、要件をかけているかということですが、これは予算委員会で我が党の遠山議員が提出した資料と同じものであります。

例えば、安保法制懇の報告書で書いてあるのは、日米同盟の信頼が傷つく場合とか、こういう場合は使ってもいい、あるいは、抑止力が大きく損なわれる場合とか、少し曖昧に、3国際秩序そのものが大きく揺らぎ得るかどうか。これって、では、クリミア情勢はどうなるのか。これも国際秩序を揺るがすことになっているんじゃないかということだと思います。つまり、法制懇の報告書に書かれた限定の条件というのも非常に曖昧じゃないかなと思っております。

そこで、防衛大臣は歯どめというものについてどのようにお考えか、一定のしっかりとした歯どめというものは必要だというふうに思っていらっしゃるかどうかについて見解をお示しください。

小野寺国務大臣

今、集団的自衛権の議論については、安保法制懇の報告書を受け、政府として基本的な方向性を示し、その上で与党協議が行われるということで、私ども、その議論に資するさまざまな御答弁をさせていただいているということであります。

一般論としてお話をすれば、例えば、ここで一定の方向性が出たとしても、これはあくまでも、できるという権利であって義務ではありません。仮に、現実に事態が発生して、我が国として、実際に武力の行使を行うか否か、あるいは、今回のようなさまざまな各事例についての行動を行うかどうかというのは、仮に権利が今後できるとしても義務ではないという中で、高度に政治的な決断は必要であり、時の内閣が、国民の命と平和な暮らしを守り抜くために何が最善な対応か、あらゆる選択肢を比較して、具体的な事態に即して、諸般の要素から総合的に判断するということになるんだと思っております。

また、今後、この方針が出た中で、例えば自衛隊に対してさまざまな新しい任務が可能となるという場合には、当然、自衛隊法の改正を含めて国会での真摯な議論が必要ということになります。

こういうさまざまなところを踏まえて、委員が今御指摘されました歯どめというもの、それが確保されていくことになるのではないかと思っております。

伊佐委員

大臣が今おっしゃっていただいたのは、そもそも集団的自衛権の議論は、権利であって義務じゃないんだということでした。

私の今質問させていただいたのは、権利であるのは理解しております、その上で、これを使うとなったときに、権利を行使するかどうかという判断がどこかの時点で来るわけです、そのときの判断をするときに、きちんと歯どめがかかりますか、このメカニズムをどうやってつくっていきますかというところを、さらに今後議論させていただきたいと思っております。

私は、この集団的自衛権の議論について思いますのは、集団的自衛権の行使を慎重に考える立場と、積極的に、あるいは容認する立場が、結局は両者とも向かうべき目的というのは同じだと思うんです。つまり、いかにしてこの日本国土を守るか、日本の国民の身体と財産を守っていくか、そしてまた、幸福追求権であるとか生存権であるとか、こういうものをどうやって守っていくか、この目的、ゴールは両者とも一緒なわけです。

その上で、もしこの真摯な議論の中で具体的に、確かにこういう場合については集団的自衛権がないとどうしてもだめだ、ここはどうしても必要なんだということになれば、そしてまた、それを国民の皆さんも理解していただけるのであれば、きちっとした手続をとってこれを認めてもいいものではないか、私はそう思っております。ただ、そこの前提として我々が必要なのは、冷静かつ丁寧な議論をどうやっていくのかということだと思うんです。

そこで、例えば一つ申し上げますと、先ほどの絵に、総理が記者会見でも示した邦人輸送の例、これは予算委員会でもこういうふうに取り上げられました。

この絵について内閣法制局長官からはどういう答弁があったかというと、日本はこのケースにおいて、日本の自衛艦はこの輸送艦を防護できないというふうに答弁されました。

そのときに、安倍総理はこうおっしゃいました。一部報道によっては、このケースでもできるんじゃないかという報道があった、しかし、今法制局長官が答弁したとおり、これはできないんだ、逃れようとする親子、子供たちを守ることができないんだというふうに総理はおっしゃいました。

でも、私は、このケースを見ていまして、いろいろな見方、いろいろなシチュエーションがあるんじゃないかと思っております。つまり、法制局長官の防護できないんだという答弁をもって、命も守れない、何もできないと本当に言い切ってしまっていいのかどうかというものを少し疑問に思っています。

例えば、では、私の方からこのシチュエーションについてこういうふうに聞くとどうでしょうか。逃れようとする親子、子供たちを乗せた米国の輸送艦があります。日本の自衛艦、自衛の艦船が並走している場合、そこに何らかの攻撃がしかけられた。その場合に、例えば武器等防護という観点で反撃をする。それが結果的に、自衛艦、自衛隊の艦船が米国の輸送艦に対して攻撃を防ぐ、いわゆる反射的効果ということで対応できる。

この可能性は排除されないんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

徳地政府参考人

お答えを申し上げます。

先生御指摘の自衛隊法第九十五条でございますけれども、これは、自衛隊の武器、弾薬、火薬、船舶、航空機、車両、有線電気通信設備、無線設備または液体燃料を職務上警護するということが前提になっておるものでございまして、あくまで対象は自衛隊が持っている装備品の類いということではございます。

その上で、あえて法的な一般論として、これまで政府として何回も国会で御答弁していることを申し上げますと、自衛艦と米軍の艦船が極めて接近している、先生が挙げられたような事例かと思いますが、そういうような場合において、自衛隊の船が、今申し上げました自衛隊法の第九十五条に基づきましてあくまで自衛隊の武器等の防護のために武器を使用するということが、結果的に、あくまで結果的にということでございますが、米艦船に対する攻撃を防ぐという反射的効果を有する場合、これはあり得るということはこれまでも答弁として申し上げておりますが、ただ、米艦船の防護そのものを目的とした武器使用というものは認められていないということでございます。

それから、これまで挙げられています例はあくまで例示でございますので、これらに該当しない状況というものも起こり得るということでございますので、そうした問題意識のもとで、与党との協議、それから法制局の意見も踏まえて今後政府として対応を検討していく、このようなことになっておるわけでございます。

伊佐委員

ありがとうございます。

私が申し上げたかったのは、こういう場合にはできませんよね、だから命も守れないんだ、何もできないんだというのではなくて、いろいろなシチュエーションがあって、いろいろな見方というのがあると思います。そこを冷静かつ丁寧に議論していく。こういう場合だったらこういうことができる、でも、この小さいすき間ではこれができないとか、こういった議論を積み重ねていくことによって、本当に大きな集団的自衛権というものの必要性の部分とか、それが国民に果たして理解されるのかどうか、御理解いただけるのかどうかということも、この議論の中で私は御理解をいただかなければいけないのではないかと思っております。

質問時間が終わりましたので、以上、終わります。ありがとうございました。

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