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186-衆-法務委員会-13号 平成26年04月18日

江崎委員長

次に、伊佐進一君。

伊佐委員

おはようございます。公明党の伊佐進一でございます。
本日は、本当にお忙しい中で四人の参考人の皆様には足を運んでいただきまして、御貴重なお話をいただきました。心より御礼申し上げます。

まず最初に私がお伺いさせていただきたいのは、社外取締役の位置づけについて質問させていただきます。

これは委員会の中でもるる議論がありまして、そもそも社外取締役とは何ぞやという根本的な議論をずっとさせていただいてきたわけですが、この社外取締役、当然、取締役会の一員で、議決権を有するということになっております。

取締役会は、先ほどからずっとお話にあります、モニタリングモデルということで、監督機能というものを当然有している。それだけではなくて、意思決定機関としての機能、重要な業務執行事項については議決権を持って意思決定をするというような役割もあるわけですが、ここでよく問題になりますのは、情報の非対称性、つまり社内取締役と社外取締役で接する情報に大きな差があるんじゃないかということが言われております。しかし、取締役会の中では同様に一票の議決権を持っているということです。

業務執行に携わっていないこの社外取締役が、取締役会の中で意思決定に関与するということについて、どういうような意思決定に関与するということがそもそも社外取締役には期待されているかということについて、まず神田参考人に、法制審でそういう議論があったかどうか、あるいは、その個人的な意見についてもお伺いしたいのと、先ほど佐久間参考人の方からも、これについてはルールづくりが必要じゃないかというような御意見がありましたので、佐久間参考人もどう考えられるかということについて、お伺いしたいと思います。

神田参考人

御質問ありがとうございます。

社外取締役という制度の本質にかかわる御質問だと思いまして、やや大げさに申しますと、社外取締役ですとか取締役会が何をするところかというのは、いま一つ腑に落ちないというか、詰めて考えてもわからない点が残る話ではないかと私は思っています。

それは、もっと大きく言いますと、大げさで恐縮ですけれども、株式会社という仕組みは何なんだろうかということにも関連してくると思うんですね。これは長年の諸外国そして我が国の歴史の中で発展してきたものであるとしか言いようがない、そういう意味では、歴史と経験の所産で今日に至っているということではないかと思います。

そこで、社外取締役が何をすべきかということにつきまして、法制審での議論と私の感想等を述べたいと思うんですけれども、法制審で議論しましたときは、機能から議論を始めましょうと。先ほどもおっしゃっていただいたんですけれども、社外取締役はどういう機能を果たすんでしょうかということから議論をしました。

それで、経営に対する助言の機能、業績一般を評価する機能、それから、やや狭くなりますが、利益相反というふうに呼んでおりますけれども、株主の利益が害されるようなことが起きる、それを監督する機能。そのうち、第一の助言という機能は、別に社外取締役でなくても、例えば外部のアドバイザーですとか可能ですので、制度として会社法のもとで社外取締役を議論する場合には、第二と第三の機能が中心になりますねということで議論して進みました。

今度は私の個人の感想を述べさせていただきます。

この問題は、例えばアメリカでは、一九七〇年代、八〇年代に非常に議論されました。社外取締役は一体何をするんだと。非常に限られた時間ですし、今情報の非対称性というふうにおっしゃいましたけれども、その会社のことに詳しいわけではありません。

アメリカでは、七〇年代から八〇年代に既に、取締役会の平均人数は十名程度、そのうちの三分の二から四分の三が社外取締役、日本語で言えばなんですが、向こうは独立取締役と言いますけれども、になっていたという実態があります。

一体そこで何をやっているんだ、何をすべきかという議論が非常にされました。その結果、もちろんいろいろな意見があるわけですけれども、大体得られた合意というのは、業績の評価ということです。逆に言いますと、それ以外のことはそうできるものではないということかと思います。

ただ、有事といいますか、何かあったときに、日本でいうと、例えば、不祥事の再発の防止ですとか、あるいは危機管理ですとか、そういうものがあった場合には、また別途役割の発揮が求められますけれども、一般的に申しますと、業績の評価ということが社外取締役の役割であるということが、アメリカの議論を通じて得られた、当面の結論というふうに言ってよろしいかと思います。

したがいまして、繰り返しになって恐縮ですけれども、社外取締役は何をやるんですかというのは、なかなか腑に落ちないんですけれども、そんなあたりにある。

それで、意思決定としてどういうことを決めるのがよろしいでしょうかという御質問をいただいたと思うんですけれども、これは結局、今申し上げたことと表裏になるわけでありまして、そういう意味で、それを監督とかモニタリングと呼ぶとまたわかりにくいところはちょっとあると思うんですけれども、その役割に即した形での意思決定に参加するというのが望ましい、ちょっと抽象的になりますけれども、そういうことになります。

佐久間参考人

ありがとうございます。

それでは、今先生の方から御指摘のありました情報の非対称性、これは、社外取締役の方が期待される機能を果たす、その上ではまさにキーだと思います。つまり、その非対称性について、それにどう向き合い、解決していくかというのは極めて重要だと思っております。

御案内のとおり、当然、社外取締役とその他の取締役の方の間では、業務執行するしないということからして非常に大きい差が生じ得る環境にございます。

また、もう一つ考えなければいけないのは、これは監査役会設置会社であれば、監査役、あと社外監査役との間の情報の非対称性という問題もございます。

御案内のとおり、社外監査役というものについては、非業務、業務という区別がございません。つまり、常勤であってもいいですし、幾らやってもいいというのが監査役。実際、多くの企業では往査をされている。つまり、つぶさに現場を見ておられるということでございますので、制度的には社外取締役の方の情報というのが不足する傾向になってしまう。ですから、そこについては、これは各社さん、いろいろ工夫をされていると思います。

それは、そもそも取締役会で、先ほど他の参考人の方がおっしゃっていましたけれども、ある意味では、コモンセンスで判断できるような非常にわかりやすい議論をしなければいけない。例えば専門用語とか業界用語、そこに長くいる人しかわからないような言葉というのを使っていては話にならないとか、そういう細かいところ、事前のインプット、あと、場合によってはやはり現場を見ていただく、そういうことが必要かと思います。

その点につきまして、私先ほど申しましたように、社外取締役というのを選任すれば済むというものではないわけでありまして、その役目を果たしてもらう、社内におけるサポート体制というのは今各社でも当然腐心してつくっておりますし、それが今後当然各会社に求められている責務だと思っております。

以上です。

伊佐委員

ありがとうございます。

神田参考人の方からは、評価というところが一つ大きな位置づけじゃないかということ、また、佐久間参考人からは、機能させるためにはしっかりと配慮することが必要じゃないかというお話をいただきました。

いずれにしても、投資家あるいは株主、リスクマネーを出す人たちから信頼を得られるような役割としてしっかりと機能させていく必要があると思っております。

次に、佐久間参考人に引き続きお伺いしたいと思うんです。

社外取締役の義務化というものについて、今回は義務化には至らなかった。ところが、監査役会設置会社の場合には、置いていない理由といいますか、置くことが相当でない理由というものを説明しなければいけないということになりました。

では、どういう理由なら認められるのかということが、これは委員会の中でも議論がありましたが、いまいちはっきりしていないというところです。議論があったのは、社外監査役が二人いるから、うちは大丈夫なんです、こういう説明では置くことが相当でない理由にはならないというような政府側の見解が得られております。

こういう状況の中で、では、企業の立場として、この理由について、今こういう状況をどう思われるかということをお伺いしたいと思います。

佐久間参考人

ありがとうございます。

今の点、置くことが相当でない理由。これは、今御審議していただいています改正案が成立すれば、もう来年問題になろうかと思います。

これは一言で言いますと、先ほど言いました、各社さんが各社さんの状況、環境に応じて決めていることでございますので、なぜ置くことが相当でないかということを各社の事情に応じて正直に自然体で書かれる、こういうことかと思います。

あとは、これは実際まだ書くという段階に至ってはいませんので、若干想像をたくましくしてということでございますけれども、例えば、監査役設置会社においては、社外監査役を含む監査役の体制で十分だ、したがって、社外取締役を加える必要が今の時点ではもしないという会社があったとすれば、それであれば、やはり手間とコストがかかるということについてはいかがなものか、こういう観点になろうかと思います。

また逆に、先ほどずっとほかの参考人の方からも出ていましたように、現実的に選任するというのはなかなか難しい。先ほど言いましたように、地方の企業さんとか比較的規模の小さいところ、ここでは苦労されているかと思います。ですから、一生懸命探したけれども、現時点においては適材が見つけられていない、こういうことも現実的にはあろうかと思いますので、そういうところをこれはもう淡々と趣旨に沿った形で記載されるんだろう。ただ、これは実際まだ起きている話ではございませんので、あくまでもそういうことかなというところでございます。

以上です。

伊佐委員

先ほどお話もありましたとおり、想像をたくましくすると想定できるというような状況というのはいかがなものかというところもありますので、政府側も、しっかりそこは運用の部分で配慮をする必要があるのではないかというふうに思っております。

次に質問させていただきたいのは、社外性。今回、社外要件が厳格化されるということで、この社外性について伺いたいんです。

今回の法改正の中で、社外取締役を任命する際に、社外性の要件として、例えば親会社の関係者じゃないことであるとか、あるいは兄弟会社の関係者でないとか、あるいは会社関係者の近親者じゃないというような三点が厳格化されたということでございます。

実務の立場から太田参考人にお伺いをしたいんですが、そもそも社外性とは何かという議論もあると思います。というのは、社外取締役は業務執行を行わないわけです。監査役と同じ。業務執行を行ったら、そもそも非業務執行役員じゃなくなるということです。つまり、社外性というのが失われるということになります。

では、社外取締役というのはどこまでできるのかということです。つまり、どこまでなら業務執行とならずに仕事ができて、どこ以上なら業務執行というふうに認められて、つまり社外性を失ってしまうのかという議論があると思いますが、実務の立場から、その限度というのはどの辺にあるとお考えでしょうか。

太田参考人

御質問ありがとうございました。お答えさせていただきます。

なかなか線引きが難しいところではございますけれども、一般に実務で理解をされておりますのは、業務執行のラインに関与して何かすることというのは、まさに先生御指摘のとおり、業務執行したということになるので社外性が失われるということになるわけですけれども、そうではない、意見を言うという部分については、特にそれで社外性を失うということはないと言われております。

例えば、買収防衛策等におきまして独立委員会というようなものを設置して、それで何か敵対的な買収行為があった場合には独立委員会で買収提案の内容と会社がそれに対して持っている意見とを比較して意見を言う、こういうものがよくございますけれども、これについては、業務執行そのものではなくて、会社の方向性に対する意見ということでございますので、これに関与してもいわゆる社外性は失わないというのが実務での一般的な理解かと思います。

そのほか、例えば、何か不祥事があったときの調査委員会、これも第三者委員会というような形で調査をするというのがございますけれども、会社の不祥事が起きた原因が何かですとか、それから、それに対する再発防止策を提言するということは、業務執行のラインの中に入って何かそれに関与するということではございませんで、企業価値を高めていくために会社としてどうすればいいのかということを提言する、こういう役割はむしろ社外取締役に本来的に期待されている機能でございまして、そういうものについては社外性を失うものではないので、社外取締役も十分役割が果たせるだろう、こういうふうに一般に実務では理解されているところかと思います。

以上でございます。

伊佐委員

ありがとうございます。

意見であるとか、あるいは提案、提言であるとかといったものであれば社外性というのは失われないということであったかと思います。

次に質問させていただきたいのは、今回の法改正でもあります多重代表訴訟制度について神田参考人にお伺いしたいと思うんです。

今回は、一〇〇%の子会社の取締役に対して親会社の株主が代表訴訟を一定の範囲内で起こすことができる。これは太田参考人の方からも御意見があったように、まさしく世界に先駆けてということで非常に評価をいただいたわけですが、佐久間参考人の方から先ほど濫訴の話がありました。多重代表訴訟制度の濫訴の話以前に、今の代表訴訟制度自体、濫訴といいますか、こういうものが、そもそも代表訴訟制度の射程がどれぐらいなのかという議論があるかと思います。

と申しますのは、今の代表訴訟制度の中では、一株でも持っていると代表訴訟を起こせる、提起できるということになっております。九九%の株主が代表訴訟の意図がたとえなかったとしても、一%の株主がその意図を持っていると代表訴訟を起こせるというような状況になっております。アメリカの場合は、例えば訴訟委員会というのをつくって、そこで株主の多数の意思というのを代表しようというようなシステムが、メカニズムが働いているわけですが、今、日本の現状で、一株の株主だけで株主代表訴訟を提訴できるという現状の制度についてどうお考えか、神田参考人の意見を伺いたいと思います。

神田参考人

御質問ありがとうございます。

今の御質問は、多重代表訴訟というよりは、そもそも株主代表訴訟制度、現在そうなっているのではないかという御質問だと思います。といいますのは、多重代表訴訟は、一株持っているだけでは起こせませんで、一%基準というのが課せられています。それに対して、通常のというか、現在も存在している株主代表訴訟は、おっしゃるように、一株でも起こせるからであります。

これについてどうお考えでしょうかという御質問をいただいたと思うんですけれども、答えは、やはり一長一短と言わざるを得ないと思うんですけれども、濫訴という意味をちょっと分析してみたいと思うんです。

株主代表訴訟というのは、取締役が会社に対して責任を負っていることが前提なんです。負っていない場合には、もちろん、起こしても取締役の責任は否定されます。したがって、取締役が会社に責任を負っているときに、会社みずからが取締役に対してその責任を追及する損害賠償請求をしないような場合に株主がかわってする制度なんですね。

そのかわってするときの株主は、一株主でいいでしょうか、それとも、例えばですけれども、株主の多数がそれをやりましょうということを求めた方がいいでしょうか、こういう問いだと思うんです。
そうだとしますと、濫訴という言葉には、多分、二通りぐらい可能性としてあると私は思うんです。

一つは、取締役が会社に対して責任を負っていると私は言いましたけれども、実際に責任を負うかどうかは、最終的には裁判所に行かないとわからないわけです。負っていないのに訴訟を起こす、これは、最終的には取締役は責任は否定されるわけですけれども、事実上、訴訟に応訴しなければいけませんので、つまり、本来というか、客観的に、神様の目から見れば取締役が会社に対して責任を負っていないのに訴訟が起きる、それに対応しなければいけないという場合。

それからもう一つは、これは濫訴と呼べないと思うんですけれども、取締役が会社に対して責任を負っているんだけれども、何らかの理由で、例えば、その取締役が過去会社に非常に貢献が多かったので、確かに今回責任はあるんだけれども、全体として判断すれば、責任を問うところまではしなくてもいいのではないか、世の中でいえば、和解的な文脈かとは思うんですけれども、そういう判断を多くの株主はするであろう、そのときに、一人でも、いや、それはいけません、やはり責任は生じているのだから追及しなければいけません、これを認めるかどうかということだと思うんですね。

それで、前者の濫訴の類型、本来責任は生じないので最終的には責任は否定されるんですけれども訴訟が起きるという場合と、後者の類型、すなわち、そこに責任はあるんだけれども全体的な判断が求められるような場合に、その判断を誰がすべきかという類型によって答えは違ってくるというふうに私は思っています。

それで、前者の方の類型は、一人で起こそうが多数で起こそうが、本来、責任は生じていないわけですから、これは、一般的に、例えば訴訟の場合にある話、最終的には、被告という言葉を使わせていただきますと、被告側は勝つはずのものなんですけれども、しかし、実際に訴訟が起きればそれに対応しなければいけませんので、それに対応する仕組みというのは手続法上も存在していますし、いろいろあって、今で十分かと言われると、それはいろいろな議論の余地はあるかとは思いますけれども、そういう問題だと思います。

後者の方は、難しいのは、誰が決めるんですかということですので、立法論としては、多数の株主が決定すべきことであるという考え方も当然あり得ると思います。しかし、現在の株主代表訴訟は、一人の株主が決める。そして、多重代表訴訟は、一%を持っていればその判断ができる。多重代表訴訟でも、子会社の取締役が子会社に対して責任は生じていることが前提ですので、それが追及されない場合に株主が、親会社が株主なんですけれども、かわってということになりますので、そこはいろいろな選択肢があって、通常の代表訴訟でいえば、一株主の判断でそれを認めましょうというのが現在の日本の制度です。

しかし、これは、御承知のように、アメリカなどでは違うことになっていますので、考え直す余地がないとは言えないというふうに言ってよろしいかと思います。

伊佐委員

ありがとうございました。
大学の学生に戻ったような気持ちで聞かせていただきました。非常によくわかりました。

もう時間になりました。

神田参考人も著書の中で、そもそも会社法というのは、昔の権利義務関係を定めた私法という段階から、もはや制度的なインフラとして重要な位置づけになってきたというふうに書かれております。経済社会の仕組みそのものだと思っておりますので、国会でもしっかりと議論したいと思います。

ありがとうございました。

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