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183-衆-科学技術・イノベーション推進特別委員会-6号 平成25年06月21日

渡海委員長

次に、伊佐進一君。

伊佐委員

公明党の伊佐進一でございます。
本日は、このような機会をいただきましてありがとうございます。また、野依先生、白石先生、このお忙しい中でお越しいただきましてありがとうございます。

私は、当時の科学技術庁に入庁いたしまして、これまで十五年間ずっとこの文部科学省の中で科学技術・イノベーション政策というものを行ってまいりました。その中で実はずうっと悔しい思いをしていたことがありまして、何かといいますと、科学技術・イノベーションというのはこれは票にならない、そしてまた強い、強力な政治団体が存在しないという状況の中で、政治家の先生方が科学技術・イノベーションに興味を持っていただいて、また推進していただくという方は非常に限られておりました。逆に限られていた分、余計、こういった先生方は本当に強烈な熱意で科学技術政策というのを推し進めていただいたというのも事実でございます。

ところが、今、もう時代は、安倍総理の方から世界で最もイノベーションに適した国をつくるんだというようなイニシアチブを示していただいて、まさしく、この日本を再生する成長戦略の一丁目一番地に科学技術・イノベーションというのを置いていただいているという状況で、これは十五年前と比べて本当に隔世の感があるなと私自身も思っております。また、こうした本当に熱心な特別委員会の委員の皆様、先生方にもこうして科学技術の推進に御尽力いただいておりますこと、私がこの席でこの立場で申し上げるのは変なんですけれども、心より御礼を申し上げたいと思います。

こうした日本の科学技術・イノベーション政策、イノベーションに対する思い、この機運の盛り上がりとは全く裏腹に、今の日本の科学技術・イノベーションはどういう状況かといいますと、ますますもって悲惨な状況にある。これは、皆さん、この委員の方々も共有されている認識だと思います。

私は、これまで三年間北京に住んだことがありまして、大使館の方で中国の科学技術・イノベーションというのを見てきました。現場に入って、研究所に行って、企業に行って、いろいろな方々と意見交換をして、中国の科学技術というものが今どういう状況にあって、どういう可能性がこれからあるだろうというようなことをこれまで調査をしてまいりまして、そして、帰国した後には一冊書籍も出版させていただきました。

その中で結局私が感じたことは何かといいますと、中国のトップレベル、中国は余り平均をとっても意味がありませんから、このトップレベルの中国がどういったレベルにあるかというと、恐らくもう分野においては日本を凌駕しつつあるなと。これは私の二〇一〇年の結論です。これから時間はたっています、恐らく今では凌駕してしまった分野というのもあるんじゃないかと思っております。

これはもう例を挙げればたくさんありますが、例えば宇宙の分野でいいますと、有人宇宙飛行、宇宙空間に人を送れる技術、これを持っているのは世界で三つだけ、アメリカとロシアとそして中国です。日本はあくまで依存しているだけです。あるいは、人材の観点にしましても、これは私は書籍にも書かせていただきましたが、アメリカで博士課程、博士号を取得される方の出身大学、このランキングを見ると、一位は実はアメリカの大学じゃなくて清華大学、そして二位が北京大学、三位にやっとUCバークレーが来て、四位はまた中国の科学技術大学なんです。日本はどうなっているかというと、ずうっとランクが下がって、ようやく出てくるのが東京大学、四百二十五位です。こういう状況です。

これまで日本のこの成長を引っ張ってきた技術力とかあるいは人材力とかこうしたもの、これは、今どんどんどんどん追い上げられて、抜かされようとしている状況の中で、またいろいろな課題が出てきている中で、少なくとも、私がいた十五年間は何ら有効なシステム改革が行われなかった。言い切ってしまっては失礼かもしれませんが、少なくとも、努力はしたけれども微修正しか行われてこなかったんです。

ところが、今、総理がイニシアチブを発揮していただいて、またこうしてたくさんの議員の方々で一緒に新しい科学技術をつくっていこうという機運があること、本当にうれしく思います。

済みません、前置きが非常に長くなりました。この十分間の質疑の時間でこれだけ前置きが長いのはなぜかといいますと、実は、質問したいのは一問だけでして、これまで前職において本当に野依先生また白石先生にはさまざま御指導を賜ってまいりましたので、きょうは一問だけどうしても質問したいことをお話しさせていただきます。

それは、科学技術顧問についてなんです。恐らく、白石先生、科学技術顧問のお話をされたと思うんですが、ちょうどその時間、私は違うところで質問しておりまして、失礼させていただきました。

科学技術顧問については、まず、我々公明党、四月の十一日、我が党から政府に対して申し入れをしました。この提言の中でどう申し上げたかといいますと、科学技術顧問を法律上位置づけて官邸に配置すべきだと提言しました。同じように、自民党から政府の提言には、科学技術顧問の設置を検討すべきだとあります。結果、今月策定された政府の科学技術イノベーション総合戦略、ここでどう書かれたかといいますと、科学技術顧問の重要性も指摘されているが、今後の検討課題、大分トーンが落ちました。

これは何でこういうふうになるか、この原因は何かというと、私は、この科学技術顧問に対するイメージが、実は、皆ばらばらなんだと思うんです。

例えば、我々公明党は、科学技術顧問についてはこう書いています。総理に科学的助言を行う科学技術顧問。科学的助言、いわゆる、白石先生のおっしゃるサイエンス・フォー・ポリシー、ポリシーのためのサイエンスだという色彩を色濃く出しております。

自民党はどうかというと、自民党の場合は、総理大臣等に対して科学技術・イノベーション政策に関する助言等を行う科学技術顧問なんです。つまり、政策、どちらかといえばポリシー・フォー・サイエンス、これが科学技術顧問の位置づけです。

政府の報告書はどうなっているかというと、総理大臣等に対して科学技術・イノベーションに関する助言等を行う、科学技術・イノベーション全体に関する助言を行う科学技術顧問。どちらかといえば自民党の提言に近いものになっております。

今回、科学技術を担当される山本大臣がどうかといいますと、過日の国会答弁あるいは記者会見において言及をされています。科学技術顧問というのを、アメリカの科学技術補佐官というのを引き合いに出される。アメリカの科学技術補佐官というのは、ナショナル・セキュリティー・カウンシルにおいて各省庁を束ねる非常に強力な権限があって、また政治力があるわけです。いわゆる政治家的な側面が強い、こういうものだというふうに恐らく山本大臣の認識ではある、それであれば、恐らくかなりハードルは高いんだろうと思います。

この科学技術顧問一つとっても、恐らくそれぞれがそれぞれの口から出るたびに、皆さん、実は定義が違うわけなんです。これが、なかなかこの顧問が実現しない一つの理由だと思います。そういった意味で、野依先生、白石先生から、どういった科学技術顧問というのが、今の官邸に、あるいは日本の政府に必要なのかという点について、質問を一問だけさせていただければと思います。

白石参考人

今指摘されたこと、ほぼ私と同じ、私もそういうふうに考えております。先ほど申し上げましたことですが、私は、科学技術顧問というのは、まず第一に、安全保障政策、防衛政策から環境政策、科学技術・イノベーション政策まで、その科学的意義について総理にアドバイスする、これが第一の役割。それから第二番目に、さまざまの政策、これも安全保障政策でも科学技術・イノベーション政策でも構いませんが、そういうさまざまの政策が長期的に科学技術の発展にどういう意味があるかということを総理にアドバイスする。この二つについて総理を補佐するのが科学技術顧問の役割だというふうに考えております。

一言で申しますと、つまり、サイエンスアドバイザーというのは、サイエンス・フォー・ポリシーを任務とする、これが一番すっきりして、しかも、総合科学技術会議との分業あるいは役割分担も明快であろうというふうに考えております。

野依参考人

ポリシー・フォー・サイエンスとサイエンス・フォー・ポリシー、これはもう連動、表裏一体のものですから、極端にどっちかということは言い切れないと思います。
しかし、サイエンスアドバイザーの役割というのは、第一義にはやはりサイエンス・フォー・ポリシーじゃないかと思います。

伊佐委員

どうもありがとうございました。
以上で終わります。

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