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183-衆-原子力問題調査特別委員会-7号 平成25年06月21日

森委員長

次に、伊佐進一君。

伊佐委員

おはようございます。公明党の伊佐進一でございます。

私がきょう質問させていただきたいのは、原子力のごみの問題、高レベル放射性廃棄物を今後どうしていくかという質問ですが、その前に一点だけ。

先ほど宮下委員の方からも質問がありました新基準についてですが、七月八日から施行されると伺っております。いよいよ審査が始まってまいるわけですが、この審査に当たる方々、三チームの方々が恐らく連携をうまくとられて物事を進めていかれると思っております。せっかく世界最高水準という形でつくっていただいたわけですから、ぜひ、しっかりとこの基準が守られるように、しっかりと厳しく審査をしていただきたいと思っております。

また、もう一言申し上げますと、審査を迅速に行っていただきたいと思っております。規制委員会の審査がおくれることによって、そのツケが消費者の皆さんに回るようなことはあってはならないと思っております。つまり、審査がおくれてしまうことによって、例えばこれが電気料金に転嫁されてしまうとか、そういうことはあってはいけないと思っております。

そういった意味でも、ぜひ、この安全基準については、しっかりと安全性の機能あるいは基準というものを緩めることなく、しかし同時に、スピード感を持って対応していただきたいと思います。その決意について、委員長にお伺いしたいと思います。

田中政府特別補佐人

御指摘のように、今回の新規制基準はこれまでにない大変新しい要素が含まれておりますので、その審査はなかなか困難なところもございます。ただし、そういったことを踏まえまして、私ども、可能な限りの能力を集中しまして、できるだけ速やかに審査を進めてまいりたいと思っています。

具体的には、先ほど申し上げましたように、今八十名という人員を投入するということでございますけれども、さらに、その周りにできるだけ専門知識を持った方々の御協力、例えばJNESにもそういった方、そのほかにもございますので、そういった方々も十分に活用して、事業者からの申請については可能な限り速やかに対応してまいりたいと思っているところでございます。

伊佐委員

ありがとうございます。
安全性をしっかりと守るということと、そしてまた迅速性が要求される、非常に困難な仕事であると思います。ぜひ御努力いただければと思っております。

さて、我々が原子力と向き合うときに、私は、大きな問題は二つだと思っています。

そのうちの一つが安全性です。
この安全性については、新安全基準、新規制基準がまさしくそれに当たるわけですが、最善の努力を積み重ねながら、できるだけ安全性を合理的な方法で高みに引き上げていくということが重要であろうと思います。

これは原子力に限らずに、そもそも科学技術というものは功と罪があって、その罪の部分、つまりリスクの部分をいかにコントロールするか、いかにマネジメントをしていくかということが重要であろう、そしてまた、万一何か事故が起こった場合には、その被害を最小のものとして食いとめていく、こういう体制がきちっととれるかどうか、これが新安全基準であると私は思っております。

もう一点の大きな問題、恐らく最大の問題になるであろうと思いますのが、冒頭申し上げましたごみの問題です。
放射性廃棄物をどうするかということについて、世界じゅう、今どの国も結論を出せないでいる、まさしく人類が直面している課題であると思います。これがまさしく、原子力というのはトイレがないマンションと言われている一つの原因であろうと思います。

まずお伺いしたいのは、我が国の原子力発電所においてこれまでつくられた使用済み核燃料について、国内での今の蓄積状況についてお伺いしたいと思います。

糟谷政府参考人

国内では、放射性廃棄物は今一万七千トンございます。二〇一三年三月末時点のウラン重量換算の量でございます。このうち、約一万四千トンが全国の発電所のサイト内にございます。また、約二千九百トン、これは青森県の六ケ所の再処理工場に貯蔵されております。

伊佐委員

ありがとうございます。

今、一万七千トンということで、そのうちの三千トンが再処理工場ですが、再処理工場はそもそも三千トンがキャパシティーですので、もういっぱいいっぱいになっているという状況です。原子力発電所内に据え置かれている部分も一万四千トン、これはキャパが二万トンですから、恐らく早晩超えてしまうだろう。今、青森県のむつには中間貯蔵施設というものをつくっておりますが、これもキャパシティーは五千トンですので、結局、再稼働がこれからもし始まっていくとすれば、恐らく十年たつといっぱいいっぱいになってしまう、こういう状況です。

では、この高レベル放射性廃棄物をどう処分していくかということで、本日は、再処理技術も含めてどういった技術の可能性があるか、また、それぞれ事実関係、ここでこうすべきだという是非を議論するわけではなくて、事実関係について一つずつ確認をしていきたいと思います。

まず、再処理の技術です。
この再処理の技術というのは、御案内のとおり、できた使用済み燃料からウランとプルトニウムを抽出する、ウランとプルトニウムを抽出したものをもう一回MOX燃料として使いましょうという、いわゆるリサイクルなわけです。このリサイクルによってごみを減容することができる、減らすことができると言われています。

特に言われていますのが、直接処分、そのまま埋めてしまうのに比べて、再処理をすると四分の一になりますよ、あるいは高速炉を使えば七分の一になりますよと言われておりますが、この意味について解説いただければと思います。

糟谷政府参考人

まず、再処理でございますけれども、これは、使用済み燃料から軽水炉で利用できるプルトニウムやウラン等を取り出して、軽水炉で有効利用するということでございます。使用済み燃料の中からプルトニウム、ウランを取り出すことによって、最終的に処分をしなければいけない高レベル放射性廃棄物の量を減らすことができるということであります。

具体的には、日本原子力研究開発機構の試算によりますと、直接処分の場合には、使用済み燃料一トン当たり約五立米の高レベル放射性廃棄物が発生するのに対しまして、再処理を行った場合には、その体積は約一・一立米ということでありまして、直接処分の場合と比べて四分の一以下に減容することになります。ただ、TRU廃棄物というのがこれと別に生じますけれども、地層処分相当のものは約四分の一になるというものでございます。

それから、高速炉ができますと、高速炉の熱効率が四二から四三%で、現行の軽水炉の三四から三五%よりも高いわけでありますので、発電電力量当たりの高レベル放射性廃棄物が少なくなるのに加えて、絶対量といたしましても、これまで高レベル放射性廃棄物として処分しなければならないマイナーアクチニドという物質、これはアメリシウムとかネプツニウムといった元素でありますけれども、これについても燃料として利用することができるということでありまして、これによって発電電力量当たりの体積が直接処分の場合と比べて約七分の一に減容するということでございます。

伊佐委員

ありがとうございます。

先ほどおっしゃっていただいたとおり、これは単位量当たりの発電において出るごみが一から四分の一になるという意味なんですね。つまり、もともとあるごみが減っていくということでは当然ないわけです。

発電をするに当たって、一回そのまま捨てると一が出てきます。ところが、再処理の段階でウランとプルトニウムを取ります。これは再利用するわけですが、そこでどうしても使えなくなってしまったごみ、これをガラス固化体として捨てるわけです。このガラス固化体が一と比べれば四分の一ですという意味であって、この再利用したもの、MOX燃料をもう一回使うと、当然また一が出てくるというような話、つまり、ごみが減っていくわけじゃなくて、ごみの出る速度が遅くなりますよということだろうと思います。

さらに申し上げると、今の六ケ所の再処理施設というのは、これは一回だけ再処理をするという想定でつくっているわけです。つまり、一回出たごみを再処理して、ガラス固化体で四分の一吐き出して、これをもう一回燃料として使う、それを燃やしたMOX燃料をもう一回リサイクルできるかといえば、実は六ケ所はその想定になっていないわけです。そうすると、それは今の状況であるとそのまま捨てざるを得ない。結局は、一と四分の一があわせて出てくるという状況だろうと思います。

だから、大事なことは、このプルサーマル、つまり、再利用をもう一回できる、出てきたMOX燃料をさらにもう一回再処理してまた燃料として使える、また出てきたごみをまた使える、こういう施設がないと、結局、四分の一というのは成立しない数字なんです。だからこそ、やるとすればもう一つ再処理工場をしっかりとつくって徹底的にプルサーマルをやるか、あるいはもう最初から直接処分をするか、このどっちかであろうと思います。

同じ観点からもう一つ質問させていただくと、再処理による有害度の減衰というものです。
これは、よく政府の方がおっしゃるのは、再処理をすると有害度が十万年から八千年に減衰されますよと言われます。この意味について、簡単に解説願います。

中野政府参考人

高レベル放射性廃棄物の有害度を示す指標でございますけれども、まず、含まれます全ての放射性物質ごとに定められた年間摂取限度の何倍に相当するかという数値を出しまして、それらを全て足し上げた数値が有害度となっております。ですから、一般的に、この有害度は時間とともに減衰いたします。

使用済みウラン燃料を直接処分する場合と再処理した場合について廃棄物の有害度を比較いたしますと、再処理により半減期の長いウランやプルトニウムが抽出され取り除かれることになりますので、再処理した場合の方がより早く有害度が減衰するということになります。

具体的な例といたしまして、廃棄物の有害度が天然ウランと同じレベルまで減衰する時間を計算いたしますと、直接処分の場合は約十万年、再処理を行った場合は約八千年になるということでございます。

伊佐委員

ありがとうございます。

おっしゃっていただいたとおりでして、出てきたごみ、ウラン、プルトニウムは十万年ですから、この十万年分は再利用する、プルサーマルの輪に閉じ込める。それで、この十万年と八千年を分けて、八千年の部分はごみになるわけですから、だから有害度が減衰されましたという理屈であろうと思います。
つまり、この前提条件として、十万年のウラン、プルトニウムはずっとプルサーマルの輪に閉じ込めることができるという前提で、この八千年という数字があるのであろうと思っております。

そういう意味では、先ほど申し上げたとおり、これは再処理を一回だけして、つまり、六ケ所の再処理工場で一回だけ再処理をして、そのまま終わってしまうと、結局は有害度は減衰しないということになると思います。そういった意味では、先ほど申し上げたとおり、プルサーマルを徹底してやるか、あるいは再処理というものはもう最初からしないということが、この有害度の観点から言えるんじゃないかと思います。

さらに申し上げれば、今度は再処理技術とは違う技術についてお話をさせていただきたい、質問させていただきたいと思います。
加速器駆動核変換システム、いわゆるADSと言われるシステム、これは何かといいますと、今ある核廃棄物、ここに中性子をぶつけます。中性子をぶつけることによって、この中にある半減期の長い、いわゆる長寿命の核種、ここを変換してしまう、十万年かかるものを数百年ぐらいの半減期の短いものに変換してしまうという技術です。その過程でエネルギーも発生しますので、これもまた電力で使えるんじゃないか。つまり、ごみも減って、エネルギーもつくることができるという技術です。

このADSについて、今、その技術的要素についてはさまざまなところで基礎研究が行われているところだと思いますが、この実現可能性を含めた評価についてお伺いしたいと思います。

中野政府参考人

高レベル放射性廃棄物の処分に当たりまして、半減期が長く、管理の難しい放射性物質を半減期の短い放射性物質に変換する核変換技術の実用化が可能であれば、また意義があるものと認識しております。

加速器を用いました核変換技術の研究開発におきましても安全の確保が大前提ということは言うまでもございませんが、本技術につきましては、二〇〇九年四月に原子力委員会が取りまとめた報告書におきまして、高速増殖炉サイクルによる技術が所定の性能目標を満足することができないと判断されたときには、開発対象として採用が検討される可能性があるとしております。一方、技術的な課題も多いため、おおむね五年ごとに、基礎データの充足や、研究の進展等についての状況を評価することが適当とされております。

加速器を用いました核変換技術についての改めての技術的な観点での評価などの対応を、関係省庁との協力のもとで検討してまいりたいと考えております。

伊佐委員

ありがとうございます。

五年ごととおっしゃっていただきましたので、恐らく来年またこの技術について再評価されることになろうと思いますが、今御答弁いただいたとおり、これはセカンドベストというか、二番目の手として考えられている技術なわけなんです。

ただ、ポイントがありまして、この技術というのは実は再処理技術と同じなんです。
なぜかというと、そもそも再処理によって出てきたごみからウランとプルトニウムというものは除外して、十万年は除外してしまうと、残り八千年の有害度のあるガラス固化体が出てくるわけですが、ADSの技術というのは、この八千年のごみの中にある長寿命の核種、さっき言っていただいたマイナーアクチニドに中性子をどんどんぶつけていって、そこでエネルギーを生んで、これを消滅させてしまおうと。つまり、八千年のごみのものが、三百年、数百年ぐらいに減りますよというのがこのADSの技術です。

つまり、ウランとプルトニウム、十万年についてはプルサーマルの中に閉じ込められていますよというのが、これもまた前提なんです。これができないと、別に十万年が残ってしまう。いつか、プルサーマルの輪を切った、再処理をやめた瞬間に、この十万年がごみとして出てきてしまうわけです。そういう意味では、ADSも実は同じ前提のもとに立っているということを申し上げたいと思います。

時間もなくなってまいりましたので、最後にもう一つの技術についてですが、トリウム溶融塩炉と言われるものです。
これは何かというと、先ほど申し上げたプルサーマルの輪の中からプルトニウムを消し去ってしまおうという技術です。もしプルサーマルがなくなって、残りがウランだけになりますと、ウランは当然自然界に存在するものですから、濃縮度の違いはあるにしても、扱いが大分違ってくるということになります。

このトリウム溶融塩炉というものは、溶融塩というだけあって、実はこれは燃料が液体です。燃料が液体で、トリウムを使うんですが、トリウムというのは実はレアアースをとったときの副産物で、今どんどんたまっていっています。これは放射性物質ですから、今扱いに困っています。これが使えるということになります。

これは液体と申し上げました。そもそも液体ですから、メルトダウンがないわけです。もともと溶けた状態の液体で炉が設計をされております。この炉も、例えば圧力容器の中ですと、今の軽水炉、沸騰水型だと大体七十気圧と言われています。加圧水型だと百五十気圧。ところが、このトリウム溶融塩炉というのは一気圧です。つまり、常圧と一緒なんです。こういうような技術がある。

燃料交換も、そもそも軽水炉がなぜ燃料交換をしなければいけないかといいますと、それは、燃料を覆っている被覆管のところが、放射線、中性子がどんどん当たることによって劣化していく、ぼろぼろになっていく、だから三十年で交換と言われているわけです。ところが、これは液体ですから、そのままどんどんひたすら燃やし続けることができる。プルトニウムがなくなるまで燃やし続けることができるという技術です。

実は、このトリウム溶融塩炉は、先月の五月九日に原子力委員会においてヒアリングを行っております。ヒアリングを行った原子力委員会の溶融塩炉に対する評価についてお伺いしたいと思います。

中野政府参考人

原子力委員会におきましては、トリウム溶融塩炉を含めたトリウム利用につきましては、実用化に向けた研究開発段階のものと認識しております。現在、各研究機関、大学機関において研究開発が進められているところでございます。

お話がありましたとおり、五月九日の原子力委員会定例会におきまして、トリウム溶融塩国際フォーラムから開発の状況について説明を受けておりまして、原子力委員会としては、今後とも引き続き、実用化に向けました研究開発の進捗状況を注視してまいりたいと考えているところでございます。

伊佐委員

ありがとうございました。

このトリウム溶融塩炉というのは、実は一九五〇年代から研究が始まっておりまして、一九六五年にアメリカで最初の実験炉が完成して、四年間にわたって稼働してまいりました。その後、さまざまな経緯があって、きょうは時間がないので申し上げませんが、今の軽水炉の形というものを世界が追求するということになりました。もう一つのオプションとして、実は昔、検討されていた原子炉でありました。

きょう、さまざまな技術について質問させていただきましたが、何を申し上げたかったかといいますと、今、原発のごみの問題、再処理の問題も含めてさまざまな技術を紹介させていただきましたが、いずれにしても、これまで日本が蓄積してきた核物理学の知見であったりとか技術であったりとか人材であったりとか、こうしたものを、たとえ日本がどの方向にかじを切ったとしても無駄にしちゃいけないということなんです。

ノーベル賞についても、これまで日本が多くのノーベル賞受賞者を生み出してきたのは核物理学の分野でした。湯川秀樹先生に始まって、核物理学の分野で日本は最先端を走ってきて、これまで技術の蓄積を行ってきました。だから、もし、技術の蓄積あるいは人材、こうしたものを無駄にせずに、人類が直面しているこういった課題に活用することができれば、貢献することができれば、非常に大きな意味があるだろうと思います。今のこの人材蓄積が、単に除染とかあるいは廃炉だけに焦点を当てて活用されるのではなくて、もっと広い観点から日本の原子力人材というものを活用していくべきだと思っております。

そうした意味で、我々政策に携わる者、あるいは技術者の方々にもぜひ御協力をいただきながら、日本の未来というものを切り開いてまいりたいと思っております。
以上で質問を終わります。ありがとうございました。

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