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183-衆-安全保障委員会-3号 平成25年05月23日

武田委員長

次に、伊佐進一君。

伊佐委員

おはようございます。公明党の伊佐進一でございます。
本日は、集団的自衛権の解釈について質疑をさせていただきたいと思います。

現在、集団的自衛権、またさまざまな法制度上の懸案事項については、本年二月から法制懇によって議論を再開しているというところです。今後どのような結論が得られていくかについて注視をしているところでございますが、本日は、平成二十年当時、安倍総理の御指示で取りまとめられた法制懇の報告書、これを具体的に確認していきながら、集団的自衛権についての質疑をさせていただきたいと思います。

まず、この集団的自衛権、我が国の解釈、政府の解釈では、国家として持っているけれども使えないという状況です。つまり、国際法上保有、憲法上行使不可と言われております。なぜ持っているのに使えないのか、これはおかしいのじゃないか、こういう見解も聞かれているところです。

この点について、これまでも国会質疑においてさまざま質疑が交わされてまいりました。結論としては、国際法上の話と、また我が国国内、憲法上の問題というのは全く別の話だ、何ら矛盾じゃないというような答弁はいただいております。
この点について、再度、内閣法制局に確認をしたいと思います。

近藤政府参考人

お答えをいたします。

お尋ねにつきましては、今先生からいろいろ御指摘がございましたけれども、我が国が国際法上、集団的自衛権を有していることは主権国家である以上当然でありますけれども、国家が国際法上どのような権利を有するか、すなわち、国際法上何を適法になし得るかということと、このような国際法上の権利の行使について、国内法においてどのような制限をするかということとは別の問題である、一般に、国家が国際法上の権利を行使するか否かは各国の判断に委ねられており、憲法その他の国内法によって、国際法上、国家に認められている特定の権利の行使を制限したとしても、国際法上の義務を国内法において履行しない場合とは異なって、国際法と国内法との間の矛盾、抵触の問題を生ずるわけではなく、法的には特段問題を生ずるものではないというふうに従来からお答えをしてきておるところでございます。

伊佐委員

ありがとうございます。

私、非常にわかりやすい例だなと思いましたのは、スイスの例でして、スイスは永世中立国。当然、主権国家として同盟を結んでいく権利というのは持っているわけです。ところが、そこは、みずからその権利を放棄する、使わない。こうした例というのは、まさしく、集団的自衛権の我々の捉え方と同じであるかなと思っております。

この法制懇の報告書で、安保環境が激変する中で、それにどう対応していくのかという議論がなされています。これまでにはない新しい安保環境、新たに加わった安保環境として、平成二十年当時の法制懇の報告書、どう書いているかといいますと、まず第一に、大量破壊兵器、弾道ミサイルの拡散、そして国際テロリズムの拡大、こうした脅威の多様化、これがまず一つです。もう一つは、国際社会の中で共同して対処する動きというのが強まったと。

平成二十年六月の時点から既に五年がたちました。この五年間で、さらに安保環境としてどういう変化があって、今どういう状況になっているかという認識についてお伺いしたいと思います。

江渡副大臣

お答えさせていただきたいと思います。

今委員から御指摘があったわけでありますけれども、我が国の周辺におきましては、従来より、核戦力を含む大規模な軍事力というものが集中しておりますし、朝鮮半島や台湾海峡をめぐる問題というものも存在しております。依然として不透明でありますし、不確実な要素というのが存在しているわけであります。

これに加えて、この五年間におきましても、多数の国が軍事力の近代化というものを継続しておりますし、委員初め皆様方御承知のとおり、北朝鮮による核実験の実施及び弾道ミサイル能力の増強や、あるいは中国による我が国周辺海空域における活動の急速な拡大、あるいは活発化などに見られるように、周辺国は軍事的な活動というものをかなり活発化させております。このように、我が国周辺の安全保障環境というのはかなり厳しさを増しているというふうに認識しております。

我が防衛省といたしましては、各国の軍事動向を把握し、各種兆候を早期に察知するために、平素から情報収集、警戒監視等を行うとともに、各種事態の展開に応じ、迅速かつ切れ目なく対応するというような状況でございます。

また、強固な日米同盟を構築し、米国とこれまで以上に緊密に協力して我が国の安全を確保しつつ、中国やロシアを含む域内諸国との間で、信頼関係の増進や協力関係の構築、あるいは発展等を多層的に推進していきたいというふうに思っているところでございます。

伊佐委員

ありがとうございます。

集団的自衛権を考える際に、こうした具体的な一つ一つの事象、今の安保環境に対してどこが一体不備になっていて、本当に我が国として、これは必ず対応すべきだという事態、あるいは、そういう国家としての強い意思を有しているところ、こういう事態に対して十分かどうかという具体的な議論が必要だと思いますので、そうした具体的な質問を少しさせていただきたいと思います。

平成二十年の法制懇の報告書で、現在の政府の解釈では対処し切れないとして、課題として四つの類型が与えられているわけでございます。その最初の二つが集団的自衛権に関する部分ということです。

まず、最初の第一の類型。
これは、公海において米艦を防護する。例えば、我が国に対してミサイル攻撃があるかもしれない、こういう状況の中で、米艦が警戒をし、あるいは監視をしているという状況の中で、アメリカの艦船が攻撃をされたらどうなるかという場合です。

ここは、少し場合を分けて考えます。
まず一つは、日本有事の場合。これは、はっきりしています。日本有事の場合は、個別的自衛権が発動される。個別的自衛権によって米艦を防護できます。日本が攻撃されますと、我が国防衛のために行動している米艦艇が相手国から攻撃を受けたときに、自衛隊が共同対処行動の一環としてその攻撃を排除することは我が国の自衛の範囲内、これは昭和五十八年の谷川防衛庁長官の答弁でございます。

日本有事じゃない場合が問題。では、日本有事じゃない、米艦がその状況の中で攻撃を受けた場合、これも二通りあると思います。

一つは、まず、その攻撃が意図的かどうかということがあると思います。

まず、この米艦への攻撃が国家としての意図的な攻撃だった場合、つまり、組織的、計画的な攻撃であった場合ということです。この場合、意図的に攻撃する以上は、米艦からの反撃も当然想定されますし、また、米軍からの報復というものも想定されて、いずれ、これがそのまま本格的な戦争に突入していくという覚悟を持っての意図的な攻撃ということになるわけです。

当然、その場合には、米軍からの反撃あるいは報復、ここをいかに弱めるかということも同時に行われる。つまり、在日米軍に対する、拠点への攻撃であったり、あるいは日本の自衛隊基地への攻撃、これが同時に発生してくる。これが意図的な攻撃なわけです。そういう意味では、意図的、組織的、計画的な攻撃、これはつまり日本への攻撃というものも伴ってくると考えるのが必然なわけです。
こうなった場合に、果たして自衛隊が米艦を護衛することが可能かどうかについて伺います。

徳地政府参考人

お答えを申し上げます。

御質問のような状況のもとで、その場合に自衛権の解釈との関係でどういうような対応がとり得るかということでございます。

そもそも、その場合の国際情勢でありますとか、相手国の具体的な明示された意図がどのあたりにあるのかということ、あるいはその手段、態様、その他、いろいろな状況を勘案しまして、個別具体的に検討する必要がありますので、先生が今おっしゃられたような例について、あらかじめ一般論として必ずこうだということを申し上げることは非常に困難だろうとは思います。

先生の今の御指摘のような仮定でいいますと、先生は冒頭に日本有事でないというふうにまず定義をされましたので、その意味が、日本に対する武力攻撃がない、そういうことだとすると、それは、我が国の個別的自衛権の発動というふうにそのこと自体を考えることは非常に難しいというふうに考えておるところでございます。

そのような事態が仮に発展をして、自衛隊の基地が攻撃される、これは日本に対する攻撃そのものでございますので、日本が攻撃をされれば、その段階において、これを日本に対する武力攻撃であるというように認定ができれば、必要な個別的自衛権の行使ということは法的に可能であるというふうには考えられます。

その際の必要最小限度の実力の行使としてどこまでできるかということにつきましては、米艦の護衛の問題も含めまして、そのときの状況いかんにあるということだと思っております。

伊佐委員

ありがとうございます。

済みません、ちょっと質問が、申しわけありません。
まず最初が、確かに日本有事ではなかったんですが、いずれこの場合というように、私が申し上げたかったのは、いずれにしても、相手国が意図的であれば日本有事に発展しますということなんです。だから、そういう意味では、相手が意図的である以上、日本有事に発展する以上、最終的には個別的自衛権で対応することになるであろうということを申し上げたかったというわけです。

もちろん、常に一般的なということでお答えいただいたらいいと思うんですが、残る一つ、これは意図的な攻撃でない場合です。つまり、偶発的、散発的な衝突が起こった場合、これは米国の艦船と相手国がいわゆる小競り合いをしている、何か少し撃ち合ってしまったというような状況です。こういった場合に、当然、両国国家として、意図的じゃないわけですから、戦争に向かう意図というのはないわけです。

一問飛ばします。
その場合に、私は、結局何が大事かというと、こういった場合に一番大事なことは、いかにエスカレーションさせないかということだと思います。双方に意図がないわけです。つまり、いかにこの事態を鎮静化させていくか、そこがまさしく外交的な危機管理の対処の仕方じゃないかと思います。

こういう状況の中で、日本の自衛艦がこの間に分け入っていって、そして攻撃を始めるということ、果たして米国がこれを望むのかどうか。私は、必ずしもそうではないと思います。つまり、申し上げたいのは、意図的でない衝突、散発的、偶発的な衝突である以上は、日本が入っていくことを果たして米国が望むのか。それはそうではないということです。

今まで、いろいろ第一類型を分けて考えました。日本有事であれば、当然、個別的自衛権として対応できる。有事でない場合であったとしても、国家の意図的な攻撃であれば、そこは、最終的な日本有事と発展して、個別的な自衛権が発動できる。意図的でない場合は、そもそも日本はその衝突の中にみずから進んで入っていくべきではない。こういうことだろうと私は認識しております。
そういう意味では、この類型一の集団的自衛権がどうしても必要だという具体的な事態、私は、容易には想定はできないという理解をしております。

次に、第二類型です。
これは、米国に向かう可能性がある弾道ミサイル、これをどう対処するか。もし、集団的自衛権が行使できないという理由で、米国本土に向かうミサイル、これをBMDで、ミサイル防衛システムで何ら対応しないということ、みすみすやり過ごすということになれば、日米同盟が崩壊してしまうんじゃないかという論調です。あるいは、ミサイルが日本に向かうか米国に向かうかわからない状況の中で、つまり、個別的自衛権で対応するか、あるいは集団的自衛権の議論になるか、ここを瞬時に判断することができない状況の中で、これに対処するまでに時間がかかる、これは抑止力に対する大きな阻害要因だという議論があります。

そこで、まず質問したいのは、この法制懇の報告書、これは集団的自衛権をこういう理由から認めるべきだと言われておりますが、ここに実はある条件がついています。この条件は何かというと、こう書いています。

「米国に向かうかもしれない弾道ミサイルを我が国が撃ち落す能力を有するにもかかわらず撃ち落さないという選択はあり得ない。」ということです。我が国が撃ち落とす能力を有するという、この前提条件について質問させていただきたいんです。

そもそも、日本の今のBMD、技術的に、米国の本土を攻撃していくという場合に、そうした能力、これに対して迎撃する能力があるかどうかについて伺います。

徳地政府参考人

お答え申し上げます。

我が国のミサイル防衛システム、これは、あくまでも我が国の領域に飛来する弾道ミサイルに対処し得るように整備をしているものでございます。我が国の領域に飛来しない弾道ミサイルを迎撃することを想定して整備しているものではございません。

我が国のミサイル防衛システム、これは基本的に、SM3搭載のイージス艦による上層防衛、宇宙空間における迎撃と、それから、拠点防衛のためのペトリオット、PAC3による下層防衛、この二層から成っております。これによりまして、我が国に飛来する、射程でいいますと、大体千キロから千三百キロ級の弾道ミサイルに対処し得るように整備をしてきているところでございます。

したがいまして、御質問のような、アメリカの本土に飛んでいくような長距離の弾道ミサイルを迎撃するということにつきましては、これは、まさにそのようなミサイルでありますと、飛翔の経路、高度を考えましても、千キロなり千三百キロの射程のものと比べますと、極めてより高いところを飛びます、それから極めて速度も速くなります、このようなものと、今我が方が持っております迎撃ミサイルの能力というものを踏まえますと、そのようなものを撃ち落とすということにつきましては、技術的に極めて困難であると考えております。

伊佐委員

ありがとうございます。

技術的に非常に実は困難である。今、新しい開発、SM3のブロック2Aというものをされていらっしゃいますが、それであったとしても、米国本土に向かうミサイルに対して迎撃できるかというと、私は決してそうじゃないと思っております。

そもそも、米国は米国で自分たちのBMDを持っているわけです。例えば、アラスカにはGBIというのがあって、またTHAADというものを持っていて、日本よりもかなり技術の高いものを持っている。みずからを防衛するシステムを持っているわけです。

また、さらに言えば、例えば、北朝鮮が今、スカッドミサイルであったり、ノドンであったり、テポドン2であったりと、さまざまな射程の違うミサイルというものをラインナップしている状況において、何か有事の際には、米国を攻撃するのと同時に、韓国、日本というもの、恐らくこの辺が連動してくるんだと思うんです。

そういう状況の中で、アメリカが、果たして、それぞれ米国、日本、韓国に対する攻撃があった場合に、米国本土を何とか防衛してくださいという意図になるかどうか。それよりも、しっかり自分のことはまず自分で守ってくださいというようになるのじゃないかと思っております。

最終的に、米国が日本の集団的自衛権にどれぐらい関心を持っているかということですが、昔、二〇〇一年当時ぐらいから、アーミテージ国務副長官が集団的自衛権について問題提起をした。その中で、日本が集団的自衛権を行使できないことは日米同盟の障害になるというような発言、これがずっと二〇〇一年から続いておりました。これを受けて、二〇〇六年、当時の安倍総理もこの法制懇の議論を開始した。

果たして、オバマ政権になって集団的自衛権への関心がどうなっているかということです。これまで、ブッシュ政権下では、グローバルな戦争というものをやっていた。ところが、オバマ政権になって、いかにこの戦争から手を引いていくかということに今苦心していらっしゃる。こういう状況の中で、オバマ政権が集団的自衛権についてどのような関心をこれまで日本に示してきたかというところもあると思います。

一問飛ばさせていただきます。最後に、大臣にお伺いします。

結局、米国にとっての関心は何かというと、この二月に総理も訪米されました、その際に、やはり大きな課題になったのは、TPPの交渉であったり、あるいは普天間の基地の問題であったりと、今もう集団的自衛権というものに対しての米国の関心というのが実は薄らいでいっているんじゃないかと私は思っております。

そういう状況の中で、日本がこの集団的自衛権を考える際に、先ほどまでさまざまな類型についてお話をさせていただきました。こうした具体的な議論、具体的などういう事態を想定するかということが非常に大事であろうと思います。

どうしても議論になりがちなのは、そのエモーショナルな部分、アメリカの青年が血を流しているときに日本の青年は血を流さなくていいのかとか、こういうエモーショナルなところではなくて、むしろ、しっかりとした、日本としてどういう事態に対応していきたいのかという強い国家の意思、具体的な意思というのが私は必要なんだろうと思います。

その上で、この環境をどのように整備していくか、こういう国家の意思を受けるためのどういう環境を整備していくのかという議論が本当の筋合いじゃないか、私はそう思っております。
そういう意味で、最後に大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

小野寺国務大臣

御指摘がありましたように、平成二十年に出ました安保法制懇の報告、それから五年がたち、安全保障環境、あるいは米国内、さまざま政治環境も違っているんだと思います。

ですから、今、新しい形での安保法制懇が二月八日にスタートいたしましたので、その議論を私どもはしっかり受けとめ、その議論について注視していきたいと思っております。

伊佐委員

以上です。ありがとうございました。

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