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183-衆-安全保障委員会-2号 平成25年04月02日

大塚(拓)委員長代理

次に、伊佐進一君。

伊佐委員

公明党の伊佐進一と申します。今回、当選をさせていただきまして、初めてこの安全保障委員会において質問をさせていただきます。

きょうは、お忙しい中、両大臣に来ていただきまして、また副大臣、政務官に来ていただきました。胸をかりるつもりで、頑張って質問させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
本日、私が質問させていただきたいのは、実は、先ほどの長島先生が質問させていただいたものの引き続きということになると思います。今の中国に対してどのように向き合っていくのか、また、その向き合っていく中において、日米同盟がどういった役割を担っていくのかということについて質問させていただきたいと思っております。

今、我が国は、戦後初めて、直接の軍事衝突の危機にあると言っても過言ではないと思います。対応を何か一歩誤ると偶発的な戦闘行為というものが起こりかねないような状況で、これは、これまでの米ソの冷戦時代、例えば、アメリカとソ連に何か事が起こって、そこに巻き込まれるというリスクの次元とは、全く次元の違うものであると思っております。

中国は今、我が国の周辺海域で活動を拡大し、また活発化している。特に、尖閣諸島の国有化の後、領海侵犯を繰り返す。昨年末には、中国の国家海洋局の航空機が、中国の航空機として初めて領空侵犯、また、つい二月には、中国の公船が日本の漁船を一時間半にわたって執拗に追い続け、拿捕寸前だったという報道もありました。

こういうような中国の周辺海域での活発化というものと相まって、中国の軍事あるいは安全保障の不透明性というところもあって、こうした中国の今の動きというものは、地域あるいは国際社会にとって懸念事項というふうに言われております。
そういった意味で、今、中国の活発化する状況に対して、大臣の見解をまずお伺いしたいと思います。

小野寺国務大臣

中国は、経済関係、文化関係も含めて、大切な二国間関係を持つ国の一つであります。そしてまた、戦略的互恵関係ということで今までも対応させていただいております。
ただ、その中で、最近の軍事費の増大、そしてまた軍事力の増強、海洋進出、こういうさまざまな懸念というのは、日本だけではなくて、実は周辺国が多く共有しているものではないかと思っております。
こういう中で、周辺国をあわせて、中国に対して、このような軍事力の増大に対する透明性の確保、そしてまた、例えば我が国においては尖閣諸島の問題に対する最近の中国の動向、こういうことはしっかり認識した上で外交努力を積み重ねることも大事だと思っております。

伊佐委員

ありがとうございます。こうした本当に張り詰めた状況の中で、まさしく現場で対応されております海上保安庁の職員の方々でありますとか、常に切れることのない緊張感を持って事に当たられております自衛隊の隊員の方々に、心より敬意と感謝を表したいと思います。

こうした中国の動きに対してとるべき対応、私は大きく分けて二つあると思っております。その一つがヘッジ戦略、まさしく抑止という観点です。もう一つがエンゲージ、関与政策、関与の戦略。この二つの戦略をどうやってバランスさせていくかということが大事だと思います。

まず、ヘッジ戦略についてですが、一定の抑止戦略、ヘッジ戦略というのは必要だと思います。つまり、つけ入るすきを与えない、この与えない体制をどうやって確立して、また維持していくのか、これが大事であると思います。
このヘッジ戦略の重要な一つの要素は、先ほど来ありましたISR、情報収集であったりとか、偵察であったりとか警戒監視、この充実が大事である。こうして事態を早期に察知する能力をしっかりと確立していくということで、紛争の未然防止というものにつながっていくと思います。

もう一つは、先ほどもありましたシームレスな対応能力。事態が進展するに従って、迅速にまたシームレスに対応していく、こうしたすきのない体制をある一定程度強化しておくということが必要である。それができれば、この挑発的な行動というものも未然に防止できると思います。
しかし、大事なことはバランスだと私は思います。つまり、安定を確保するために余りにこのヘッジ戦略に走り過ぎると、逆に不安定要素が増すという皮肉な結果になる可能性がある。つまり、えてして一国の防衛政策というのは、相手国にとってみれば攻撃的に映る場合がある。こちらは防衛的な意図で防衛力を拡大していく、それが相手国にとっては攻撃的に見えて、相互に軍事拡大が起こっていく、結局は、つまるところは一国の防衛がより難しくなるという、いわゆる安全保障のジレンマと言われる状況に陥る可能性があります。

こうした安全保障のジレンマに陥るのを避けるためにはどうするか。まず大事なことは、双方が軍事力の透明性を高めていく。また、相手の今のプレゼンスを客観的に、冷静につかんでおくということが必要じゃないかと思います。
そこで質問させていただきたいのは、現在の中国の軍事面、確かに透明性が限られている状況ではありますが、その中で、政府として、この中国の軍事プレゼンスをどのように認識して、評価しているかということについてお伺いしたいと思います。

江渡副大臣

お答えさせていただきたいと思います。

確かに今、委員がおっしゃられているように、中国の透明性というのはかなり不確実な部分があるわけであります。特に中国は、従来から、具体的な装備の保有状況、あるいは調達目標及び調達実績、あるいは主要な部隊の編成とか配置、軍の主要な運用及び訓練実績等々、非常にこの辺のところを明らかにしていないわけであります。ですからこそ、軍事、安全保障に関する意思決定プロセスというものも、また不透明なところがあるわけであります。
ですから、我々は、中国の軍事、安全保障に関してかなり不透明な部分があるからこそ、国際社会の懸念を払拭するためにも、具体的な情報開示などを通じて透明性の向上を図るようにということで、日本国のみならず、国際社会全体として中国にしっかりと働きかけていく必要があろうかと思っておりますし、また、そのためにも、我々は情報収集というものもしっかりしていかなければならないなというふうに思っているところでございます。

伊佐委員

今の御答弁では、確かに、今の中国の軍事力、プレゼンスというものをできるだけ客観的にはかろうとしても、なかなか難しいところがあるという御答弁だったと思います。

もう一つ、私が思います大事なことというのは、相手国が、つまり中国が、自分自身のプレゼンスをどう自分自身で分析し、また認識しているかということだと思います。中国が今、みずからの安保環境をどう認識しているか、どういうふうにみずからの状況を把握しているか。
私がよく伺っていますのは、例えばこういうふうに表現されます。彼らは、我々が陸地で接している国々というのは、全部で十四カ国と接しています、これはもちろんロシアと並んで最多、海を通じて接している国を入れれば全部で二十カ国になるんです、国境は全部で四万キロ、地球を一周するぐらいの長さになります、この防衛線を守ろうと思うと、やはりこの環境条件に見合った、あるいは今の国家の発展状況に見合った防衛の状況というのを考えるとやはり充実した国防が必要だということをおっしゃる。
また、その理由として彼らが言うのは、いわゆる中国の観点から見て、歴史的に喪失したと思われる権利を回復するんだ、あるいは、中国にとっての固有の領土、領海を回復する、あるいは同じく、中国にとって不公平だと思われる国際秩序を回復すると。でも、これが実はまさしく安全保障のジレンマだと私は思います。つまり、これは中国だけの話ではなくて、どの国についても言えることですが、ヘッジ戦略というものの副作用だと思います。こうしたときにヘッジ戦略を余りに推し進める、余りに偏り過ぎると、時にこの副作用が効能を上回るということもある。

私が一つ御紹介したいのは、アテナの歴史家でツキジデス、ペロポンネソス戦争の戦史を書いた方です。ペロポンネソス戦争、つまりアテナと当時のスパルタの戦争を描いた。結果としてアテナが滅びて、都市国家体制というのがどんどん分裂していくということになりました。その彼がペロポンネソス戦争をこう評価している。この真の原因というのは、アテナの台頭がスパルタの人たちの内部につくり出した恐怖だった。つまり、戦争というのは、単に一つの大国が台頭するだけでは起こらないんです。彼いわく、その台頭が他者の内面に引き起こす恐怖によって初めて戦争が起こるんですという言葉を残されております。

私が申し上げたいことは、再度繰り返しになりますが、つまり、ヘッジ戦略とエンゲージ戦略をどうやってバランスをとるかということなんです。このもう一つの戦略、エンゲージ戦略こそが、特に中長期的に見れば、この地域の平和と安定というものにより貢献していく、最も効果的な戦略ではないかと私は思っております。

そこで、日中双方が信頼醸成措置というのをいかに講じていくか。私は、きょうは具体的に三つの点について伺いたいんですが、まず一つ目の信頼醸成措置、それは人の交流、つまり防衛交流です。軍人同士の交流についてです。
まず質問です。これまでの日中間の防衛交流の実績と展望についてお伺いをしたいと思います。

徳地政府参考人

御答弁申し上げます。

まず、防衛面での中国との関係についての基本的考え方につきましては、先ほど大臣、副大臣から御答弁があったとおりでございますが、そのような観点から、これまでハイレベル、先生からは軍人レベルというお話もございましたけれども、まずハイレベル、大臣級あるいは次官級、それから各軍種の幕僚長級といったようなハイレベル、それから部隊と部隊との間につきましては艦艇の相互訪問というようなもの、それから中堅幹部、佐官級でございますが、そうした各レベルの交流をこれまで実施してきております。さらに、教育とか、あるいは研究面での交流も実施されてきているところでございます。

先ほど副大臣からもお話がありましたとおり、中国には、軍事あるいは安全保障に関する不透明性といったような懸念事項もございます。そして、中国にそうした面について透明性の向上というものを働きかけるためにも、引き続き防衛交流を積極的に推進するということによりまして、相互理解、それから信頼醸成、信頼関係を強化していくということが必要と考えておるところでございます。

伊佐委員

ありがとうございます。まさしくおっしゃるとおりでして、実は、私は北京の大使館でしばらく働いたことがありまして、そのときにも、同僚の駐在武官の方々から、日中のさまざまな交流についてもお話を伺ってきました。やはり、ストレスが非常に高いということを言われました。
それはなぜかというと、もともと考え方の基礎も違うし、あるいは価値観も違う、そしてまた、彼らが決してこれまで国際社会の中で十分な交流の経験があるわけでもないという中で、どうしても行き違いというのが多々あったそうです。その中で、さまざまなストレスというものもあったと伺っております。もちろん、双方がそれぞれストレスを感じることでもあるかもしれません。でも、その上で、やはりこの防衛交流というもの、人的な交流というものは重要であって、こうしたものを引き続き行うことで、信頼醸成あるいは信頼というものが積み重ねていけるのではないかと思っております。

もう一つ、信頼醸成措置として質問させていただきたいのは、非伝統的な安全保障分野での協力、これは、例えば人道支援であったりとか、あるいは共同作戦、共同訓練も含まれるかもしれません。
基本的に、軍事というのはゼロサムだと思います。ある国が、一方が優位になれば、それはもう一方にとっては劣後である、もう一方が利益になれば、それはもう一方にとっては不利益だという状況です。そういった意味では、安全保障の分野で、軍事の分野で日中双方が協力していく、この地域で協力していくということは非常に難しいと思っております。

しかし、ゼロサムにならない協力というのがあるとすれば、それはまさしく、この地域以外での、いわゆる非伝統的な安全保障と言われる分野での協力であると思っております。
例えば、アフリカの地域で平和維持活動をともにやっていく。実際、中国はPKOに述べ一万七千人をこれまで派遣してきた。また、例えば、もう一つのアイデアとしては、海賊への対処、これを共同してやっていく。近年、御案内のとおり、海賊事案というのがソマリア沖のアデン湾で多発している。実は、米中の間では、昨年の九月、アデン湾で海賊対策の米中の合同演習も実施しているんです。こういった可能性もあるのではないかと思っております。
そして、日中安全保障面、こうした信頼醸成措置として質問させていただきたいのは、平和維持活動、あるいは海賊への対処、こうした非伝統的分野における協力についての政府の御見解をお伺いしたいと思います。

江渡副大臣

お答えさせていただきたいと思います。

確かに、今委員が御指摘のとおり、非伝統的な安全保障分野における協力の構築、発展というのは大変重要なことであろうと思っております。
そのような観点から、二〇〇九年十一月の日中防衛相会談におきまして、日中双方は、災害救援等の非伝統的安全保障分野における経験の共有及び協力のための意見交換を実施することで合意しております。ですからこそ、今後、この協力というのを具体的にするべく、これからも努力を一層進めていきたいなというふうに思っています。

また、委員御承知だと思うわけでありますけれども、ASEAN地域フォーラムとか拡大ASEAN国防相会議等の枠組みにおいてもこの非伝統的安全保障分野を中心とした協力を進めていこうとしておりますし、特に、多国間の関係においては非常にいい状況になっておるわけであります。ですから、今後とも我々も努力して頑張っていきたいと思っています。

しかし、いずれにいたしましても、昨年の九月の尖閣国有化以降、日本側が累次働きかけておりますけれども、バイとしての日本と中国の関係というのは、ある意味、交流が停滞しているような状況があるわけであります。ですからこそ、引き続き、中国との安全保障対話あるいは交流の推進ということで、我々は、一生懸命努力しながら、信頼関係の増進のために頑張っていきたいと思っております。委員の方の御協力もよろしくお願いしたいと思います。

伊佐委員

ありがとうございます。まさしくおっしゃるとおりで、人と人も同じでありまして、仲よくなるには同じ目的を持って、ともに共同作業を進めていくということが一つのやり方としてある。

私が報道ベースでお伺いしていますのは、リムパック、アメリカが二年に一度、ハワイで多国間で共同でやる訓練、共同訓練というものに、今回はアメリカの方から中国に対して招待状を出したと言われております、二〇一四年になると思いますが。こうしたマルチな世界における訓練というものも通じて、より日中が近くなっていく、より信頼を醸成していくということもあるのではないかと思っております。

三つ目の信頼醸成措置、これは両大臣に質問させていただきたいんですが、それは、日中間のホットラインであります、先ほど来からも出ております海上連絡メカニズムについてです。これは大臣所信においても触れられておりました。
両国が今一番避けなければいけない危機というのは何かと申しますと、それは、ある意味それぞれの国の意思とは関係なく、偶発的な出来事で戦闘行為というものに発展する、そしてそれがどんどんエスカレーションしていくということだと思います。これを避けるためには、いざというときのための防衛当局間の連絡メカニズム、ホットラインというものが必要です。
日本は現在、このホットラインについては、韓国とロシアとの間では既に所要の体制を整備していると伺っております。また、中国は中国で、ロシアとアメリカとの間でホットラインを開通させているというのも伺っております。残念ながら、日本の場合は、実務者では合意をしたものの、尖閣諸島の国有化の後は、なかなか物事が進まない状況になってしまった。

そこで、どうしても再度この協議を再開させて、実務者間の合意というものを政治レベルに引き上げていく必要があると思っております。
ここからは特に外務大臣にお伺いしたいところですが、このメカニズムについては、もちろん、防衛当局間の海上連絡メカニズムも重要です。でも、さらに、中国の海上法執行機関も含めた多層的な海上連絡メカニズムというものを構築していくことが喫緊の課題ではないかと思っております。

そこで、この海上連絡メカニズムの構築に向けた防衛大臣の、あるいは多層的なメカニズム構築に向けた外務大臣の強い決意をお伺いしたいと思います。

小野寺国務大臣

海上連絡メカニズムは大変重要だと思っております。第一次安倍政権で首脳間では合意をし、作業を進めていくというところまで来ておりましたが、昨年秋以来、この交渉が途絶えているということであります。
特に、ことし一月に発生しました中国艦船の火器レーダー照射事案がございましたので、やはりこのメカニズムの構築が急務だと思いまして、我が方から、二月七日に北京で防衛駐在官から中国国防軍に、二月八日に外務次官から駐日中国大使に申し入れを行って、この海上連絡メカニズムの交渉を再開したいということを、我が国の方から中国側に申し入れをしております。
残念ながら、まだ交渉再開には至っておりませんが、引き続き努力をしていきたいと思っております。

岸田国務大臣

日中間において不要な摩擦や誤解を減じ、そして万一の不測の事態が発生した場合に備えるということからも、中国との間で危機管理メカニズムを構築することは重要だと認識しております。

例えば、日中両国の海洋問題に関する定期的な協議メカニズム、二〇一一年に既に日中高級事務レベル海洋協議というものが立ち上げられております。実際、協議が行われておりました。こうした協議についても引き続き着実に実施し、意思疎通を強化していく、危機管理メカニズムを構築していく、大変重要だと思っております。
そして、御指摘の防衛当局間での海上連絡メカニズムについても、ぜひ、防衛当局間の協議を外務省としましてもしっかり支援していきたいと存じます。
このように、多層的な危機管理メカニズムを構築することによって両国間の関係をしっかりマネージしていく、大変重要な点だと認識をしております。

伊佐委員

両大臣とも、前向きな御答弁をありがとうございました。まさしく今の周辺状況を考えますと、早急な、緊急な課題であると思いますので、ぜひとも強力な推進をよろしくお願いしたいと思っております。

次は、日中関係を考えるに当たって当然重要な要素になってきますのは、日米同盟ということになると思います。中国との向き合い方について、同盟国である米国と連携を密にし、また歩調を合わせていくということが必要であると思います。
オバマ大統領のアジア太平洋地域への向き合い方、よく言われていますのはリバランスということです。第一期の政権が発足して以来、このリバランスについてオバマ政権は推し進めてこられました。その中で、外交、安全保障政策の力点をアジア太平洋地域に置いていく、軸足をどんどん移していくというようなことが言われておりました。
当然、そこに至るには二つの要因があったと言われております。

一つは、イラク、あるいはアフガニスタン、この二つの戦争が終息に向かっていく中で、いま一度グローバルな視点で米軍の体制というものを見直していこうというのが一点。
もう一つは、米国の国防費というものがどんどん少なくなっている、その中で優先順位をつけていく必要があるということになったと伺っております。

実際に、リバランスをする中で、多くの戦力をできるだけ太平洋地域に持っていくという、その具体的な内容についても、これまでも米国の各層から表明をされています。例えば、昨年の六月、二〇一二年六月には、パネッタ国防長官が、海軍は戦力の約六割を二〇二〇年までに太平洋に配備する、今は大体半分半分だと思います、これを六割に持っていくと言われております。
しかし、アメリカが推し進めてきたリバランスですが、同時にこれは、中国の警戒感を高めたことも事実だと思います。いわゆる米国による封じ込めというような捉え方をしている向きもあると思っております。
実際に、アメリカがリバランスをする中で、アジア太平洋地域に戦力を配備していく中で、どういうようなところに重点を置くかという内容を伺っておりますと、確かに、中国への対抗というもの、中国がそういう捉え方をするようなところが多いのも事実だと思います。

先ほども話にありました、例えば接近阻止、領域拒否、いわゆるA2AD。このA2ADの能力、つまり、特定の線引きをして、そこのところに米軍が入ってこられないようにする、たとえ入ってきたとしても身動きをとれなくする、動きづらくする、そういったものを、機雷を使ったりとか、あるいは宇宙とかサイバーとか巡航ミサイルとか、こういうものを使って高めていく。
これに対してアメリカがどう対応していくかということに、今、重点投資をしようと。例えば、四年ごとに見直しますアメリカの国防見直しの中でも、一番直近の二〇一〇年の見直しの中では、A2ADに重点投資するという言われ方をしている。そしてまた、二〇一二年のアメリカの国防ガイダンスに書かれていますのは、A2AD能力の向上を目指している国としてアメリカが名指しをしたのがイランと中国でした。当然、中国は反発をするわけです。

でも、一方、アメリカ側としてはこういう発言がある。例えば、カーター副長官は、リバランスのそもそもの目的というのは中国に対するものではなく、平和なアジア太平洋地域のためのものであると。また、健全、透明で、持続的な軍事的協力関係を米中関係に築くためだというような発言もあります。
そこで、これまでアメリカが進めてきたリバランスについて、政府としてどのように評価をするかということについて、見解をお伺いしたいと思います。

岸田国務大臣

米国は、アジア太平洋地域の動向が、今後の米国の経済ですとか安全保障、こういった分野における利益と密接に関連する中、同地域にはさまざまな課題と機会があるという認識に基づいて、アジア太平洋地域を重視する国防戦略指針を掲げていると理解しています。
こうした米国のアジア太平洋重視の戦略、このリバランスですが、こうした戦略のもとにこの地域に対して米国がコミットメントとプレゼンスを強化することは、地域の平和と安定に資するものであるというふうに我が国は認識をしております。ですから、我が国としては、米国のこうした戦略を歓迎しているという認識でございます。

伊佐委員

ありがとうございます。先ほど大臣から御答弁がありました、日本国政府としても歓迎をするリバランスでありますが、オバマ政権が二期目に入って、例えば最近のホワイトハウスの言動であったり、あるいは議会の議論を見ておりますと、多少ちょっと質的な変化があるのではないかというふうにも言われております。

まず一つは、米国政府の予算の状況です。予算の強制削減ということで、結局これが維持されることになったという現状においては、アメリカの予算が強制的に削減される中で一番影響を受けるのが、まさしく国防費への影響と言われております。当然、このリバランスへの影響というのも避けられない状況です。

本年二月の議会公聴会で、カーター副長官はこうおっしゃっておりました。アジア太平洋地域の海軍は三分の二に縮小されると証言している。あるいは、海兵隊の司令官は同じ場で、アジア太平洋地域において海兵隊が実施する共同演習などの防衛協力は三割削減されるというふうにおっしゃっております。こうした予算上の制約もあります。

もう一つの制約条件としてあるのが、今の中東情勢の悪化。例えばシリアでどんどん内戦が激化していくという状況であったりとか、あるいはイランの核問題というのがあります。こうした中東情勢に対して米国が関与せざるを得ない状況になってくれば、当然、リバランスというものがどんどん後回しにされざるを得ない、ここが避けられないような状況になるのではないかと懸念をしております。

そういった意味で、こうしたさまざまな制約条件の中でリバランスが進まないとなった場合に、我が国の防衛戦略にどういう影響があるのか、どう対処するのかということについて見解をお伺いしたいと思います。

江渡副大臣

お答えさせていただきたいと思います。

本年三月一日に開始されました国防費を含む歳出の強制削減を受けまして、ヘーゲル国防長官が本年の五月三十一日を期限といたしまして国防戦略に関する調査ということを指示したことを承知しているわけでありますけれども、現時点では具体的な国防戦略の見直しの方向性や内容というのは明らかではないわけでありまして、今後、状況をしっかりと注視していきたいと思っております。

他方、先ほど委員がお話しされたように、昨年一月に発表された国防戦略指針に見られる、アジア太平洋地域を重視していく、このプレゼンスを強化するという方針が打ち出されたわけでありまして、強制削減が開始された後の会見においても、ヘーゲル国防長官はしっかりとその旨は述べております。

また、先日、私のカウンターパートナーでありますカーター国防副長官との会談においても国防長官と同じような考え方を示されておりましたし、また、アジア太平洋地域におけるリバランスにおいては、できるだけ最小限のものにしていきたい、あるいは影響のないような方向で考えていきたいというようなことも述べられておりましたものですから、そのような形で、これからも一生懸命、我々も注視しながら、よりよい形になれるようにということで頑張っていきたいと思っています。

どちらにしても、委員も御承知のとおり、我が国にとりまして日米同盟というのは大変重要なものでございまして、引き続き、強固な日米同盟の構築のために努力していきたいと思っております。

伊佐委員

ありがとうございました。
時間がなくなりましたので、最後は、答弁をお願いするのではなくて、私の考え方だけを少し述べさせていただいて、終わらせたいと思います。

申し上げたいのは、日米同盟の中で、特にガイドラインの話です。
日米同盟というのはどんどん対象が変わってきて、これまでは日本の防衛であった、それがアジア太平洋地域に拡大して、さらにはグローバルな協力にまで拡大してきました。そんな中で、地域とか、あるいはグローバルな社会において、日米同盟自体が周りにとっても有効だ、役に立つというような認識に変わってきたと思います。

一方で、周辺事態についての日米の協力については実は余り変化がないというような状況。今の状況を考えると、周辺事態、さまざまな状況の悪化、大きく変化してきている中で、九七年のガイドラインの中では想定していないような事態がこれまでもたくさん起こってきています。ところが、実際はそういったものが反映されていない状況にありますので、南西方面あるいは西太平洋の周辺での役割分担をどうするかというのをしっかりと明確化するのは急務であると思っております。

先ほど申し上げた、アメリカ・オバマ政権でも、一期目と二期目の間で、尖閣諸島、あるいはこの地域に対する捉え方に多少のずれがあるのではないか、微妙な差があるのではないかと私は思っております。そういった意味でも、このガイドラインの改定こそがまさしく日米の認識のずれを埋めていく一つの重要な作業ではないかと思っておりますので、ぜひよろしくお願いしたいと思っております。

終わります。以上です。ありがとうございました。

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